不思議な駄菓子屋の『銭天堂』には、魅惑的なお菓子が所狭しと並べられています。
必ず訪れた・・・というよりも辿り着けた人にはふしぎなお菓子があって、
「お客さまのおのぞみにぴったりの、いいお菓子がござんすからねぇ」
と、駄菓子屋のおかみの紅子さんがいうのです。
ここ『銭天堂』は、お客さまの望みを叶える駄菓子屋さんなのです。
あなたもちょっと覗いてみませんか?
ふしぎ駄菓子屋・銭天堂17/廣嶋玲子・作/偕成社
・とりあげもち
8歳になった白野聖は、木馬が小さい頃にはお気に入りだったが今はゲームに夢中で、物置にしまいっぱなしになっていた。もう使わないからと、5歳の従弟の亮くんにあげてしまった。ところが亮くんが楽しそうに遊んでいる姿を見ると、惜しくなって取り返したい気持ちになったのだった。
そんな時、ふしぎ駄菓子屋銭天堂で『とりあげもち』というお菓子を買うことが出来た。
とりあげもちは、他人の持ち物を取り上げて自分のものに出来るのだ。
さっそくとりあげもちを食べて、亮くんから木馬を上手く取り返すことができた。
ところが欲が出て、つぎつぎと他人のものが欲しくなっていき、どんどん取り上げて自分のものにしていった。すると部屋の中が物でいっぱいになって、木馬もやがて色褪せて見えてくるのだった。そこで木馬を捨てようとしたら・・・。
・ルールキャラメル
多久川香里奈、7歳のパパはすごく食いしん坊で、食べ物を見ると目の色が変わってしまいお菓子や料理を全部ガツガツと食べつくし、さらに子供の食事まで狙って手を出してくる。そのため家族は困っていた。
パパの誕生プレゼントを買おうと出かけた香里奈は、ふしぎ駄菓子屋へ迷いこみ、そこで紅子さんに「お父さんは底なしイ~カ」を食べた人ではと言われる。そして、ルールキャラメルをすすめられる。
ルールキャラメルは、自分が作ったルールに他人を従わせる力があるのだった。
早速、ルールキャラメルをパパに食べさせると・・・
・断捨離だんご
33歳の櫻島すずえは断捨離にハマっていた。
何の取り柄もないと思っていた専業主婦のすずえは、断捨離をSNSで発信すると人気者になったため、有頂天になってどんどん物を捨てていった。
ところが夫の慎吾はそれを良く思っていなかった。
「僕の部屋に入って、僕の物を捨てないで」と言われていたにもかかわらず、すずえは約束を破って留守中に夫の慎吾に部屋に入って、我慢が出来ずに夫の物を捨ててしまった。怒った慎吾は、家を出ていってしまった。
ふしぎ駄菓子屋『銭天堂』で、「なかよしおこし」をすすめられたが、すずえは「断捨離だんご」を買って帰った。
断捨離だんごは、食べた人に断捨離の気もちを起こさせるという。
すずえは断捨離だんごを夫に食べさせて、自分と同じように断捨離が好きになって欲しかったからだった。
断捨離だんごを食べた慎吾は・・・
・おおらか落花生
大河橋はるは14歳の中学生。人付き合いが苦手で小心者だった。相手の気持ちばかり優先して本音を言えなかった。誰とでもつきあえて、本当の友達ができなかった。
クラスメートの八十島優樹菜は1人でも堂々としていて憧れていた。
でも、真綾のグループが優樹菜をいじめることに断れずに加担してしまう。
そんな時、銭天堂で『おおらか落花生』を手にすることが出来た。
おおらか落花生は、食べた人を大らかな気持ちにさせてくれるお菓子だった。
家に帰って大切に食べようとしたが、真綾たちに出会って行きたくもない遊びにつき合うハメになってしまった。
夕方になって帰るとき、散歩中の大型犬にぶつかっておおらか落花生を落としてしまう。偶然通りかかった優樹菜が一緒になって探してくれたが、はるは罪悪感にかられて・・・。
その他に、痛みを感じさせなくなる『いた板チョコ』や、人の才能を見ぬくことができる『スカウトまんじょう』などのお話があります。
さてこれらのお話に絡むように、銭天堂を破滅させようと企んでいる六条教授の一派が蠢いてるという構図になっています。
六条教授の仲間になっているのは、かつて銭天堂のお菓子を食べて不幸になった登場人物たちでしょうか。
たとえばこの本でいえば、「とりあげもち」「断捨離だんご」「スカウトまんじゅう」などは、望みを叶える方向が間違っていたので、結果もそのようになっています。
さらにその中から、反省もせずに「銭天堂」に逆恨みをしているという人が、六条教授と手を組むという形です。
銭天堂17ではさらに天獄園の怪童という新しいキャラが加わっています。
黒いマントとシルクハット、イチゴ色に染めた髪と髭で、おそろしく背が高いというたいへん興味を惹かれる登場人物です。
廣嶋玲子さんはファンタジー作家として、いつも魅惑的な濃いキャラをいつも登場させています。不思議でありながら存在感もあるので、ストーリーよりもキャラの魅力でお話が動いているようです。
今回、怪童というキャラは、「たたりめ堂」のよどみちゃんからの伝言というだけの役でしたが、是非これからもたくさん登場して物語にもっと絡んでくれるのを期待しています。
・・・ということで('◇')ゞ
作者・廣嶋玲子さん
神奈川県生まれ。『水妖の森』(岩崎書店)でジュニア冒険小説大賞、『孤霊の檻』(小峰書店)で、うつのみやこども賞受賞。
作品に『送り人の娘』「おっちょこ魔女先生」シリーズ(KADOKAWA)、『盗角妖伝』(岩崎書店)、「怪奇漢方桃印」シリーズ(講談社)、「秘密に満ちた魔石館」シリーズ(PHP研究所)、「十年屋」シリーズ(静山社)、「鬼遊び」シリーズ(小峰書店)、「妖怪の子預かります」シリーズ(東京創元社)などがある。
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