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炎上される者になれ! 堀江貴文/感想・レビュー

現代を生きていると、本当に「無駄なもの」が多い。

無駄なものは、僕たちから時間や気力などの大事な資源を奪っていく。

 

とありました。

そうか、これだったのか!

気力を奪っていたのは、無駄なものだったのか!

と気づかされます。

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炎上される者になれ! 堀江貴文・著/ポプラ社

お題「我が家の本棚」

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その無駄なものとして、ホリエモンがあげているのが、

・他人の正義

・妬み嫉み

・感情論

・慣習

・駆け引き

・嘘

などです。

 

「こんなことしたら、人にどう思われるだろうか?」

「こんなことを言ったら、変に思われないだろうか?」

などと、うじうじ考えてしまう人は、結局、それをやりたいのではなくて、自分の中でやらないための言い訳を探しているだけ。

本当にやりたいことなら、人の目なんか気にせず、どんな障壁があってもやってしまうはずだ。

 

それはそうなのです。

もし、ほんとうにやりたいことだったら、なんでやるのかな~んてことは考えないかもしれない。

そして、誰かに何か苦情とか批判とか言われてから、その返答をというように、順番が逆になりますね。

しかし、ホリエモンはそういう批判とか文句を言ってくる人に、逆にこう言っています。

 

人の発言の揚げ足取りをするのは、自分がやりたいことに熱中していない証拠だ。自分が熱中していたら、そんな暇な時間はないはずだ。

人のふりばかり見て文句がいいたくなったら、あなたの熱中度が足りないサインだといっています。

そのエネルギーを自分が好きなことに注がなければならない

これが、「無駄なもの」なんですね。

 

正義感についても、

自分が正義だと思っていると、相手の反論すら許さず、とことんまでやってしまうのだ。

と、言っています。

確かに正義というものは絶対的なものではなく、人によって価値観がちがいます。

それで、しばしば悲劇が起こったりしています。

国と国との正義がまちがった方向でぶつかると、戦争になったりもします。

 

その対処法として、ホリエモンは、他人の「正義感」はスルーするのだそうです。

生真面目な人はなかなか出来ないことです。

自分の正義がその場の議論に勝って多数を味方につけたとしても、それが必ずしも正解ではないということです。

 

誰だって、皆から好かれたいし「愛されキャラ」でありたい。

でも、仕事をするなら、自分の好きなことをするなら、「9割の人に嫌われても、1割の人から好かれればそれでいい」と思う。

最終的に、少数の信頼できる仲間ができれば、それで人生はうまく回っていくはずだ。

 

人に裏切られたとしても、「人間ってそういうものだよね」と意に介さない。

裏切るという行為は、相手の課題なのである。だから、それは切り捨てる。つまり、考えないのだ。

 

ここには確固たる信念が垣間見えます。

全員に好きでも嫌いでもないと思われるなら、むしろ嫌われたいとまで言っています。この信念を支えているのが、

「自分の幸せ」の追求を、「周りの幸せ」につなげるという考え方で、これはホリエモンの根底にあるようです。

 

自分の好きな仕事に心血を注げることほど幸せなことはない。

さらにその仕事が、「周りの幸せ」につながれば、言うことはないだろう。

 

と言い、たとえば「がん撲滅プロジェクト」という大きな計画に携わっていて、「予防医療普及会」という組織をつくったのだというのです。

こういうホリエモンの側面は、あまりマスコミは紹介しないけれど、だからこそ、あれほど周りから批判されても、たじろがないのでしょう。

「僕は幸せ。そして、周りが幸せだともっといい」

ホリエモンはそう語っています。

 

このようにホリエモンはこの本「炎上される者になれ!」で、あなたからエネルギーを奪っていくさまざまなものをあげて、

その対策について、自分がどうとらえて、どのように対処しているかを語っています。

ご自身の実体験を踏まえてです。

要約すれば、

 

自分が本当に好きなことを、他人の目や批判などを気にしないでやって、

もっと自由に生きたらいいですよ。

そして、自分の好きなことが、周りの人を幸せにできたら、もっといい。

 

という、至極まっとうなご意見を述べられています。

ところが、ホリエモンが言うことが素直に受け止められない人が多いのも事実です。

ホリエモンはこう言っています。

 

炎上なんてこわくない。

むしろ、コスパがいい。

 

凄いこと言っていますね。

こういうことをいう人を、私は他に1人しか知りません。

それは今、ユーチューブ大学で活躍している中田敦彦さんです。

あの方も、同じようなことを言っていました。

 

強いですね。

つまりこれは、トラやライオンの生き方なんです。

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確かにこうすれば、人生から無駄なものを排除して、スッキリと活動できるでしょう。

「生涯の友」はいらない。

と言っているのですから、一匹オオカミのような印象も受けます。

 

しかし、それはウサギには無理なことです。

スイミーにとっても。

「自分が言いたいことを言ったら炎上してしまい、夜も眠れません」

とか、

「無視されてしまい、寂しいです」

なんていうのがオチです。

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ではこの本は、私のような繊細さん気が小さい人にとって、役に立たないかというと、そうでもありません。

たとえば、ここ。

 

