いじめられ生きたし行けぬ春の雨
ブーメラン返らず蝶となりにけり
すごい本と出合ってしまいました・・・この本の作者は、
11歳の不登校の少年でランドセル俳人の小林凛さんです。
小林凛さんというのは俳号で、大好きな小林一茶からの『小林』と、カニングハム久子先生からつけてもらった『凛』を合わせたのだとか。
でも、僕には俳句がある
壮絶なイジメから生きる希望を支えてくれたのは、俳句を詠むことでした。
ランドセル俳人の五・七・五/小林凛/ブックマン社
本には俳句と共に、小林凛(本名・西村凛太郎)さんの944gという超未熟児で誕生してからの日々と、小学校に入ってからのイジメのことが母や祖母による記録や思いが所どころに差し込まれています。
ですから、これは句集とは趣が異なっていますが、小林凛さんの俳句の背景が分かることによって俳句への理解もより深まるものとなっています。
「冬蜘蛛が糸にからまる受難かな」
これは、僕が八歳の時の句だ。
「紅葉で神が染めたる天地かな」
この句は、僕のお気に入りだ。
僕は、学校に行きたいけど行けない状況の中で、家にいて安らぎの時間を過ごす間に、たくさんの俳句を詠んだ。
僕を支えてくれたのは、俳句だった。
不登校は無駄ではなかったのだ。いじめから自分を遠ざけた時期にできた句は、三百句を超えている。
今、僕は、俳句があるから、いじめと闘えている。
これは小林凛さんが小学校の時に綴った文章です。
いじめとはっきりと句の中で詠んでいる名句もたくさんありますが、例えば、
ぬかるみに車輪とられて春半分
強風にあおられまいとしじみ蝶
などは、それとなく境遇と重ね合わせてしみじみとしますね。
しかし、本当のところを言えば、最初は細かい文章は面倒なので読んでいませんでした。
ランドセル俳人なのだから、子供が詠んだ俳句なのだなぁ、どれどれ、この子はどんな句を詠んでいるのかな?
・・・という程度の軽い気持ちで本をパラパラとめくって、句を読んでみました。
すぐにイジメの句に出くわしましたが、それと同時に、イジメとは関係なく瑞々しいすばらしい句に出会うことになりました。
しかも、小林凛作の俳画まであります。
ススキのほ百尾のきつねかくれてる
ああ、そうね、そういえばそんな感じですね。
黄金虫色とりどりの動く虹
朴落葉あおげば悟空飛ばしけり
この視点や発想には、やられましたね。
そして、小林凛さんの本来のやさしく素直な気持ちが表現されているのが、
虫捕れば手の甲春が叩きけり
ー今年初めてのてんとう虫を見つけました。捕まえようとすると逃げます。
やっと出てきた虫たちを捕るな、と春に手を叩かれた気がしました。
成虫になれず無念のかぶと虫
ー毎年かぶと虫が大量に発生する木があります。その木の周辺に、白い大きな成虫があちこちに死んでいるのを発見しました。
・・・などの句です。
このような繊細でやさしい子が学校で苛められて居場所がないのはとても残念なことです。
子供の脳は感情の赴くままに行動してしまいがちです。
それをちゃんと教えて導く大人がいないというのは、苛められる子だけでなく苛めている子にとっても、大変不幸なことですね。
この本が出版されたのが、2013年4月で11歳の時でしたので、今は大人になっているのでしょうか・・・と思って調べてみたところ、2020年のこんな記事がありました。
戦時中に弾圧された俳人の作品をユニークな形で展示する「檻(おり)の俳句館」(長野県上田市)の新しい館主に、ランドセル俳人として小学三年でデビューし、今は大学生となった俳人の小林凜(りん)さん(19)が就任した。
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