2か月に1回程度、ケアマネージャーが集まって会議をします。話し合いはその時々によってまちまちですが、その中でいつも行うのがこの事例検討会です。特に支援が困難な事例を皆で話し合うことによって、今まで一人では解決できなかったことを皆で考えてみて、新しいヒントがみつかったり、参考にしたりできるようになります。
実際に支援している人ですが、個人情報なのでもちろん匿名で誰だかわからないようにして行います。今回の事例は70歳の女性で要介護5の人でした。仮にAさんとします。Aさんは狭心症、糖尿病性の腎不全で週3回の透析を行っています。また脳梗塞の後遺症による麻痺や拘縮があって手厚い介護が必要な方です。
自宅でご主人が介護をしていましたが、ご主人が高齢となって介護ができなくなったため、サービス付き高齢者住宅に入居されました。本人はマッサージやリハビリがしたいということで、デイサービスに行っていますが、疲れていてあまり参加されずに横になっていることが多いそうです。
睡眠剤を使用していますが、夜間も眠れない事が多くて、息苦しさを訴えてベッドから車椅子への移乗を希望されます。車椅子に移ると、少しは楽になる気がするのだそうです。それで多い時では15分~20分おきに希望されて、何度もくり返されるそうです。そのため、Aさんの疲労が取れず日中も気力がなく居眠りすることが多くなってしまっています。また、夜間は介護の者が1人しかいないため、他の利用者さんのコールに対応しきれなく、介護者の負担が大きくなって困っているとのことでした。
……簡単な説明ですが、このような方の支援はどのようにしたら良いのだろうか、というのが課題となります。これを皆で、あ~でもない、こ~でもないと、話しあうわけです。今回の出席者は14名でした。この位いると、皆さん豊富な経験がありますから、さまざまな意見や提案が出てきたりします。
この時は「ブレインストーミングの4原則」というので話し合いをします。それは、
① 批判禁止
② 自由奔放
③ 質より量
④ 便乗発展
ということで、活発に誰でも意見が言えるようにという趣旨からです。
そういえば、ずいぶん前ですが、精神科医の事例検討会に出たことがありました。その時は精神科医数名と看護師、デイケアの理学療法士、作業療法士、あと福祉関係者で行いました。その時、ある精神科医の先生が、
「患者さんに言われたことで傷つきました。そういう時にはどうしたらいいだろうか?」
という趣旨の発言をされたことがありました。その時に、ああ、精神科医のお医者さんでも、患者さんの言葉で傷ついたりするんだと思って、意外な発見だったのを今でも覚えています。
その事例検討会にも何回か出席させていただきました。よくわかりもせずに色々言ってしまって、後になって冷や汗が出る思いですが、今となってみれば、いい経験でした。ありがとうございました。