ちょっと人と違った意見を言ったり、他の人がやらないことを始めたりすると、

ツイッターのフォロワー数が減ったり、知り合いがフェイスブックで悪口を書いているのが目に入ったりすることだってある。

けれども、そんなことは関係ない。

誰だって人と価値観や考え方が合わなくて、ツイッターのフォローを外すことはあるし、

「悪口」ともとられかねないことを軽い気持ちで文字にしてしまうことだってある。

そんなことにいちいち過剰反応していたら、1ミリも前に進めない。

 

こういう言葉に、救われたりする人も多いでしょう。

今の私も、すごく自信になりました。

なにしろ私は、他人の顔色や言葉が気になってしまい、行動が委縮してしまううさぎタイプなのですから。

そして、他人に振りまわされてしまう・・・という、とても残念な性格を持っています。

うさぎにはうさぎの、

ペンギンにはペンギンの、

オランウータンにはオランウータンの生き方があります。

でも、時どきは、あるいはちょっとだけ、ライオンの生き方を取り入れてみるのも悪くはありません。

それであなたの生き方が、もっと良くなるのであれば。

もちろん、羊さんにとっても・・・・。

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ところで、あなたは・・・

あなたは、たとえると何になるのでしょうか?

 

 

f:id:sakurado:20210326161259p:plain みなさん、こんにちは。

いつもご訪問をありがとうございます!!

なんだか急に肌寒くなってまいりましたね。

ご自愛くださいませ。

 

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おかあさん、げんきですか。/後藤竜二・作/感想・レビュー

「おかあさんに、感謝の手紙を書きましょう」

って先生にいわれて、げんきは手紙を書きはじめます。

だけど、ユースケや他のみんなのように、

「いつもごはんをつくってくれてありがとう」

なんて、ありきたりの言葉ではありません。

げんきが書いたのは・・・

 

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後藤竜二 作/武田美穂 絵  ポプラ社

お題「我が家の本棚」

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おかあさん、ぼくはもうあかちゃんではありません。

小学4年生です。

「わかった?」といわれなくても、わかっています。

しんぱいしないでください。

 

げんきはおかあさんに、ほんとうにいいたかったこと

を、書くのです。

 

「ごみばこみたい!」とかいって、

ぼくがたいせつにしていたものを、ぜんぶすてちゃったじけんです。

ぼくはショックで、1週間くらい、口もききませんでした。

おかあさんはもうわすれたかもしれないけど、

ぼくはまだうらんでいます。

 

ぐちゃぐちゃの落書きのような絵も、青い小石も、

おんぼろな穴あきスニーカーも、それから、

汚れたぬいぐるみのキリンさんも、みんな思い出がつまったものだったのでした。

 

スニーカーは、初めてユースケに勝ったときに履いていたものでした。

ぬいぐるみのキリンさんは、おとうさんがいたころ、サンタさんにもらったものでした。

虫食いだらけのドングリは、

2年生のとき、学校でたたされるのがいやで、学校の裏山にかくれていたら、

おかあさんが会社をさぼってぼくをみつけてくれたのでした。

そのときに、二人で拾ったドングリでした。

 

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もう、みんな、なくなっちゃった。

もう、しょうがないけどね。

またいろいろたまってきたから、さみしくはありません。

しんぱいしないでください。

ぼくのへやのことは、ぼくにまかせてください。

 

そして、カッカッカッとハイヒールで歩くお母さんに、

 

「カッコいい!」って、カオルちゃんはおかあさんにあこがれてるけど、

あんまりがんばらないでください。

ハイヒールでコケたりしないでください。

 

と、つづくのです。

小学4年生の男の子の、おかあさんを思うほんとうの気持ちが、この短い絵本のなかに、ぎゅうっと凝縮されて詰まっているように思いました。

最初は文句をいっぱい並べ立てているのです。

でも、それって、本当にそう思っているのです。

おかあさんって、ウザいって、(私は男の子ではありませんが)

後藤竜二さんが少年だったころに、そう思っていたのかもしれません。

どの言葉にも、ウソはないようです。

そうして、それよりも、もっともっと、おかあさんのことを大事に思っているというのが、ドングリの辺りからだんだんとわかってきます。

 

そして、捨てちゃったものはしかたがないと、おかあさんのことをゆるして、

そこから一歩、前へと歩き出していこうとしています。

本当におかあさんが大好きなんだなあ・・・と、ラストでわかるのです。

 

おかあさんのほうも、学校からいなくなったげんきを心配して、会社をほったらかして、探しにきたのです。

そこで、ああ無事で良かったっていうのが、いっしょにドングリを拾って帰ったというところにちゃんと書いてあります。

怒ってばかりいて、げんきの大事なものをぽいぽい捨ててしまうおかあさんだけど、おかあさんだって、げんきが何よりも大事なんだってことがわかります。

 

武田美穂さんの絵もいいですね。

げんきが描いたこわいおかあさんの絵がずうっとあって、ラストのページにちょこっとだけおかあさんの本当の姿が描いてあって、その違いに、あなたはきっとがく然とすることでしょう。

 

いまは断捨離というのが流行っていますが、それはそうなのです。でも、

 

ぐちゃぐちゃにして、なつかしいものたちにかこまれていると、やさしいきもちになれるのです。

 

これもそうなのです。

だから、この本は今でもずっと手元にあるのです。

 

「信じられる言葉を書いていきたい」

 

と、

後藤竜二さんはいつもそうおっしゃっていました。

 

