お題 / 秋の果物屋さん
≪ 敬称略 ≫
MC 浜田雅功
アシスタント 玉巻映美
田山涼成 :
特待生昇格スペシャルに呼ばれたことが、とても光栄です。
ありがとうございます。あの……自信は……あります!
光浦靖子 :
ちょっとずつ、分かってきたような。
ゆっくり番組で、私を育ててほしい。
森口瑤子 :
今日も、前も、自分で作りました。
馬場典子 :
なるなる詐欺で。
パンサー
向井慧 :
意外と才能アリ、とってるんですよ、じつは。
フジモンさん、それこそお世話になってる先輩なんですけど、ご飯誘われた時に、俳句をどうしても作らないといけないと思って、フジモンさんの誘いを断ってしまって……。
【 第1位】 光浦靖子 才能アリ 73点
無花果や 苛めたきほど 手に懐き
「無花果の形と重みが、なんかこう、ペットみたいというか、生き物みたいな。かわいいんですよ。かわいいからこそ、ベッとやりたくなる感情……」
夏井いつき :
季語の感触を、ここまでリアリティーとオリジナリティーを持った表現で書けるっていうのは、大したもんだなと思って。
すばらしいですよ、本当にすばらしい!
17音全部使って、「無花果」という季語のことだけを書く、これ一物仕立てっていうんですが、難しいんです。そのやり方で、無花果という季語を見事に描きました。
ご本人の話も良かったですね。
丸みとか、重さとか、それがちょっと、こう無防備な小さな生き物みたいな。
無花果以外のもので、その感覚が表現できるものは、なかなか無いと思うんです。
この人は作家ですね。そしてあなたは、本当に才能があります。久々に期待の特待生です。
特待生昇格 !!
【 第2位】 馬場典子 才能アリ 71点
マンションに 替わりし八百屋 秋夕焼
「近所に大好きな八百屋があって、そこが数年前に閉店しちゃったんですね。
先日、久しぶりにどうなっているかなと思ったら、もうマンションに変わってて、ちょっと、こう寂しさと懐かしい思い出を、季語「秋夕焼」に込めてみました」
夏井いつき:
全体としては、非常にきっちりと出来ている句ですね。
マンションというのが眼前の光景、八百屋というのは過去の光景。一句の中に、現在と過去、時間・光景も一緒に書いて、破綻しないというのは、それなりにバランスが難しいんです。
「し」は過去の意味で、きちんと使えています。
季語「秋夕焼」が広がって、昔の八百屋の秋の夕焼け、今のマンションの秋の夕焼け、夕焼けは変わらないで、季節を刻んでいる。そういうところが、この季語「秋夕焼」の効果になりますね。
相当勉強なさったんだと思います。その跡が、ちゃんと見えますね。
これだけきっちり自分で勉強できる人は、特待生になっても大丈夫だと思います。
特待生昇格 !!
【 第3位】 森口瑤子 才能あり 70点
唐黍は 縦一列に むしり食む
「わたしはトウモロコシはいきなりがぶりつくよりも、縦一列をむしり取って、ハムハムって食べるのが好きですっていう句です」
夏井いつき :
名人のおっしゃる通り、それがどうした?という句。しかしながら、どうでも良いことを書いて、文学作品になるのが俳句の面白いところなんです。
他の物は色んな食べ方をするけど、唐黍「は」こういう風に食べるのという助詞の意味が分かって使えています。
むしり食むなんて古い言葉を使って気取っている、滑稽感というか、おかしみというか、手練れの句かもしれないな。
もったいない点も1か所だけあるんですが、唐黍は、最初はまず縦一列と言った時、ニュアンスが変わる、そこだけ押さえると完璧だったと思います。
唐黍まず 縦一列を むしり食む
ますそこから一列食べるのねと、そしたら、読みは完全にぶれません。
【第4位】 パンサー向井慧 凡人 62点
御供えの 父剥く梨の 歪さよ
「4年前に母親を失くしているんですけど、それ以来、名古屋の実家に帰ると父親が「果物食べるか?」とか言ってくれるようになったんですよ。父親はそれをずうっとやってきてなかったんで、その歪な剥いてくれた梨があって、父親の不器用な優しさみたいなところを詠もうと思ったんですがね」
夏井いつき :
これはね、中七下五は、とても良く書けています。
たったこれだけの言葉に情報を入れて、意味を伝えていますね。ここは強く褒めたい。
御供えのと言われると、お供えしていた梨をお下がりいただいて剥くと言うのか、剥いた梨をお供えするというのか、そこがあいまいなんです。
作者が語った中に、良い言葉がありましたよ。お母さんにお供えするんでしょう、なぜそれを書かないの?
