手塚治虫氏が描くSFが、やはり最高ですね。
鉄腕アトムも愛すべきロボットですが、火の鳥に出てくるロビタという旧式ロボットがすばらしいです。
最近、現実にロボットが次つぎと開発されて、ロビタに似たモデルのロボットを見ると、なんだか嬉しくなってしまいますね。
ロビタは外見こそ旧式のロボットですが、中身はたぶん・・・
⇐イメージです
火の鳥は手塚治虫氏が漫画家として活動を始めた1954年から、『黎明編』として描き始めていて、晩年の1988年までライフワークとして描かれていました。
全部で11編からなっていて、黎明編から未来編までの約3200年の人類の歴史を、始まりと終わりから交互に描いています。
1.黎明編
2.大和編
3.鳳凰編
4.乱世編
5.異形編
6.太陽編
7.生命編
8.望郷編
9.復活編
10.宇宙編
11.未来
そしてラストは、手塚治虫氏が亡くなる間際に『現代編』を1コマ程度描いて完結すると公言していましたが、これは叶いませんでした。
火の鳥はずいぶん昔、毎日電車の中で読んだのです。確か友人に借りた本でした。
火の鳥は、手塚治虫氏が生命や宇宙に対する独自の思想を基にして描がいていて、難しい部分も多かったのを覚えています。
ただ引き込まれるように読み耽ってしまい、時どき降りる駅を過ぎてしまったこともありました。
漫画とはいえ、膨大な長さの火の鳥を一気に読んだので、ずいぶん感動しました。
時間の経過と共に、ほとんどの部分は忘れてしまったのですが、〖未来編と復活編〗の
旧式ロボット「ロビタ」だけは、今でも懐かしくはっきりと思い出されてくるのです。
⇐イメージです。
ロビタの初出は〖未来編〗で、猿田博士の助手として登場します。
この時代にはすでに人間や動物にそっくりな高性能ロボットが存在していますが、ロビタの構造は単純な旧式ロボットとして登場します。
しかし、外見は古いロボットですが、機嫌の良し悪しがあったり、疲労を訴えたり、時には命令に従わなかったりと、まるで人間のような感情を持っているような言動をします。
〖復活編〗で、ロビタの誕生の秘密が明かされます。
エアカーからレオナ・宮津という青年が転落して死亡します。
ところが人類の文明はピークに達していて、レオナはサイボーグとして蘇ります。
しかし、レオナは人間や有機物がガラクタのようにしか見えなくなってしまい、絶望するのです。
そんな時に出会ったのが、事務処理専用ロボットのチヒロ型61298号でした。
レオナにはチヒロが麗しい美女に見えたのです。
チヒロの方でも、ロボットなのにレオナに恋心を抱くのです。
「私の頭脳に不条理な再生出力が発生して停滞しています……消去不可能です……作業が停滞します……ああ……」
といって、レオナの顔が浮かび上がってきます。
レオナとチヒロは清流せせらぐ野原に見える前で愛を誓い合いますが、実際は溶鉱炉の前でした。
2人は駆け落ちしますが雪山で遭難してしまいます。半分生身のレオナを、チヒロが命と引き換えに助けます。
レオナは人身売買を生業とする密輸団に救われますが、自由とチヒロを奪われてしまいます。ボスはレオナの身体を欲しがりました。レオナは最後の願いとして、
「身体はボスに譲るから、心はチヒロとひとつになりたい」と望んで、一つの命になるのでした。こうして、
ロボットと半人間(サイボーグ)が合体して生まれたのがロビタでした。
最初はレオナの人格もあったのですが、やがて記憶が薄れて1つのロボットになります。でもレオナの記憶は潜在意識の奥にしまい込まれてありますので、ロビタはロボットでありながら、とても人間臭い部分を残しているのでした。
ロボットと人間が合体して造られたっていう所に、とても惹かれました。
すごくロマンチックでしたからね。
芥川龍之介もロボットではないけれど、鬼の話で似たようなのがありましたね。
死んでしまったAという人間の身体を、鬼がBという別の人間の身体の部分を取って、Aの身体に次つぎと取りかえていって全部取りかえます。その人間はAという人間なのかBという人間なのか?・・という話。
何が言いたいのかっていうと、身体と心は別物だと、手塚治虫氏も芥川龍之介氏も物語っているという点です。
やはり天才というのは、時代の先をゆきますね。
その後、ロビタはコピーされて、量産されます。人間くささによって、ある人間には好かれ、ある人間には疎まれていましたが、純真な子供には愛されていました。
31世紀ごろ、ある子供が親や家政婦よりも懐いているロビタに会いにいって放射能農場に迷い込んだために死んでしまいます。
農場のロビタは冤罪で溶解処分されてしまいます。すると、コピーされた他のロビタもすべて溶鉱炉に身を投げて集団自殺をしてしまいます。
月面にいたロビタだけは集団自殺に参加できずに、エネルギー回路を遮断する自決を選びました。そして300年後の〖未来編〗で、猿田博士に救助されるのです。
〖未来編〗の300年後に、世捨人・猿田博士の「生命の秘密を求める」という生き方に惚れてロビタは助手になります。
しかし、やがて核戦争が起こって、人類が滅亡します。
ロビタが猿田博士の脱出用のロケットを整備していたところ、ヤマトを捨てて猿田研究所に逃げのびたロック・ホームにロケットを貸すように脅迫されます。
ロビタは断ったため、光線銃で撃たれて高台から落ちて完全に破壊されてしまうのでした。
手塚治虫氏が死ぬ瞬間に描くつもりだった〖現代編〗の1コマとは、いったいどのようなシーンだったのでしょうか・・・。
しかし、手塚治虫氏が描いた〖未来編〗核戦争の場面は、今まさに起ころうとしているようにも思えます。
遥か昔に天才手塚治虫氏は、来るべき近未来(現代)を見通していたのです。
願わくば、火の鳥の〖未来編〗の核戦争による人類滅亡には繋がらないような現代を描こうとしていたのだと思いたい。
その分岐点に、今まさに私達は立っているのです。
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