作家 後藤竜二(ごとうりゅうじ)

 

1943年、北海道に生まれる。早稲田大学卒業。

『天使で大地はいっぱいだ』が講談社児童文学新人賞佳作を獲得しデビュー。

主な作品に『白赤だすき小〇の旗風』『少年たち』(いずれも日本児童文学者協会賞)

『故郷』(旺文社文学賞)『野心あらためず』(野間児童文芸賞)

「12歳たちの伝説」シリーズ、「1ねん1くみ1ばん」シリーズ、

『紅玉』など多数。

日本児童文学者協会会員。「季節風」同人。

 

■画家 武田美穂(たけだみほ)

 

1959年、東京都に生まれる。日本大学芸術学部中退。

自作の絵本に『となりのせきのますだくん』(講談社出版文化賞・絵本賞/絵本にっぽん賞等受賞)にはじまる「ますだくん」シリーズ。

『ふしぎのおうちはドキドキなのだ』(絵本にっぽん賞)

『すみっこのおばけ』(日本絵本賞読者賞/けんぶち絵本の里大賞)

『ありんこぐんだんわはははははは』など多数。

 

 

おかあさん、げんきですか。 (絵本・いつでもいっしょ) [ 後藤竜二 ]

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感想(12件)

 

 

f:id:sakurado:20210326161259p:plain みなさん、こんにちは。いつもご訪問をありがとうございます!!

どの本もこの本も、読み返してみれば新しい発見があります。

後藤さんの本もいただいた時にちゃんと読んだつもりだったのに、

ちゃんと読んでいなかったことに気づかされます。

それより、私が未熟すぎたのだ。。。。

f:id:sakurado:20211015094833j:plain また、あとで読もう。何度もなんども読もう・・・。

 

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編集者ぶたぶた[ぶたぶたシリーズ]矢崎亜在美/感想・レビュー

編集者ぶたぶたには、5つのお話がありますが、

山崎ぶたぶたさんはもちろん、編集者になって登場します。

もっとも1編だけは、元編集者になっていますが。

 

ぶたぶたさんは主人公ではないんですが、どのお話でも、主人公の悩みを素敵に解決に導いていきます。外見はぶたのぬいぐるみなんですが、中身はとてもすてきなおじさまなんですよ。

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編集者ぶたぶた/矢崎 在美 作/光文社文庫

お題「好きなシリーズもの」

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📚書店まわりの日

 

大手出版社が立ち上げたウエブマンガ雑誌で連載中の伊勢千草は、対人恐怖症気味で、人と会うのが苦手な中年のマンガ家さん。

少女マンガ家としてデビューしたものの、あまりパッとしないまま連載が打ち切りになって、バイトに明け暮れているところを、ぶたぶたさんから声がかかったのだった。

ちょっと、あの~、ヘルパーになったマンガ家さんのことが、脳裏をよぎったりもします。

 

千草が対人恐怖症になったのは、友達だと思っていた子がとつぜん態度を変えて、悪口を言われたり仲間外れにされたりしたことが原因とか。

そういうわけで、担当者の山崎ぶたぶたさんとは、電話とスカイプで話しているだけ。

でも、渋い男性の声で、とても心地よい。こっちが言葉が出なくても、静かに待っていてくれる・・・のだという。

スカイプでは画面にぶたぶたさんが映っているが、それはぶたのぬいぐるみを出しているのだと思っているのです。

 

そのぶたぶたさんが新刊を出すにあたって、「書店まわりをしてみませんか?」

と言ってきます。

悩んだすえ、ぶたぶたさんが一緒なら大丈夫だろうとOKします。

ここからですね、ぶたぶたさんの本のお約束の出会いの瞬間が訪れます。

 

池袋で待ち合わせをしたが、それらしい人はいなかった。いたのは、バレーボールくらいのぬいぐるみだけ。

「今日はよろしくお願いします」ぬいぐるみがぺこりと頭を下げる。

・・・声が出ないので、ガクガクとうなずく。

 

おもしろいですね。人ごとながら、なんだか愉快です。

この後、新宿、池袋、渋谷、東京、お茶の水、神保町などの大きな書店をめぐって、「よろしくお願いします」と挨拶をするわけなんですが、なんとなくあの書店かな、

と情景が浮かんできてなんとなく懐かしかったりもします。

「一日、知らない人とばかり会って緊張したけど、うれしさが上回って、びくびくする暇もなかった」

書店まわりが終わって、高層ビルの地下パスタハウスで食べていたら、なんと、となりの女性が千草の新刊の本を出すのです。

 

これは衝撃的です!

