今週のお題「読書感想文」
🔔彡 カランカラン 🔔~~♬
「こんにちは」
「(^^♪ いらっしゃいませ、フラットさん 💛」
「いつもの、お願いします。あまり熱くない感じでね」
そう言うと、フラットさんはカウンターの隅の席に座ると、
文庫本を読み始めた。
フラットさん、今日は静かに過ごしたいいんだなと察して、
私は淹れたてのキリマンジャロを、そっと置いた。
「ありがとう」
フラットさんが言った。ステキな笑顔だ。どうやったら、こんないい笑顔が出来るんだろうって、いつも思う。
しばらく経つと、フラットさんは本をぱたんと閉じて顔を上げた。
「ねえ、マスター。今週のお題は、読書感想文らしいね」
「そうなんですよ」
私は、苦笑いをした。
「読書感想文か、なつかしいね。最近、本、読んでる?」
「それが、なかなか……時間がなくて」
「ボクもそうなんだ。昔はよく読んでたんだけどね。現実がひどかったんで、
ボクは本の世界に逃げてたんだよ。今でいう仮想空間さ。
次から次と、本を読んでたんだ。
図書館から借りてきた分厚い本もあれば、雑誌もあったし、マンガも読んだよ。
活字があれば手当たり次第にさ。
……だけど、感想文は嫌だったな。感想文っていうより、作文がね。
ボクが小2の時、先生がボクの作文に赤いインクで修正を入れたんだ。
たとえば、「行きました」っていうのを、
「ゆきました」って書いたんだ。
そこ全部、「いきました」って赤で直してあった。
まあ、似たような感じで、
他にもいろいろあったけど、とにかく
ボクの作文は真っ赤っかで戻ってきた。
ショックだったね。それ以来、ボクは作文は苦手になったんだ。
でもね、最近、けっこう有名な作家が、
「ゆきました」って書いてあるのを見つけたんだ。
これが、文豪なんだ。
笑っちゃうよ、それで、ボクは時どき、
自分の書くものにも、どこどこへゆきましたって書いてる。
確信犯だよ」
「へえ~~、そんなことが」
「ボクも忙しいけど、本は読むようにしてる。
そういえばーストラリアで、面白い統計をとったんだ。
貧乏な人とお金持ちの人とには、
生活習慣にどんな違いがあるのかって。
それによると、大きく5つの違いがあるらしいんだ。
そのうちの1つに、
お金持ちの人はたくさん本を読む
っていうのがあるそうですよ」
「それは面白そうですね。
他にどんな違いがあるんです?」
「貧乏な人はテレビが大好き。お金持ちの人はテレビを観ない」
「ヤバいですね、つい、テレビって、だらだらと観てしまうんですよ」
「それで時間が奪われて、
忙しくなるのかもしれないですね」
「なるほど……じゃあ、テレビを観る時間を読書に充てれば、
一石二鳥ですね」
「それは名案だ。ボクもそうしよう」
「他には?」
「貧乏な人は運動をしない。
お金持ちの人は、週3~4回運動やトレーニングをする。
貧乏な人はジャンクフードが好き。お金持ちの人は、良質な食事を摂る
かな」
「 (´゚д゚`)💦 」
「そして5つ目は、お金持ちの人は、両親や祖父母の誕生日には、
電話をしてお祝いを言う。
親って子供の声を聞くだけでうれしいもんですからね。
オレオレ詐欺に気づかないくらい
うれしいのでしょうね。」
「あっ」
私は急に大事な用事を思い出して、
スマホを手に取った。