桜さくら堂

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銀座 カフェ・ド・ランブルの珈琲

 そこまでの珈琲通ではないけれど、銀座8丁目にある老舗の「カフェ・ド・ランブル」で飲んだ珈琲が今まで飲んだ珈琲の中では一番美味しかったかなと思います。

その珈琲店は村田紗耶香氏の「コンビニ人間」が発表された文藝春秋に記事が載っていて知ったのです。

 孤独のグルメ VS 102歳の珈琲職人 というタイトルでした。孤独のグルメっていうのが俳優松重豊さんで、珈琲職人の方は店主の関口一郎さんでした。ちなみに、この記事が出たのは2016年です。関口さんのコーヒー研究は、旧制中学の頃から数えて85年と書いてありました。

 太平洋戦争が始まって、高射砲で撃ち落としたB29の残骸に粉のインスタントコーヒーが入っていた。お湯に溶かして飲んだらうまいんです。「こんなうまいインスタントコーヒーを飲んでる国に勝てっこない」と思いましたよ、とか。

 昔、浅草の観音様に瓢箪池があって、その周りでエンドウ豆を煎って売る店が何軒かあったんです。網の筒があってクランクを手でまわして煎る。下は炭火です。その豆煎り機を製造する会社に、コーヒー豆の焙煎機を作らせたこともあります、とか。

 大戦前ドイツがインドネシアから良質のコーヒー豆を海上輸送していた。戦後のどさくさで数奇な運命をたどったコーヒー豆が、ある商社から持ち込まれて、サンプルを見るとオールドコーヒーの最高品だった。飲んだら極上の玉露みたいに、まったりとした甘みが口のなかで広がる。「生きててよかった」と思える味でした、とか。

 どうです? 飲んでみたくなりませんか? さらに、ランブルの看板には「珈琲だけの店」と書いてあって、メニューに40以上のコーヒーが並んでいます。10年以上寝かせた豆をオールド・コーヒーといって、1番古いのが1954年のコロンビアって、私がまだ生まれていません。まるでワインのようでもあり、収穫の年によって味も違うのだとか。これは一度行って、飲まなければと思いましたね。

 でも、それほどのコーヒー通でもない私は、一時期はブラックで飲んでいましたが最近はミルクも入れるし砂糖も入れるしで、こんなんでは「邪道だ」って思われそうでどうしたものかって悩みました。そこでネットで調べてみると、どうやらミルクも砂糖も普通につけてくれるらしいのです。ついでにコーヒーの事を調べてみると、ブラックに拘るのは日本人位なもので、本場では色々ドバドバ入れているということがわかって、目からウロコでした。

 結局、カフェ・ド・ランブルに行ったのは、さらに数年後となりました。中央通りから奥に入った所に雑誌やネットで見たとおりの看板があったので、すぐにわかりました。銀座SIXからわりと近いです。シャイなので(笑)最初はそのまま通り過ぎ、行きつ戻りつをして、ようやく決心して中に入りました。小さなお店でした。雰囲気も、やっぱり通な感じの人ばかりで、ほぼ満席状態でした。でも、一人だけ席をたつ人がいたのでそこに案内されました。

 なんとなく場違いな感じでぎくしゃくしながら、「何にしましよう?」と言われても、うーん、メニューが多すぎてどうしたものかと。そういう時のお決まりの文句を思いついたので、「お勧めは?」と言ってみました。相手の言うがままに、「じゃあ、それで」と応えて、カウンターで良かったと思いました。ほとんどカウンターの席ばかりなんですけど。コーヒーを淹れる手元が良く見れました。実に手際よく丁寧に入れていました。関口さんではなかったけれど。

 コトリ……と置かれた珈琲をしばし見つめ、通のように格好をつけて薫りをかいでしまったため、砂糖やミルクをつけてくれたにもかかわらず、格好をつけたまま(笑)まずはひと口。

 美味でした。通でなくても、わかりました。その珈琲のまろやかな美味しさといったらありません。ふた口、三口と飲み、私が今まで飲んでいた何だったんだろうと思いました。結局、あまりの美味しさに砂糖もミルクも入れずに、その珈琲を全部飲んだのでした。ここがもし禁煙だったら、もっと良かったのになぁ。