多くの作家さんにとって、自分の本を読んでいる人を目撃するのは、感動的な瞬間なのです。夢ともいえますね。

千草はこの女性に、声をかけたいのですが、できないのです。なにしろ、対人恐怖症気味なので。

ここでもぶたぶたさんが、そっと背中を押してくれて・・・。

 

📚グルメライター志願

 

高校までスキーの選手で、今は大手のスポーツ用品店の広報課で勤務していいる若松成久は、上司の誘いであちこち食べ歩いているうちに食に関心を持つようになります。

いつしか美味しい店を自分で探したり、コンビニの新商品やカフェのスィーツなどをブログで紹介したら、それが好評で、いつかグルメライターをやりたいと思い始めます。

 

そんな折、スキー部の先輩に、只野猫月(ただのねこづき)さんというグルメライターを紹介されて、取材の手伝いをすることになります。

ここへ一緒に来たのが、編集の山崎ぶたぶたさんです。

 

駅前のストリートシンガーの前に、ぬいぐるみが立っていて、歌がおわると、

ぽふぽふぽふ

どこかからそんな音が――ぬいぐるみが動いていることに気づく。

どういうことなのか、成久は混乱していた。

となります。

しかし、まあ、只野猫月さんが普通に接しているので、彼も自分なりに納得して、

(納得するんだ)一緒にアジアンスィーツのお店へと取材に行きます。

台湾スィーツらしいんですが、私はあまりこれ、知りません。でも、心配はいりません。なぜなら、注文しながら、解説を加えていくからです。

たとえば、こんなふうに・・・・

「豆花(トウファン)って豆腐みたいなものですよね?」

「そうです。甘くてつるつるした豆腐で、食感はプリンみたいなものですね」

千草ゼリーは、

「少し薬草のような香りが広がる。甘いがけっしてくどくない。つるんとしたゼリーだから、舌にのせるとすっと溶ける。後味がさっぱりしている」と。

 

こうやって、同じようなお店を何軒もはしごします。

どこでもしこたま注文し、パシャパシャ写真を撮って、すべてきれいに食べて、短時間でさっさと失礼するのくり返し。

成久はグルメライターの難しさを、肌で知ることになります。

読者も同じく。読者も、たぶん、おなかいっぱいになりますよ。

 

「最後に1軒だけ、寄ってもいいですか?」

ぶたぶたさんが聞きます。

「でもそこ、食べられないと思うな」と・・・。

 

📚長い夢

 

湊礼一郎は小説家としてデビューして10年。酒も飲まないし、パーティも苦手、あまり編集者とも会わないで過ごしてきました。

今は昔と違って、編集者が原稿を取りに来ることもないし、メール添付でOKだから、編集者と会うのは面倒です。

ところが、今度の編集者は、断っても断っても、「ぜひ、お会いしたい」と言ってきます。そこで会うことにしたのですが、待ち合わせのメールに、

「驚かせてはいけませんので書いておきますが、私はぬいぐるみです」

とあります。

もちろん、礼一郎は本気にはしていません。そして、会います。

 

「初めまして、山崎と申します」ぬいぐりみが片手を差し出しながら近寄ってきた。

夢かな・・・? 夢かも。そう思って、礼一郎はちょっと落ち着く。

 

礼一郎は常識人ですから、夢として納得するわけです。

夢だと思っているから、ふだんは言わないような心の内のことも、ためらわずに話してしまいます。こわいですね。

「何か書きたいものがありますか」と尋ねられ、いつもだったら配慮して言わないことをぺらぺらと話しはじめます。

他愛もない家族のことや父親のことを、編集者ぶたぶたさんの質問に答えて話しているうちに、構想がふくらんでいって、SFっぽくなったりします。

「こんなの売れないですよね」

「いや、面白そうですよ!」

となり、新境地を開いていくことに・・・・。

 

礼一郎はぶたぶたと一緒にラーメンを食べて別れるが、後で、夢ではなく現実であることを理解していく。そして、

「ラーメン、とても気に入ったので、来月の出張の帰りにまた食べに行こうと思っています。その時、またお会いできたらうれしいです」

編集者ぶたぶたからメールがあったのでした。

 

編集者ぶたぶたさんは、とても優秀な編集者さんですよね。こういう編集者さんを、作家はみんな欲しいのではないのでしょうか。

 

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📚文壇カフェへようこそ

 

大きな出版社で文芸の編集をしている堀川麻紀は、高圧的な上司からいつもダメだしをされて疲れきっていました。企画書がボツならまだしも、無視されていつまでも机の上に放り出されていたり、確認書類を後回しにされたり、彼の雑用を先にやらされたり・・・・。

特にひどいのは、麻紀が担当したいと思っていた若手の作家を、こきおろされ、絶対担当にさせないと言われたこと。

 

麻紀が仕事で疲れきって裏道をさまよっていると、古い雑居ビルで『文壇カフェ』に出会うのです。

文壇カフェ・・・なんだか、いい響きですね。

私も昔、新宿にある文壇カフェにいったことがありますよ。地下にあって、こう、落ち着いた感じで、ながく居座れるような・・・喫茶店でした。少々、お高かったですけどね。

この作品に出てくる文壇カフェは、ぶたぶたさんがオーナーなので、かなりステキな雰囲気です。ぶたぶたさんは、元編集者さんになっています。

 

大きな窓ガラスが鏡のように店内を映している。壁一面の本棚。本棚も壁も、分厚い一枚板のカウンターもテーブル席も、磨かれてピカピカだった。

壁ぎわには、ハンモックがいくつか吊られている。

音楽はほとんど聞こえないこらいのクラシックがかかっている。

 

ハンモックまであるなんて・・・。

で、出会いの瞬間は、こうなっています。

 

「いらっしゃいませ。こちらがメニューです」

目の前にピンクのぶたのぬいぐるみがいた。

ばっちり目が合って、麻紀は硬直する。

「大丈夫ですか・・・?」隣に座っていた若い女性に声をかけられる。

 

じつはこの女性が、一緒に仕事をしたいと思っていた作家さんだったんですね、後でわかるんだけど。

ぶたぶたさんは麻紀にも、作家さんにも、いろんなアドヴァイスをしてくれます。

「やっぱり、この作家さんと仕事がしたい」

と思って、麻紀はある決心をするのです。

 

とにもかくにも、こんな喫茶店、どこかにないでしょうかね?

