先日、引っ越し先の図書館に登録しました。
図書館は2週間というしばりはありますが、タダだしやっぱり便利ですね。
散歩にもちょうど良い感じの距離です。
今までは暑すぎて、散歩という気分ではありませんでしたが、
これからは散歩にいい季節ですよね。
図書館で、お目当ての本をいくつか手に取り、それからなんとなく書棚をながめていたら、この『益川博士のつぶやきカフェ』という本に出会いました。
そうそう、こうやって意外な本に出会えるのも、図書館のいい所だと思うんですよね。
つぶやきだから、軽~く書いてあって、気分転換にちょうどいいかな、パラパラッと中身を読んだら、けっこう面白そうなので借りてきました。
よくよく読んでみたら、軽~く書いてあるにもかかわらず中身が濃いんですね。
私、こういう本ってけっこう好みです。
つまり、難しいことを、簡単にかみくだいて書いてある本ですね。楽しくやさしく教えてほしいんですよね、はは(*^。^*)
逆に、カンタンな事を、難し~く書いてあるような本は、嫌ですね。
時どき、私はそういう手を使いますねどね。
「忍法~~煙幕の術~~ニンニン」ってね、
お役所に出す書類とか、報告書とか、ずらずらっていっぱい書いて、まわりくどくて中身を薄くするんですね、
追及されたくない所を、無駄な文章で薄めるんですね。
あるいは中身がちょっとしかないのを、いろんな複雑な文章で厚くするみたいな。
「エビフライ厚衣の術~~ニンニン」
結局、つまり、いったい、どういうことなんだって相手がイライラして、読むのがめんどーくさくなって、ま、いっかってなるのが手ですね。
いや、そうじゃない、わざとじゃなく、そうなってしまうのかも……反省(*´ω`)
ところで、奇しくも今週はノーベル賞週間なのだそうで、
じつはこの本の著者は、そのノーベル物理学賞を受賞されているんですね、2008年に。
ノーベル賞受賞の業績となる「CP対称性の破れ」っていう、そもそもCPって何?
何言ってんだかわけわかめ、な感じなんですけども、『益川博士のつぶやきカフェ』は、すご~くよく分かります、私のうすめた灰色の脳細胞でもね。あ、薄めたって、髪のことじゃないですよ、念のため。
益川敏英(ますかわとしひで)先生って呼ぶんですね、でも、本の中には、
≪「先生」と呼ぶと返事をしてもらえなかった。≫ というつぶやきがあって、名古屋大学の坂田研究室では、助教授から大学院まで互いを「さん」づけで呼びあっていました。というのがあって、これは研究体制の民主化という点で上下関係を取り払って自由に自分の関係を述べ合う環境を保障するためということだったようです。こういうところにもノーベル物理学賞を受賞する土壌があったんだなと思ったりしました。
そういえば、日立製作所もそうだった思い出があります。そして、部長は上から2文字にさんづけ、課長はもうちょっと長かったかな。
設計室で私は当時プログラマーでした。フォートランですね、
作ったプログラムは、課ごとに A~ 名前をつけていって、
私が働いていた課は F でした。
で、F のつぎに個人もそれぞれ A~ つけていって、
私が作った超かんたんなプログラムだったんですが、
H 以降だったら、何使ってもいいよって言われたので、
私は飛ばして X にしたんですね。
FX1とか、FX2、FX001とかつけていたら、
「〇〇さんのプログラムって、戦闘機みたいでカッコいいね」
って言われたのを、ちょっと思い出しました。
プログラムは、超しょぼかったんですけど。
皆さん、紳士的でしたね、個人的な感想ですが。
それから、
作家の後藤竜二さんも、「先生って呼ぶな」って言ってたっけ。
私も、万が一偉くなったら、そう言おう。
≪「おまえの努力が足りないのだ」と言えるほど、人生は単純なものではない。≫
これなんかも含蓄のある言葉だなあ~~。
「その人が生きている環境はさまざまで、スタートラインも違う。運やタイミングというものもあるでしょう。…略…どんなに努力してもうまくいかない、いい結果が出ない。そういうなかでそれでもなおかつ、その道を歩まざるを得ない人はたくさんいる」
ノーベル物理学賞を受賞した益川博士が言うから、いいんですよね。思いやりがあるっていうか。
私が言ったら、負け惜しみに聞こえてしまう。
でも益川博士は、五歳の時に空襲にあって、家財道具を積んだリヤカーで火の海となった街を逃げまどったという戦争体験があるんですね。
スタートラインが最悪だったんですね……。
≪失敗ありの人生は、とても楽しい≫
「僕にとっては『うまくいかなかった原因を分析して考える機会に恵まれた』ということにほかなりません」
と言っていますが、これはいろんな人が、だいたい成功した人が言っていますね。
わたしなんか研究課題が、富士山くらい山済みで、登頂できるんでしょうかってあるので、もう、楽しすぎますね。それについては……
≪麓から山を眺めて登頂ルートを考えているとき。それが僕にとっていちばん幸せな時間です。≫
と言っています。
これについては、分かるような気がします。私も駄作ですが、一つの物語を書き終わって、さて、つぎはどんな話を書こうかなって、ぼんやりと思いをめぐらせている時が、いちばん楽しいですね~~(´ω`*)💛
≪ひらめきは、あきらめた瞬間にやってきた。≫
ノーベル賞の対象論文にクォークという素粒子が6種類あるって書かれていて、当初発見されていたのは3種類。それで未発見のクォークが4種類として理論を組み立てようとしたらうまくいかなかった。それで4種類では説明がつきませんって、あきらめの論文を書こうとした。そのとたん、いっそいっきに数を増やして6種類のモデルにすればいいってひらめいたのだとか。
≪肯定のために、否定の作業を徹底して繰り返す。≫ とか、
≪目標は間違っていたってかまわない。予測はたいがい外れるものです。≫
とか、
≪冒険的な試みなしに、一流の仕事は成し得ません。≫
など、この本は全体的に、一流の研究者としての思いというか考えが書いてあるんですが、それがそのまま実社会の普段の生活にも役に立ちそうなところがあって、うれしいですね。
≪石橋をたたいて渡らず。≫
これも研究者としての姿勢というか、思いですね。
新たな研究成果や発見が、人類や地球環境の未来に悪い結果をもたらすかもしれないという認識や覚悟があって、石橋をたたいて渡らずというのも大切だとつぶやいています。
≪学ぶということは、自由を獲得するプロセスである。≫
これも面白くわかりやすく解説されています。
AとBの2つのレバーがあって、
片方を引くと100万円が、もう片方を引くと毒ガスが出ます。
どちらを選ぶかは、あなたの自由です。
と言われても、それは真の自由ではない。
Aのレバーは毒ガスが、Bのレバーは100万円が出るとと知って
はじめて選ぶ自由を得ることになる。
これは200年程前に、哲学者ヘーゲルが言っている。
科学という学問は、人間が自由を獲得し拡大し続けてきたプロセツだ
と説明されていますね。
その他にも、面白い内容のつぶやきが満載された本ですね。
益川博士は、本の最後に、
≪あと200年で、この地球上から戦争はなくなります。≫
という、すごく重~~いつぶやきで締めています。
※益川博士のつぶやきカフェ
株式会社 三省堂