売れっ子マンガ家が40代になって、
仕事が激減してしまい、セカンドキャリアとして選んだのが、
訪問介護のヘルパーでした。
売れっ子マンガ家さんというのは、主に4コマ誌で描いていたという
知る人ぞ知る(当たり前か)吉田美紀子さんです。
介護ヘルパーになったきっかけの辺りから、初任者研修のようすや、介護の初仕事、いろいろな利用者さんのお宅を訪問したことなどを、すなおに包み隠さずマンガで描いています。
4コマ漫画なので、ストレスなくスラスラと読み進めますよ。
さすが転んでもただでは起きない中年マンガ家さんですね。
これからヘルパーをやってみようかなと思っている人には、とてもわかりやすい入門書になっています。そして、介護に真っ最中なあなたは、きっとうんうんとうなずきながら読めるでしょう。
もしかしたら介護の世界がちょっとだけ楽しく見えてくるかもしれませんよ。
吉田美紀子著 双葉社
中年マンガ家の吉田さんがヘルパーになった
マンガ家 吉田美紀子さん(経歴)
山形県生まれ。うさぎと暮らしている。
20代の頃から4コマ誌で活躍し、連載10本を超えコミックスを出したりして、出版社やファンからもてはやされた時期もあった。
40歳を過ぎてから失恋をしたり、連載が打ち切りになったりしたため、実家に帰ろうとしたら、両親が病気がちとなり現実の厳しさに打ちのめされることに。
そこで20年ぶりに就活をしたが、長年マイペースでの仕事をしてきたため、時間に拘束されたり、人に指示されて働くことに慣れていないため、あえなく挫折した。
とりあえず資格が取れるので、「介護者初任者研修」を受けてみることにしたのだった。
介護ヘルパーになる人は、だいたい2パターンあります。
1つは、もともと福祉に興味があったり家族とかの介護のためにスキルをつけたいと思っている人です。
もう1つは、吉田さんのようにセカンド・キャリアとしてスタートされる人です。
たとえばリストラになったとか、定年退職、あるいは子供の手が離れたなどです。
介護職員初任者研修の体験
緊張して初日をむかえたけれど、ほかの研修を受けるメンバーは友好的な感じで楽しく研修をすることができた。
研修の内容は、歩行訓練、食事介助、入浴介助、移乗介助、洗髪介助、排泄介助などの実習と、ふつうの座学での講義があったが、とくに問題なく終了できた。
以前はヘルパー2級といわれていて、介護の基礎を学びます。
規定の時間(130時間)を終了すれば、試験なしで取得できます。
この資格がないと、利用者さんの身体にふれる仕事はできないことになっいています。
料金は補助があるところがあったり、市区町村や職業安定所から安価で取得できるところもありますよ。コースは週1回からいろいろあります。
再就活と初仕事
せっかく取れた資格なので、就活をしたところ、訪問介護の事業所に受かった。
初仕事はベテランの介護士さんが同行して、認知症の80代の男性のところへ行く。
1件ごとに3回同行してくれる とのことだった。
3回もベテランのヘルパーさんが同行してくれるのは、親切かも。
いろいろな利用者さん
吉田さんはマンガでは便宜上、利用者さんをいろいろな愛称で描いています。
でもそれは失礼なことなので、実際は名前にさんづけで呼んでいると思います。
ときどき、〇〇ちゃんとちゃんづけで呼んでいる人がいます。たぶん、親近感を出そうとしているのかもしれませんが、やはり「親しき仲にも礼儀あり」かなと。
たとえ相手が認知症でよくわからなくなっていたとしても、相手に敬意を払うことを忘れないようにしたいものですよね。
リボンたん家
アパートで独り暮らしをされている80代の認知症の男性。奥さんとは死別。
血圧測定をし、ガスが止めてあるのでコンビニでお弁当を買ってきて、トイレ掃除と時間があれば整理整頓を行う。麦茶を補充して50分で終わらせる。
リボンたんという愛称は、腕にリボンの形のタトーがあるから。
リボンたんは買い物に行けてもお金の計算ができないため、いつも千円札で払っている。そのおつりが家のあちこちに大量に置かれている。
リボンたんはその後、認知症が進んで自立した排泄ができなくなったうえに、徘徊しているところを警察に保護されるなどをするようになったため、施設に入所となった。
姫ちゃん家
93歳女性。平屋戸建てで一人暮らしをしている。
93歳でも乙女なところがあるため、姫ちゃんという愛称に。
朝食と昼食を作って、服薬とインスリン注射の見守り、血圧測定、トイレとポータブルトイレの掃除をして服装のチェックを行う。
朝はヘルパーのために玄関の開けててくれるけれど、時どき寝坊をしてしまうこともある。
事業所からは「朝行ったら亡くなっていたってこともあるから」と言われている。
姫ちゃんはお人好しなところがあるので、近所の人に市のシルバー人材センターの2倍の料金で草抜きを依頼してしまうが、吉田さんの報告で、姫ちゃんの姪が止めてくれた。やがて身の上話もしてくれるように。
教授さん家
戸建てに1人暮らしをしている。品が良く物知りなので、教授さんという愛称に。
視力は右が失明、左もわずかな視力で、チラシの大文字もよく見えない。
週2回デイサービスに行き、他は訪問介護を利用。月1~2回ショートスティを利用している。
吉田さんは夕方、デイサービスから本人がもどってから介護に入っている。
デイサービスがあった日には、ズボンのはき方を忘れているが、ブレーカーが落ちたときには、さっと本人がやってくれたりもする。
普段はおっとりとしているが、息子さんがきたときにはきりっとした父親の顔をしている。
エロさん家
身体に麻痺が残っている70代の男性。団地で一人暮らしをしている。
リハパンの交換と歩行訓練。ダイニング、和室、廊下、寝室の掃除機かけを行う。
身のまわりの世話をしているとき、胸などにおさわりをしてくる。
苦情も多く、機嫌が悪いと怒鳴りちらしてくる。
先輩ヘルパーに相談すると、若いころに麻痺になったから鬱があるらしく、時どき大声をだすのよねとあっさり返される。
介護福祉士さんは、その家に行こうと思っても足が動かないようになったら、(利用者さんを)替えてもらうといいと言われる。
おかみさん家
玄関が旅館みたいんさ80代の女性。
新しい利用者さんで、体調が悪く回復するまでの買い物代行を行う。
楽勝だと思っていた買い物代行は、
蒸しパンひとつとっても種類やメーカーがたくさんあって難しい。
気を使うタイプの人なので、違うものを買っていってしまってもこれでいいと言っていた。冷蔵庫には残り物の食品がどっさりとたまっていき、本人は食欲がないと言っていたが、翌週までに亡くなってしまった。
病院で診察を受ければ、死ぬような病気ではなかったと知らされる。
結局、3回しか会うことはなく、「もっとよく会話をしていたら」と後悔が残った。
どの話も、どの利用者さんも、リアリティがあってよく出会いそうな人たちです。
これから介護をしようかと考えている人には、なんとなくその空気感が伝わるような内容の話になっています。
まさにこの「40代女性マンガ家が訪問ヘルパーになったら」は、入門書にぴったりのお話です。
40代女性マンガ家が訪問介護ヘルパーになったら【電子書籍】[ 吉田美紀子 ]
この本は「中年マンガ家ですが介護ヘルパーを続けてます」
の前に出された本です。
図書館に予約して、他市の図書館から取りよせていただいて、
やっと読むことができました。
クリックありがとうございます💛^^
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