 

📚流されて

 

不幸な結婚の末に離婚して、働きながら一人暮らしをしている50代の女性、福安かほりは、久しぶりに原宿をぶらぶらしたいと思って、電車に乗ります。

電車の中で、幼い子供が泣きだして困っているのを助けて、そのまま成り行きでついていきます。母親は大極明咲といって、仕事の面接に行くという。

子供の面倒を見ながら、その明咲についていって、かほりは編集者ぶたぶたに遭遇します。

 

「マグノリア編集部の山崎です」

そのぬいぐるみはトコトコ歩いて、こっちに寄ってきた。

え、何? こんな映画、この間見た気がする。

 

こうですね。そして、かほりも

「モデルのオーディションに参加してみませんか?」と誘われるのです。

50代の読者モデルの応募が無かったので。

 

明咲はオーディションに受かり、子供も保育園に入れて働きはじめ、かほりも1回だけでいいから、モデルをやってほしいと頼まれます。

かほりは人生をふりかえって、流されやすいと思っていましたが、

「流されるのがダメなんじゃなくて、その流れを信頼できるかどうかが大切」

だと。

そして、この流れを作っているのは、ぶたぶたさん・・・。

 

f:id:sakurado:20211013112733p:plain ぶたぶたさん、面白かったですね。

どの主人公も年齢も立場も性格もまったく異なるのですが、それぞれに悩みを抱えています。それがぶたぶたさんに出会うことによって、まるで魔法にかかったように、人生が好転していくのです。

とても後味の良い短編になっています。

ちなみにぶたぶた誕生のきっかけは、モン・スイユというメーカーが出しているぶたのぬいぐるみのショコラだそうな。

 

第5話のマグノリア編集部のマグノリアは、日本名の紫モクレンのことです。

ジャズ史上最高の女性といわれているビリー・ホリディが好きだった花で、いつもこのマグノリアを髪にさして歌を歌ったそうです。

じつは彼女の歌は美しいとは言い難く、声量もなく、声域も狭かったのです。

しかし、ビリーは比類のない表現力の奥深さがありました。

恋する女の喜びや、捨てられた女の悲しみを、ビリーほど美しく、深く、品位をもって歌える歌手は他にいなかったのです。

また他の楽器に耳を傾け、自分の声を効果的に使うという能力も持っていました。

 

 

作者:矢崎 在美さん

埼玉県出身。1985年、星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞。

1989年に作家デビュー。「ぶたぶたシリーズ」のほか、「食堂つばめ」シリーズなど。

 

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感想(2件)

 

 

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散歩コースは、お花屋さんめぐりもいいですよ。

秋です。

青空がきれいなこんな季節は、サイクリングやお散歩がいいですね。

私の散歩コースは、図書館めぐりと、お花屋さんめぐりがあります。

お花屋さんは家の近くに、4軒あるんですね。

散歩しながら、家々の木々やお花を観賞しながら、お花屋さんも眺めていきます。

 

今ごろだと、どのお花屋さんにも、秋桜がキレイな花を咲かせていて、

眺めているだけでも楽しい気分になります。

なんて安あがりな私なんでしょう!

 

そして、気に入った子(お花)があったら、

家に連れかえってきます。

これも、なんだか楽しいです。

どこに置こうかとか、どこに植えようかとか考えながら、あれこれ眺めているとわくわくしてきます。

 

樹木は気に入っても、ちょっと衝動買いはできません。

これから何年かしたら、どのくらいの大きさになるのかな・・・って思うと、

やっぱり躊躇してしまいます。

まあ、お花もそうなんですけどね。

けっこう、お世話が大変なこともあります。

 

そして、今回連れてきたのが、↓↓↓これです。

 

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お題「これ買いました」

 

これはお花は咲きません。

これ、なんでしょう・・・。もこもこっとして、ちょっとかわいい感じがします。

家の南側に、箱庭みたいな、こうコケが生えていてしっとりと落ち着いた空間をつくりたいなあ・・・なんて思ったりもしているのです。

でも、机に置いたら、なんだかいい感じの安らぎの空間になりました。

このもこもこを眺めならが、お茶を飲むのもいいかも、です。

 

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霧のむこうのふしぎな町/柏葉 幸子/感想レビュー

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霧のむこうのふしぎな町/柏葉 幸子/竹川 功三郎・絵/講談社

 

感想

主人公は小学6年生のぽっちゃりした女の子のリナ。

夏休みに「たまには変わったところもいいもんだぞ」というお父さんの勧めで、霧の谷というところへ向かった。

リナは1人で静岡から東京と仙台で電車を乗り換えて、無事目的の駅に降り立ったものの、すごい片田舎で、来るはずだった迎えもなく途方にくれてしまう。

迷子か家出と怪しまれながらも、すでに廃坑になったという銀山村の方角に行ってみる。そして、山の中のヒマラヤ杉の間を行くと、霧が立ち込めて・・・やがて霧が晴れると、目の前には西洋風のおしゃれな街並みが・・・。

