お題 : お盆のサービスエリア ≪敬称略≫
1位 丘みどり 才能アリ 72点
夏の雲 サイドミラーに ひしめきぬ
丘みどり:
お盆のサービスエリアですごく混んでいる時に、「あ、ちょっと、飲み物でも買いに行こうかな」と、ふと出ようとした時に、サイドミラーに映った雲を見て、「あ、夏だな」と感じる句です。
夏井いつき:
あなたの目に映ったものを、非常に素直に、的確な言葉を選んで表現できている。描写できている。それを褒めないといけないということになります。
「夏の雲」を書いただけで視線はもう見上げてますね。「見上げれば」と書く必要はないですね。そして「に」というのもサイドミラーという小さなものに、焦点をきゅーっと絞っていくようなそういう効果を持っています。
最後「ひしめく」という動詞を選んだ、これが全てです。サイドミラーにから、鏡の中にさらにアップがずーーっと焦点が絞られていくでしょ。そこに、ひしめいている、これだけで夏の雲の勢いもわかりますね。シンプルに作ってるけど、よく作れている、そして作者を見て、あんぐる。よく勉強した、エライ。
2位 和田アキ子 才能アリ 70点
裏道も 果てなき尾灯 夏の月
和田アキ子:「ちょっと、泣きそう、マジ!?」
高速嫌いなんですよ。いつまでいってもちょろちょろだと大変。裏道回っても、みんな一緒。ブレーキランプ、そうしているうちに夜になって、見上げた。
夏井いつき:考えないといけないポイントは、まさに「も」なんです。特待生になったら、この「も」が大丈夫かどうか? ちゃんとわかるようになる。すばらしいと思いますよ。正解は名人のいう通り「も」は良いんです。裏道もということは、表の大きな道も当然(渋滞)ということを、この人は言いたいわけです。「も」が気になると、特待生以上の人は気づくわけです。助詞「も」はダラダラした文章のような句になりやすい。この「も」を、あまり気にならないようにするという方法もあるんです。
裏道も 尾灯果てなし 夏の月
文脈が下五に流れていくので、「も」の説明くささを、尾灯がずーっと果てなく続いていると、光景がちょっとずつ広がっていく。そうすると、夏の月が赤く熱く尾灯の色のように浮かんでいると、こんな感じになるわけです。作者わかって、もう、ビックリ!( ゚Д゚)!
昇格試験 永世名人への道 現在 名人10段 東国原英夫
墓参り 後ろに誰か ゐるやうな
東国原英夫:墓参りに行くと、何か後ろに気配がある。先祖なのか、何なのか……振り返れないな。もし先祖なら帰ってしまいそうな気がする。大切にしながら、墓参りをする。その辺、ゾーッとしている。それを句にしました。
結果 現状維持
夏井いつき:ゾクッとさせて欲しい。
伝えたいことはちゃんと分かります。特に中七から下五にかけての「何かいるんじゃないか」という、この気配、気分ですね。それはもうたくさんの人が共感するんじゃないですか。そうなった時に、リアリティがちょっとだけ足りない。リアリティを足りなくしているのが「ような」。そんな気がするんだけど……そんなような。ここでリアリティが削げてしまう、と。こういう話なんです。
たれかゐる けはひ 墓参のうしろ
「 うしろ」と言われた瞬間に、「えっ?」と思う。ゾゾっとしませんでしたか? うしろと展開するから、小さくゾクゾクっとする。これができれば、一歩前進。
残暑お見舞い申し上げます~~💦
酷暑の毎日ですので、熱中症などお気をつけください。