この本は「読者としての文章術」という珍しい切り口で書かれています。
しかもマジシャンのように、次々と面白い文章をくり出してきます。
作者は面白そうな人かも。
いや、違う。
作者はあの電通に24年も勤めた超エリートコピーライターなのです。
気づいた時には、田中泰延という自称青年失業家のキャッチコピーにしっかりキャッチされて、本を買うハメに陥ってしまいました。気をつけましょう。
序章は「なんのために書くのか/書いても読んでもらえないあなたへ」とあります。
これは私だ・・・と、読者に思わせたら成功なのだから、成功しています。流石です。
さらに自身の自己紹介を、俺はすごいんだぞというのを自慢にならないように面白いオブラートに包んで披露しています。
あ、オブラートって知っていますか? ググってください。
ここは彼のファン以外は飛ばしても差し支えないでしょう。
第1章 なにを書くのか/ブログやSNSで書いているあなたへ
これも私だ、そしてあなただと思ってしまう。
なんて上手い切り口。
ネットで読まれている文章の9割は「随筆」とあります。
「随筆とは、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたいのである。」
要約すると、随筆を書くと良いのだよ、と。
ちなみに彼はコピーライターとして24年勤めた職業病(?)から、15文字位で書く癖がついてしまったそうです。
残りの98%は無駄な文章を散りばめた本だと白状(?)しています。
白状ではなく告白か?(いや、それほど色っぽくもないか)
第1章を纏めると、つまり、こうです。
「ネットで読まれているのは随筆だ」
これで、15文字ぴったりです。
第2章 だれに書くのか/「読者を想定」しているあなたへ
「いわく「ターゲットを想定しよう」
「ターゲット」という言葉の下品さといったら相当なものだ。
だいたい、「ターゲット」とはなんだ。射撃と文章を間違えてはいけない。」
田中泰延さんの小気味いい独白の後、
「ターゲットなど想定しなくていい」
するりと第2章の結論に持ってきています。
なんて手際が良いのでしょうか?
また他人の評価に対する考え方が書かれていて、実に興味深い話が書かれています。
「難しいのは、反響には「けなす」だけではなく「ほめる」もある点だ。
だが、ほめてくれる人に、「また次もほめられよう」と思って書くと、だんだん自分がおもしろくなくなってくる。
いずれにせよ、評価の奴隷になった時点で、書くことがいやになってしまう」
他人の人生を生きてはいけない。書くのは自分だ。
この言葉に、内心ほっとするものがありました。
やっと、しみじみとこの本を買って良かったと思える文章に出会えました。
つい、あの人はまたスターをくれるだろうかと考えてしまう自分がいました。
自分の首を自分で絞めているような、もやもやとして実に苦しい時期でした。。
ちなみにこの第2章には、履歴書の書き方があって、これも実に興味深く読ませていただきました。
転職を考えている方には、一読をおすすめしたい。
私は考えてもいませんが、人生いつどうなるかちょっとわかりませんから、備えあれば憂いなしですよ。
第3章 どう書くのか/「つまらない人間」のあなたへ
これもまさしく自分だ。
田中泰延は私を知っているのか?
物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛という、実用的な事が書かれていました。
ちなみにこの本はビジネス書らしいのですが、そうなのですか。
1次資料には「愛するチャンス」が隠れているとあって、愛の指南書かとも思いました。( ´∀` )笑
素敵な言葉です。
「わたしが愛した部分を、全力で伝える」
1次資料というのは、「ここがその話の出所で、行き止まりである」という資料のことです。
ちなみにネットの情報は、また聞きのまた聞きが文字になっているらしい。やっぱりそうか。。
第4章 なぜ書くのか/生き方を変えたいあなたへ
そうなのか。
いや、私はそこまでは考えていない。
この章は生き方を変えたい人へおすすすめしたい。
田中泰延さんの「読みたいことを、書けばいい」は、つまり、要約すればこうです。
事象に出会ったとき、
そのことについてしっかり調べて、
愛と敬意の心象を抱けたならば、
過程も含め、自分に向けて書けばいい。
これは田中泰延さんが第3章で述べていたのですが、
たった4行で本の要約が書けたと冗談のフリして自画自賛しています。
もとコピーライターだった腕をイカンなく発揮していますね。
この4行を読んだだけで理解できると思われる人は、わざわざ本を買わなくてもいいでしょう。
私のような凡人には、他の98%の無駄な文章も必要なのはいうまでもありません。
面白かったし、
書くのが楽になりました。
何回も笑ったあとでブログのネタにもなったので、
買って良かったと思いました。
おかげさまで、私も4行で感想が書けました。
田中泰延さん、ありがとう。
著者・田中泰延さん
1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。
学生時代に6000冊の本を乱読。1993年株式会社電通入社。24年間コピーライター。CMプランナーとして活動。2016年に退職。
「青年失業家」を自称してフリーランスとしてインターネット上で執筆活動を開始。
webサイト「街角のクリエイティブ」に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」「ひろのぶ雑記」が累計330万PVの人気コラムになる。
「明日のライターゼミ」講師。本書が初の著書。
【送料無料】読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術/田中泰延
読みたいことを、書けばいい/田中泰延・著/ダイヤモンド社
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