 

とつぜん、風がブワーとふいた。森はいっせいにガサゴソといい、かさがぱっとひらいて、風にとばされた。リナは、つかまえようとしたが、かさは二本のヒマラヤすぎのあいだにかくれてしまった。リナは、かばんをつかむと、あわててそのヒマラヤすぎのあいだにとびこんだ。

 

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ここがファンタジーの入り口になります。

ファンタジーは入り口と出口が、とても大切です。

じつにリアリティがあります。リアリティがあると、本当のことのように思えて、そこから先へと、するすると不思議な世界に入っていけるのです。

リアリティがあるのは、もっと前の田舎の駅に降り立ったころの、

 

ホームが一つで、木のベンチが二つてあるだけの、小さな駅。舗装れていない道ばたの雑草にも、駅の建物も、土ばこりがあつくかかっている。そのせいか、町が白っぽく見える。一台の自動車と、二、三人人が、のろのろと動いている。はりきっているのは、太陽だけのようだった。

 

もしかして、あなたはこういう田舎をどこかで見かけたことがありませんか?

私の母の実家がこういうところでした。ここで、もう、ぐっとこの話に引き込まれてしまいます。

でも、こういう現実の世界もいいですが、ほんとうは誰でも、今とは違う、もっとすてきな場所へ行ってみたいと思っているものです。

どこか異国情緒があって、現実のいざこざから解放されるようなところへ。

 

この話は、最初の現実世界の描写がとても上手いので、そのままファンタジーの中へ無理なく入っていくことができます。

入ってしまえば、とりあえずは何でもござれで、作者のルールがこの物語の世界を支配します。なんて楽しいことでしょうか。

読者はいっとき、この憂さの多い現実から逃れて、楽しい物語の世界で遊べるのです。

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森の深い緑の中には、赤やクリーム色の家があり、石だたみの道は雨がふったあとのようにぬれていた。森の中に、たった6けん。しいんとしてだれもいないようだ。まるで外国へでもきたみたいだった。

 

さて、ここはあの人気番組の“ぽつんと一軒家”ではなくて、ぽつんと6軒家です。しかも、西洋風の街並み

1つがリナが泊まることになる下宿屋ですが、他の5軒は、本屋、海の店、せとものの店、お菓子屋、おもちゃ屋などのお店なのです。

そこの店主も、それぞれ個性豊かな人達ですが、売っているものも面白いし、そのお客もどこか変です。

それに、そもそもこんな山深い森の中へ、いったい誰が買いに来るというのでしょうか?

 

そしてまた、リナが泊まることになったピコット屋敷という下宿屋は、家主のピコットおばあさんはじめ、下宿人もみんな変わり者ばかりです。

大きくて丸くて真っ赤な鼻をしたイッちゃん。真っ白いかっぽう着を着たキヌさん。名コックのジョン。それから、金色の毛で、緑色の目をした大きなねこのようなジェントルマンなど、個性豊かなキャストばかり。

なんとなく面白そうな展開を予想させてくれます。

 

ピコットおばあさんは、「働かざる者食うべからず」といって、リナにそれぞれの店に働きに行かせます。

そうして、色いろな事件や出来事に遭遇して、やがてリナは『霧の谷』の秘密に気づいていきます。

たとえば、本屋さんでは、

 

「おかしいなあ。あそこをまがると、いつもの古本屋のはずなんだけどな。こんな店あったかな」

 

といいながら、予備校通いの学生が入ってきて、詩集を持っていきます。

店主が代金はいらないといったので。そして、この店のことをこう説明します。

 

「この町は、いろんなところとつながっているの。距離なんてないの」

 

不思議ですね。でも、こんなお店がどこかにあったならって、思いませんか。

向かいの海の店「バカメとトーマスのいる店」では、

 

ここへ海の男だという船長が、ふらっとやってきます。

彼の父も祖父も船乗りだったのですが、自分の船を持てませんでした。祖父はいつか自分の船を持ったら、船長室に置くのだといって1つのランプを大切にしていました。

男はやっと船を持てたが、祖父から受け継いできたランプを、シケで失くしてしまったのです。

そのランプが、なぜかこの店にあるのです。

 

「そうだ。これだ。まったくおなじだ。ここにネプチューンの像がついている。これだ」

と、手にとってうれしそうにながめた。

船長さんは、ランプをなでまわしながらきいた。

トーマスは、

「いりませんよ。あんたのものだから」

とこたえた。トーマスの茶色の目は、きらきらひかった。

 

この『霧のむこうのふしぎな町』は、ファンタジーですが、大冒険も、壮大な魔法も、激しい戦いもありません。こんな所はあるはずがないのに、もしかしたらどこかにありそうな町のような気がしてきます。

出てくる人達もちょっと変わりものですが、なれ親しんだ誰かのようで、愛すべき人物ばかりです。

ただし、この『霧の谷』に行くことができるのは、リナのような心を胸に秘めた人だけかもしれません。

なぜなら、このファンタジーは楽しいだけでなく、ちょびっとだけ真実も混ぜてあるのですから。

せともの店でシッカが粉をふりかけて、せとものが本当の姿になったように、

もしかしたら、大切なメッセージがどこかに隠れているかもしれませんよ。

 

