初公開のムービングアートピクチュア―とオルセー美術館公認リマスターアート
という興味をそそられる絵画展をイオンレイクタウンKazeでやっているというので、観に行ってきました。
リマスターアート
リマスターアートっていうのは、わかりやすく言えば『良く出来た複製画』っていうことでしょうか。解説には「世界で最も進んだ絵画技術と言われ、これにより作家独特の絵筆のタッチや厳密な色彩を再現しています」とありました。
なるほど、入場した途端にミレーやマネ、モネ、ゴッホにルノワールと、名画に次ぐ名画が所狭しとずらっと並んでいます。そういえば最近、絵画展に行っていなかったなあ……、モネの絵画展は確か東京都美術館だったでしょうか……休日だったせいもあってか2時間くらいの長い行列に並んで、中に入ってからも多くの人の肩越しにやっと観れたような感じでした。そんな思いがふと脳裏をよぎりました。
しかも、ここは撮影OKなんですね。写真は素人ですから、こんな感じですね。それにうす暗い部屋で絵画に強いスポットライトが間近で当たっていますからね、どうしても影が映り込んでしまいます。原画だったら、絵が傷むので、こんな風には照明をつけられないんじゃないのかな。
エドゥアール・マネ 『笛を吹く少年』1866年
※ 友人が連れてきた近衛軍鼓笛隊員がモデルとされていますが、顔の部分だけマネの息子のイオンであると言われています。当時一部で流行っていた浮世絵の技法を取り入れたジャポニズムの影響を受けた作品となっています。
印象派以前は写真のような正確で写実的な絵画が良しとされていましたから、筆の跡が残るような作品は未熟とされていました。マネは批評家の非難や世間の嘲笑にさらされても、自らの絵画を追求し続けました。後に印象派と言われているモネやルノアール、ゴッホなどたくさんの若き画家たちがマネを慕って集まり、マネはこっそり売れない絵を買い上げるなどの経済的な援助もしたそうですよ。マネは兄貴分的な存在だったんですね。
クロード・モネ『かささぎ』1868-1869年頃
オーギュスト・ルノアール『ジュリー・マネ』1887年
気になる絵を、パシャパシャと。
かささぎは89㎝×130㎝で、わりと大きな絵です。キャンバス一面に雪景色があって、かささぎは左側の木戸にうずくまるようにしてとまっています。この写真ではわかりづらいですが、ちょうど光が反射している下の所です。モネはこの雪質の変化を細かい凸凹をつけたり、長いストロークの筆致で表現しているんですね。
ここだけ雪が降っているようです。ふと昔、やっと手に入れたカメラを手に、雪景色をパシャパシャ撮った思い出がよぎりました。こんな感じでした。でも、カササギはいなかったし、カラスもいなかったなぁ……ただの雪景色で……このカササギが気になるところではありますが、モネは雪の風景を描きたかったらしく、生き物を一点入れたことによる効果を狙ったのでしょうか……。
ジュリー・マネは、もちろん猫の表情が気に入ったのでパシャっと。子供たちが集まっている所に行ったら、この絵がありました。そういえば美術館でのモネ展もフェルメール展も、子供たちはあまり見かけなかったという印象ですね。 この絵はルノアールの良さが出ている一枚で、なごみますよね~~(*´ω`)
ムービングアートピクチュア―
リマスターアート(超高精細デジタルレプリカ)とデジタル映像の融合で、絵画が動き出す新しい表現とあります。わかりやすく言えば、プロジェクション・マッピングを使った今流行りのデジタルアートですね。
絵に向かって手を振ると、絵に風が吹いてスカートが風になびきます。
日傘の女 [ 左向き ]
クロード・モネ 1886年
絵に斜めに風が吹いていますが、これは原画にはありません。足元の草は上向きに吹いています。原画には女性の日傘を押している風向きと足元を拭き上げる風があって、人工に作られた風は、絵画での足元の風を全く無視した風の流れになっています。実際はこういうことは起こりえない現象ですが、遊びとしては面白い試みかもしれませんね。
『 泉 』
ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル オルセー美術館所蔵
ちょうどセッティングしている所に遭遇しました。そこで無邪気に遊ぶ子供達です。
いい具合に子供達が動いてブレてくれたので、肖像権とどこかの親に言われなくてすみそうです。壺から水が流れて、下の泉では足を乗せるとこのように波紋が起きます。
子供達も含めて、なんだかいい感じの1枚ですね。
『ローヌ川の星降る夜』フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年
きれいですね。この絵も、星がひときわまぶしく輝いています。この絵の前に立って両手を上に上げて振ると、画像のように流れ星がながれて、こんな感じになります。
描かれているのは、当時ファン・ゴッホが借りていたラ・マルティーヌ広場に面する黄色い家から、徒歩1、2分のローヌ川岸からの眺めです。北の空におおぐま座が輝いて、川面にはアルルの街のガス灯が映えています。
「簡単に言えば夜景、もっと詳しくはガス灯の下で描いた星空だ。空は淡い青緑色で水はロイヤルブルー、地面は藤色だ。街は青と紫。ガス灯は黄色で川面に映った灯は朽葉色から緑がかったブロンズ色まで。アクアマリンの空にはおおぐま座が緑とピンクに輝いて、その青白さがガス灯の眩しい金色とコントラストを描いている。画面の手前には恋人たちがいる」
ファン・ゴッホは、弟テオへの手紙の中で、こう説明しています。
自然の夜空に輝く色彩と、ファン・ゴッホの時代に新しく生まれた人工的な光を描こうと苦心していて、『夜のカフェテラス』でも同じように表現されています。そうであるならば、現代のさらに新しく生まれたデジタルの光は、ファン・ゴッホが描いた自然の星空の上に瞬かせるよりも、もっと違った場所に映し出した方が、自然の星とガス灯とデジタルの光との3つの時代の光を表現できたのではないかとも思えてきます。
「どうですか?」と、スタッフの方にお声をかけていただきました。
「楽しませていただきました」と、返答しました。
絵画は私の場合に限っていえば、『感動できるか』が基準となっています。それは有名な絵画というわけでもなく、もちろん名画に心を動かされたことが多いのですが、そればかりではありません。ただ圧倒的に、それが原画だったのは何故なのでしょうか……なんとなく原画には、エネルギーが閉じ込められているような感じがします。それは絵が持つ波動というものでしょうか、一つの絵の前に足止めにされることがよくあります。今度は原画を観たくなりました。ただ、
印象派もその時代には、なかなか受け入れられませんでした。こういう新しい試みも、時代と共にいつしか成長発展して、後の世では「ムービングアートピクチュア―派」とか呼ばれるようになるかも、なあんて想像するのも面白いですね~~。(*^^)v
※ イオンレイクタウンkaze 埼玉県越谷市レイクタウン4丁目2番地2