桜さくら堂

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すずをならすのはだれ/安房直子/感想とレビューと解説/児童文学・童話

さむいさむい二月のことです。

 

まっ白い森のなかで、まっ白いうさぎが通りかかりました。

うさぎはつるりとすべって、雪をかぶった白い小さな家にぶつかったのです。

うさぎが家にあった銀色の鈴のひもを引っぱってみると・・・

 

ちりちりちり・・・

まるで、空の星が、

いちどに、ふりこぼれてくるような音がして、

そのあと、家のなかから こんな声が聞こえてきました。

「とびらのすずをならすのは、だれ?」

きれいな、やさしい声でした。

 

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すずをならすのはだれ 安房直子作・葉 祥明絵/PHP研究所

お題「我が家の本棚」

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葉祥明氏の1枚の絵画のようなすてきな挿し絵がついたこの「すずをならすのはだれ」は、

安房直子さんのどこまでも優しいメルヘンの世界が美しく無駄のない言葉でつづられています。

 

あらすじ

北風が吹く寒いさむい雪の積もった森の中でのお話です。

 

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1匹のまっ白い子うさぎが、ヨモギの葉っぱやハコベやクローバーを買いに町まで行くところです。

すると、不思議な真っ白い家があって、かわいい呼び鈴がついています。

鈴を鳴らすと、中から、

「ストーブに暖まっていらっしゃい。そのかわり、仕事を手伝ってほしいの」

という声が聞こえてきて、うさぎは中へ入っていきます。

それからうさぎの子は、何日たっても出てきません。

ただ家の中からは、不思議なうさぎの歌声が聞こえてきました。

 

つぎにやって来たのは、お腹をすかせたタヌキの子です。

タヌキの子は、「お茶とおかしがありますよ」と言われて、中へ入っていきます。

タヌキの子も、うさぎと同じように出てきませんでした。

そうして、やっぱり不思議なたぬきの歌声がするのでした。

 

その後も、まいごのねずみがやってきて鈴を鳴らし、

のどのかわいたシカや悲しくてたまらないきつねや、足をケガしたいのしし、冬ごもりから早く目がさめすぎたクマなど、

色いろな森の動物がやってきて、鈴を鳴らしました。

そうして、みんな出てきません。

ただ、動物が増えるにしたがって、家の中の歌声はどんどん大きくなってゆくのです。

 

そうして、やがて・・・

 

ある日のこと、森に、一台のそりがやってきました。

そりはみどり色で、そりをひっぱる馬もみどり色で、そりにのった人も、みどりのふくをきていました。

その人は、あの小さな家の前に そりを止めて、長いマフラーを なびかせながら おりてくると、

とびらのすずをならしたのです。すると、

「とびらのすずをならすのは、だれ?」

こんどは、おおぜいの声が聞こえてきました。

 

このみどりの人が来るまでは、寒くて冷たい冬のお話ですが、

ここからは一転して、とても明るくて楽しいお話に変わってゆきます。

そして、ここで動物たちが、どんな仕事を手伝っていたのか、どんな歌を歌っていたのか、

そもそもこの家の中にいたやさしい声の持ち主がだれだったのかの種明かしをしてゆきます。

 

葉祥明氏のパステル画のようなやさしい絵画も、ここからとても明るい色合いになってゆきます。

やがて動物たちは、この家から森の中へちりぢりになってもどってゆきます。

そして・・・

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小さな家は、もうどこにもみえません。

だけど、すずの音だけは聞こえるのです。

それを安房直子さんは、こんなふうに美しい言葉でつづっています。

 

すずはやっぱり、空の星がこぼれるような、きれいな音をたてていました。

けれども・・・ようく耳をすますと、これはどうしたことでしょう。

すずの音は、いつのまにか、ひとつではなくなっていました。

十も二十も、いいえ、百も二百も、それどころか、もっとたくさんの、

そう千も二千もの小さなすずが、いちどになっているように聞こえるのでした。

 

感想

すてきですね。

ここはもう安房直子さんのすてきな魔法にかかって、誰もがうっとりとするところです。

そんなにいっぱいの鈴って?

小さな家のむすめって?

それが最後の最後に、こうだったら良かったねというふうに描かれています。

ここまで読んできた子供は、きっとすっかり満足して、「ああ、良かった」と胸をなでおろすに違いありません。

 

安房直子さんのお話は、いつもどこかに悲しみの色をそっと隠していますが、このお話は暖かい春を待ち望み、それが訪れる喜びをそのまま表現されています。そこには何も隠されていません。

安房直子さんの得意の不思議なメルヘンとなって、どこまでも美しく、どこまでも優しく描かれています。

こういうお話は、きっと誰かを、他者の善意を信じられるものとして、心の奥に宿って、生きるエネルギーになるのかもしれないと思いました。

 

作者・安房直子さん

1943年東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。

在学中より山室静氏に師事。

「さんしょっ子」で、第三回日本児童文学協会新人賞、「風と木の歌」で第22回小学館文学賞、「遠い野ばらの村」で第20回野間児童文芸賞、「山の童話、風のローラースケート」で第3回新見南吉児童文学賞、「花豆の煮えるまで―小夜の物語」で赤い鳥特別賞を受賞。他多数。

 

 

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