作者 柏葉幸子(かしわば さちこ)

1952年岩手県に生まれる。東北薬科大学卒業。

1975年講談社児童文学新人賞を受賞。

同書にて日本児童文学者協会新人賞を受賞。

「地下室からのふしぎな旅」「天井うらのふしぎな友だち」

「ふしぎなおばあちゃんがいっぱい」「かくれ家は空の上」

 

 

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お題「我が家の本棚」

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万年筆から歌が聴こえる・・・

万年筆の良さっていうのは、一本の線であってもインクの濃淡が出て味わがある文字になるっていうか、温かみがある文字になるっていうか、そういうところなんじゃないのかなあって思います。

こう力を入れたところは若干太めの線になったり、とめのところは濃くなったりして、面白いし、個性も出てきますよね。ボールペンだったら、なかなかこうはいかないなって。

小学生のとき。初めて万年筆を使おうとしたら、兄に「鉛筆と違うんだから、力を入れて書いたらペン先がダメになるぞ」っていわれて、ドキドキして書いたのを思い出します。

子供向けの雑誌の付録だっんだけどね。

なんだか、ちょっぴり大人になったような気分になって、すごくわくわくしたっけ。

 

そういうのって、きっと少数派かもって思います。忙しい現代では、万年筆はあまり向かないですよね。

ちょっとだけどインクが乾くのを待たなければならないし、

インクだって、ボールペンよりは早く切れてしまい、カートリッジを入れかえたり、インクを吸入したりと、手入れだって面倒です。

 

だけど万年筆愛好家にとっては、そこがまたかわいいところです。

大すきなペットのように、

「ごはん、ごはん」と催促したり、

「遊んでよ」とじゃれついてきたり、

トイレの世話だってあります。

時には不機嫌になったりして・・・。

でも、そういう面倒なところも含めて、ペットって限りなくかわいいですよね。

 

ペットと並べるのもどうかとは思うんですが、

まあ、そんな感覚とでも思ってくれたらいいのかな。

そして、そういうわけで、

理由もなく、私は万年筆がただ好きなのです。

朝、一日の計画を立てるときには、必ず万年筆で書きます。

うん、やるぞ!!

という気分になってきます。

 

かといって、私はコレクターではないので、そんなに多くは持っていません。

極細字、中字と太字の中間くらいの中字、をそれぞれ1本と、細字を2本、モンブランの違うモデルのものを使っています。それぞれみんなちがう色を入れて楽しんでいます。

だけど、たまに数年に1度くらい、新しいやつが欲しくなってきます。

たいがいは我慢してやり過ごすのですが、買うとやっぱりテンションが上がります。

心の中で、鈴が鳴るのです。

 

今回は、ちょっと買ってしまいました。

もちろん、使うつもりで買ったのです。M字だから、これにミッドナイト・ブルーを入れて使おうと思っていました。

それなのに、未だに使えていません。

眺めてニヤニヤ、手にしてニヤニヤしているだけです。

これでは、コレクターではないか。なんということだろう・・・。

 

さて、今回私が新しく買った万年筆というのは、これです。↓↓↓

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MONBLANC グレートキャラクターズ ザ・ビートルズ スペシャルエディション

 

ビートルズ・・・そういう世代ではなかったけれど、真っ暗闇の中を歩いていた高校時代。

その道を強烈な光で照らしてくれたのが、ビートルズの曲でした。

もうとっくに解散していたけれど、遡るようにして独りで聞いていました。

 

今、クラシックだの、その前はジャズだのといっているけれど、そのはるか前に胸躍らせて聴いていたのはビートルズ。すべての曲を知っている・・・。

いつ頃から聴かなくなったのだろう・・・か。

やっぱりあれから。あのショッキングな事件から、聴かなくなってしまったような気がします。

今から思えばだけど、なんとなく封印してしまいました。

 

そして、今、このビートルズの万年筆を手にすると、なぜか頭のなかに、いろんなビートルズの曲が聴こえてくるのです。

なぜなんだろう。

万年筆から曲が聴こえてくるなんて・・・・。

 

お題「これ買いました」

 

 f:id:sakurado:20210326161259p:plain みなさん、こんにちは!

いつもご訪問をありがとうございます💛

 

「テンションが上がるものを買うのは、無駄使いじゃないよ」

斎藤一人さんの言葉です。

いいこというなあ・・・。

  

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野ばら・月夜とめがね/小川未明/感想

f:id:sakurado:20210930124653j:plain 野ばら/月夜とめがね

小川未明・作/中川貴雄‣絵/宮川健郎・編 [岩崎書店]

 

野ばら

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大きな国と小さな国の国境に、国境を守るために兵士がやってきていました。そこは野ばらが茂っていて、朝からみつばちが飛んいました。

大きな国の兵士は老人で、小さな国の兵士は若者でした。

そこはさびしい山の中だったので、いつしかあいさつを交わすようになり、将棋をするまでになりました。

 

小鳥はこずえの上でおもしろそうにさえずっていました。

白いばらの花からは、よいにおいをおくってきました。

 

将棋をしながら、

老人の兵士が「せがれや孫がいる南の方に帰りたいものだ」と言えば、

「あなたが帰ってしまっては困ります。どうぞ、もうしばらくいてください」

と、青年の方がいったりします。

なんて平和で、穏やかな日々でしょうか。

 