ジーンとするシーンですよ、これは。
母に供ふ 父剥く梨の 歪さよ
お父さんは奥さんを亡くして、お母さんにお供えする梨を慣れないような変な形、歪に剥いてお供えしているんだなって、全部言えるでしょ。
【第5位】 田山涼成 凡人 65点
みせさきを 色なきかぜが 色つけて
「駅前に古い商店街がありまして、そこの果物屋さんにいつもよしずが立てかけてあって、果物屋さんやめちゃったのかなと思った時に、秋の風がふわーっと吹いてきて、ご夫婦ががあーっとよしずを開けたんですよ。
その時に、秋のこの写真の色がばあっと目に入ってきて、なおかつこの老人夫婦の顔のも赤みがかって、「あ~良かった! うれしかった 」というふうに思った時の事を書いた句です」
夏井いつき :
この句も決して悪くはないんですね。
ひらがなで書きながら「色」だけ漢字にして、その工夫もありますし、色なき風が何かに色をつけていくという、
やり過ぎたら陳腐になってしまうんですが、陳腐にならない程度で抑えて、バランスも考えてらっしゃって、これは悪くないんですよ。
ただ1点、何の店先かが分かれば、映像がものすごくはっきり綺麗に出てくるんです。この場合は色なき風という、風から出発した方が絶対に得です。
色なき風が 色つけ青果店 明るし
最後の「明るし」と押さえるか、押さえないか、ここも大事です。
特待生昇格試験
名人4段 Kis-My-Ft2 横尾渉
ネットニュースとか見ても、出てるのに北山だったり、千賀、westの桐山が出てくるんですよ。
僕の名前が全然出てこない。もう飽きられてた。
スペシャルとか、千賀の名前ばっかり出る。北山とか、
オーレの名前、1こも出ない。
七色の 果実が並ぶ 秋の声
「買物に行く時、家から商店街に行くまでに、空気だったり、音だったり、全てで秋を感じ取っている。でも、お店で果物を見た瞬間に「あ、やっぱり秋になったな」という実感をする句になっております」
評価のポイント : 下五「秋の声」の是非
結果
現状維持 名人4段
夏井いつき :
現状維持の理由 季語の理解が浅い
良いところもあります。それはまさに藤本さんが褒めたところです。七色の果実というこの言い方、色んな果実の名前を具体的に出すと、それこそ山のような季重なりになります。しかし、色んな色とりどりの果実が並んでいるという、それを言おうとした時に、七色の果実という言い方は素敵だと思います。
問題なのはこの季語なんです。「秋の声」はどんな季語かというと、風の音とか水の音とか鳥の声とか、秋の物寂しい感じをその音からしみじみと感じるというのが、秋の声の季語の本質なんです。
そうなった時に、七色の果実というのはとても明るくて豊かなイメージの詩の言葉ですね、ですからそれを描きたいんだなと読んでいくと、ここで(秋の声)寂しい感じが出てきたら、読み手としてはこの句をいったいどう読んだらいいんだろう? キョトンとしてしまうわけです。
秋うらら(季語)と持ってきてもいいし、秋さやか(季語)なんていうアレンジしてもいいですね。さらに、「が並ぶ」というここが説明的で気になるわという場合は、頭に「店先の」っていう、さっきとは逆の話になりますが、
店先の 果実七色 秋うらら
豊かな感じするでしょ。
永世名人への道
名人10段 FUJIWARA 藤本
村上もね、ボクよく誘うんですよ。春夏連覇してから、ボク、1回も誘ってません。
嫌になりました、あれ。
アップルパイの 焼き立ての札 花鶏来る
「ボク、パン好きで、よくパン屋さんに行くんですけど、『フランスパン、焼き立てで~~す』とか言って、バックから出てくる……焼き立てみたいな札、あるじゃないですか。
ボクが行った時、アップルパイが焼き立ての札が出てたんですよ。アップルパイ、焼き立てのアップルパイ、アップルパイですもん、ボクは。アップルパイが、俺の1番推したいたいところ。
先生、小鳥でもいいんですけど、アップルパイがオシャレな感じみたいな、だから
アップルパイ」
評価のポイント : アップルパイの是非
結果 : 一つ前進 ★
夏井いつき
前進の理由 : 秋の豊かさが香る
花に鶏と書いて、花鶏(あとり)。秋にシベリアの方から渡ってきますね。
15㎝くらいの大きさでね、かわいい鳥なんです。これを季語として、まず押さえた上で、アップルパイを見てみましょう。
アップルパイの焼き立てですから、もうここで香ばしい香りがしてきますね。「の札」が出てきた瞬間に、パン屋さんの店先を書かなくても、ちゃんとパン屋さんは見えてくるわけです。
これがわかってるのが、やっぱり名人ですね。
ご本人もおっしゃってたけど、これ小鳥来るでも、句としては成立するんです。でも、あえて花鶏とすることで、こっちの色の方が秋らしい気分ですね。そして、アップルパイのりんごは秋の季語なんです。秋の豊かな感じが香ってきますね。
そして、アップルパイのア、花鶏のあ、ここでも、小さな音を押さえているわけですね。
YUYUの気ままな感想で~す (*^。^*)
藤本さんの花鶏って、なんだかステキな感じの句ですね💛
アップルパイが食べたくなりました。
MCの浜田さんは、流石いじり方が上手いですねぇ。
アップルパ~イ!