ペニーさんは老人ですが、毎日、町の工場へ働きにいっていました。
おおぜいの家族がいて養わなければならなかったからです。
リンピーという年とった馬とムール―という牝牛、それからメスの山羊のスプロップ、豚のパグワップ。そして、子羊のミムキン、メンドリのチャクラック、オンドリのドゥ―ディーです。
わずかなお給料は、動物家族の食べ物に消えてしまうため、ペニーさんはいつも貧しかったのです。
ペニーさん/マリー・ホール・エッツ 作・絵/松岡享子訳/徳間書店
ある朝、ペニーさんが仕事へ出かけた後、動物たちが隣の畑を荒らしてしまいます。
かんかんに怒ったおとなりさんは、無理難題を言ってきます。
まあ、丹精込めて育てた作物をめちゃくちゃにされてしまったのですから、当然なんですけどね。
それはこういうものです。
1つ、つぎの新月までに、南の畑三枚をたがやす。
1つ、わしの納屋の向こうがわにある牧草地から、石ころと、雑草をとってきれいにする。
1つ、わしの家のまわりの草刈りをする。
1つ、夏じゅうわしに毎日牛乳をとどける。
ふつうの人だったら出来なくもないようなことですが、なにしろペニーさんは老人なうえに、毎日働きに行っています。
日々の労働でさえ年老いたペニーさんには辛いのに、これ以上の労働は無理でしょう。
かといって、飼っている家族の牛も年老いていて牛乳は出ないし、馬は足を引きずってあるくし・・・という具合で、役に立ちそうもありません。
もしもこれが出来なかったら、家族の馬や牛や羊やヤギやニワトリなど、みんな手放さなければなりません。売ったらばみんな肉にされて食べられてしまいます。
そんなことは、ペニーさんにはとてもできません。
すると動物たちは、みんなで相談して、暗闇の中を出てゆきました。そうして、朝になったら戻ってきました。
牛のムール―もいっぱいミルクが出るし、ニワトリも大きな卵を産んでいます。
さて、その牛乳を持っておとなりさんのところへ行くと、
「ほう、じいさん。もう仕事をずいぶん片づけたじゃないか! ゆうべやったみたいに手ばやくするんなら、つぎの新月前に、仕事はぜんぶ終わるだろうよ」
と、ご機嫌でいうのでした。
そうです、動物たちはみんなで真夜中に仕事を片付けていたのでした。
今まで、それぞれができないと思ってペニーさんに甘えていたのですが、一生懸命考えて工夫したら、なんとか出来たのです。
そうして、すべての仕事が終わりましたが、話はさらに続いてゆきます。
動物たちは今までただペニーさんに養ってもらっていたのですが、こうして働いているうちに働く喜びや楽しさに目覚めてゆくのです。
そのためペニーさんは次第に豊かになって、もう工場で働かなくても良くなりました。
家を修繕したり動物たちと楽しく畑を耕したりして、楽しい日々を送るようになるのでした。
夏になって、日が長くなると、ウドルの町にすむ人たちは、夕方、子どもたちのあとについて野原を横切り、このピンクの家と、みごとな畑を見にやってきました。
・・・とあります。
まさにピンチをチャンスに変えたお話です。
何も出来ないと思っていた動物たちも、隠れた能力を持っていたのですね。
でも、それが見つかったり、やろうという行動につながったのは、ペニーさんと動物たちとの間に深い絆や愛情があったからだろうと思います。
物語のラストで、としとった女の人にこう語らせています。
「・・・・あのペニーさんというおとしより――あんなにたくさんの動物たちと、一つ家にすんでいるなんて!
でも、きっと、とても幸せなんだと思いますわ。ウドルじゅうでいちばん幸せな家族ですよ」
マリー・ホール・エッツ Marle Hall Ets 作・絵
1893年、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。
子供の頃、夏休みに家族と共に森の中で過ごし、動物たちと親しんだ経験は、のちの作風に決定的な影響を与えたという。
1935年、初めての絵本「ペニーさん」を出版。
1959年に出版した「クリスマスまであと9日…セシのボサダの日」(アウロラ・ラバスティダ文、冨山房)は、アメリカの絵本に与えられる最高の賞、かるでこっと賞を受賞している。
続編「ぺにーさんと動物家族」(徳間書店)など多数。
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8月21日の誕生花
ブロワリア
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