この話を読んでいると、頭の中にルイ・アームストロング(通称サッチモ)の

「この素晴らしき世界」What aWonderful World の美しいトランペットの曲が聞こえてくるような気がするのです。

この曲(歌)は、あたたかい春の日に、ひなたぼっこをしているような気持にさせてくれます。

サッチモが美しい自然とそのなかにたたずむ平和で幸せな人々を歌ったこの頃、

アメリカはベトナム戦争をしていました。そして、連日、大きな犠牲者が出ていました。

若いシンガーは、こぞって反戦歌を歌ったのです。

もちろん、サッチモもこの戦争に心を痛めていました。

しかし彼は、反戦を叫ぶ代わりに、ひたすら平和であることのすばらしさを歌うことによって、逆に、戦争の悲惨さや虚しさを伝えたかったのだろうといわれています。

 

小川未明氏の「野ばら」も、同じように、ひたすら平和でのどかで、

野ばらが咲いている美しいところでの兵士の友情を描くことによって、

逆に戦争の悲しみを伝えたかったのではないのだろうか

と思うのです。

 

平和だったこの2つの国は、やがて敵味方になって戦うことになります。

青年の兵士は、この老兵と戦うことを拒んで、激戦地へと赴いていきます。

年老いた兵士はそのまま国境に残されて、ただひたすら青年の身を案じていました。

そして、旅人から、その後、戦争がどうなったかを知らされます。

そうすると、

 

あちらから、おおぜいの人の来る気はいがしました。

一列の軍隊でありました。そして、馬にのってそれをしきするのは、かの青年でありました。

軍隊はきわめてせいしゅくで声一つたてません。

やがて老人の前を通るときに、青年はもくれいをして、ばらの花をかいだのでありました。

 

ここで老人は、はっとして目覚めるのです。夢を見ていたのでした。

野ばらは枯れてしまい、老人は南のほうへ帰っていったのです。

 

このお話の題名になっている「野ばら」は、この話のなかにたくさんでてきます。

この平和で穏やかな日々に、野ばらは、匂うように咲いていたのです。

そうして、青年が夢の中で野ばらの匂いをかぐところで、目がさめるのです。

この野ばらの匂いをかぐというところに、作者小川未明氏の思いがぎゅうっと凝縮されて描かれているように思います。

そして、野ばらが枯れたというのは、どういうことなのでしょうか。

 

野ばらは、平和の象徴なのでしょうか。

それとも、もっと違うなにかでしょうか。

たぶんそれは、野ばらをみたときに、あなたの胸のなかにそっと咲いたそれ

なのです。

ちなみにこの作品「野ばら」が書かれたのは、第1次世界大戦の少し後だそうです。

これから、また大きな悲しい戦争に入る少し前のことです。

 

 

月夜とめがね

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おだやかな、月のいい晩のことであります。

しずかな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただひとり、窓の下にすわって、針しごとをしていました。

ランプの火が、あたりを平和に照らしていました。

 

月の光は、うす青く、この世界を照らしていました。

なまあたたかな水の中に木立も家も丘も、みんなひたされたようであります。

 

これもとても平和で穏やかなおばあさんの暮らしが描かれています。

なまあたたかな水の中に……というようなところで、

これからなにか不思議なことが起こりそうな怪しげな感じが描かれています。

 

かすかに町のにぎわいを遠くに聞きながら、おばあさんがぼんやりとしていると、そこへめがね売りがやってきます。

おばあさんはちょうど目がよく見えなくて困っていましたから、そのめがねを買ってつけてみました。

すると、それはそれは良く見えるようになったのです。

さて、おばあさんがもう寝ようとめがねを外したら、また外の戸をトントンとたたくものがありました。

それは若い娘で、香水製造場にやとわれているといいます。

おばあさんがよく見ようと、さっそく買ったばかりのめがねをかけてみて、

おばあさんは娘の本当の姿を知るのです。

 

さて、この話のラストにも、やっぱり野ばらが出てきます。

おばあさんの家の裏には、花園があるのです。こんなふうに

 

花園には、いろいろの花が、いまをさかりとさいていました。

昼間は、そこに、ちょうや、みつばちが集まっていてにぎやかでありました。

けれど、いまは葉かげでたのしいゆめを見ながらやすんでいるとみえて、まったくしずかでした。

ただ水のように月の青白い光が流れていました。

あちらのかきねには、白い野ばらの花が、こんもりとかたまって、雪のようにさいています。

 

穏やかで平和でしあわせな情景が、目に浮かぶようです。

あの時代に作られたとは思えないような、みずみずしくてやわらかな感性です。

ひとつの言葉のむだもない、なんて美しい文章でしょうか。

 

 

小川未明(おがわ みめい)

1882~1961年。新潟県生まれ。早稲田大学卒業。

雑誌『少年少女』の編集に従事する傍ら童話を発表し、

1910年、最初の童話集『赤い船』を刊行。

 

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お題「我が家の本棚」

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野ばらは昔、滝平二郎氏の影絵を観たことがありました。

お話に合わせて影絵も変わっていきました。

日本児童文芸家協会で観たような気がするのですが、

何十年も前なので思い違いをしているかもしれません。

影絵も滝平さんのだと思っているんですが……。

ただ、とても美しかったという記憶だけは、間違いありません。

 

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