桜さくら堂

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ふしぎな図書館 村上春樹著 ≪ 最近読んだ本 ≫

この「不思議な図書館」に出会ったのは、やっぱり図書館なんですね。

読んだのは最近なんですが、

≪ この作品は「図書館奇譚」

  「トレフル」19826月号~11月号初出)を、

   改稿いたしました。          ≫

とあるので、出たのは、けっこう昔なんですね。

村上春樹さんの作品は、その昔『ノルウェイの森』が話題になった時に

読もうとして、途中で、それもわりと最初の方で、

挫折してしまったことがありました。(´Д`)

それ以来、村上春樹さんの作品は読んでいないんです。

何故、ダメだったのか、今ではわからないんですね。

それで、今回、図書館でこの『ふしぎな図書館』を目にした時に、

そのわけが知りたくて、もう一度読んでみようと思ったわけです。

すごく薄い文庫本だったし、

佐々木マキさんのカラーの個性的で、すてきなイラストもついていたしね。

それで、もう、あっという間に読み切りました。

というわけで遅まきながら、この『ふしぎな図書館』が、

村上春樹さんの本を読破した最初の本となりました。(*´ω`)てへ。

良かった、良かった!!

読んで、なかなか面白い発想だな~~って、感心しました。

公共の図書館で、こうくるか、ってね。

この辺で、ちょっと、

                           ネタバレ注意! 

とでもしておきますね。

『ぼく』っていう子供が主人公なんですね。

ぼくが市立図書館に本を返しに来たところから、物語は始まります。

ごく普通のどこにでもある日常です。

このぼくは、革靴を履いているんです。

返した本が、「潜水艦の作り方」と「ある羊飼いの回想」で、

図書館で借りたい本が、「オスマントルコ帝国の税金のあつめ方」なんです。

へえ~~っ、なかなか面白い個性的なぼくだなって思いましたね。

すると、地下を案内され、さらに不気味な老人に

牢屋のような閲覧室に監禁されてしまいます。ふつうだったら、ついていかないところなんですが、

「なんだってぼくはこう、自分がほんとうに思っているのとはちがうことを言ったり、やったりしてしまうんだろう?」

って言いながら、牢屋のような閲覧室に素直に入ってしまうんですね。

そこで羊男っていう、じつに寓話的な存在が出現します。

羊男っていうのは、羊の着ぐるみのようなものを着た男なんですね。

「話がちがいますよ」って、ぼくが言うと、

「だまされたんだよ」と羊男が言い、

「だましたんじゃ」と老人が言うんです。

羊男は、こう言っています。

「ようするに、君は運が悪かったんだよ。世の中にはさ、そういうこともときどきあるんだよ」

と、寓話的なセリフが出てきます。

こういう会話はすごくたくさん出てくるんですね。

ぼくは、小さいころ、

道を歩いている時に黒い大きな犬にかまれたことがあるとか。

見ているだけで目が痛くなるような絶世の美女も現れるんですが、

この女の子は小さい時に声帯をつぶされてしまっているとか。

 羊男は女の子を知らなくて、存在しないって言ったりとか。

女の子は新月の夜には影が薄くなってしまい、

「新月が私たちのまわりからいろんなものをうばっていくの」

って言ったりとか。

あと、家でぼくの帰りを待っている母親の存在と、

飼っているムクドリのことが、

ぼくがとても気がかりになっている存在として

何度もなんども出てきます。これは、

サン・テグジュベリの『星の王子さま』を彷彿とさせます。

星の王子さまが気にしているのは、

残してきたバラなんですが。

上手いですね~~。

ふつうの人が、ちょっとしたことで、

うっかりと足を踏み入れてしまったりする不条理っていうか、

日常の傍に実際に存在する裏側の世界、のようなものを、

うまぁ~く書いているなあ、

流石、村上春樹さんだなって思いました。

ぼくは牢屋のような図書館の閲覧室から脱出を試みるわけなんです。

老人は大きな黒い犬をけしかけ、

ぼくがピンチになった時、

最後に、ムクドリがどんどん、どんどん、大きくなって……。

ぼくが飼っているムクドリって、

世論というか、民衆の声っていうか、

じゃあ、黒い犬は……権力のようなものなのかなあ……。

印象としては、残してきた母親を気にかけている……というところで、

宮沢賢治の銀河鉄道の夜での、ジョバンニとか、カンパネルラとかが、

母親のことを気にかけていたっていうところが、

なぜか思い出されたりして。

総合的な印象では、

(星の王子さま(サン・テグジュベリ)+銀河鉄道の夜(宮沢賢治))✖村上春樹さん

っていう作品 でしょうか?

(*^-^*) YUYUの勝手気ままな『ふしぎな図書館』の感想でした。