桜さくら堂

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パフィン島の灯台守/感想レビュー・あらすじなど/児童文学

パフィン島があるイギリス南東部の沖合は航海の難所です。

嵐の夜、パフィン島沖でペリカン号が遭難しました。

このとき、灯台守に助けられた人の中に5歳の少年がいました。

いつか島にもどりたい・・・

ずうっと少年は願いつつ、長い歳月が流れていきました。

この物語は、少年と灯台守と、めずらしい1羽の鳥との深い絆の物語です。

 

パフィン島の灯台守/マイケル・モーバーゴ 作/佐藤見果夢 訳/評論社

 

ぼくは父親が死んでしまったので、母親と2人で義理の祖父母を頼ってニューヨークからイギリスへ向かう途中でした。

ところが大嵐で4本マストのスクーナー船のペリカン号が座礁してしまい、乗客と乗員30人は命からがら飛びおりて近くの岩にしがみついていました。

そこへ手漕ぎのボートで助けにきたのは、灯台守のベンジャミン・ポスルスウェイトでした。このとき助けられたのが、ぼく、アラン・ウィリアムズと母親でした。

灯台守は全員に甘い紅茶やビスケット、毛布を配って親切にしてくれました。

灯台の家は、どこもかしこも船の絵でいっぱいでした。救命艇で島を離れるとき、ぼくがお気に入りだった絵をベンジャミン・ポスルスウェイトがぼくにくれました。

 

義理の祖父母(父方の親)は、2人に冷たく辛い日々を過ごしました。そんな時、灯台守が親切にしてくれたことやもらった絵を観ると心が和むのでした。そして、お礼の手紙を書きましたが、何度出しても返事はありませんでした。

ある日、祖父母の機嫌をそこねてしまい、寄宿学校へ入れられてしまいました。そこで自分が絵を描くのが得意だということがわかり、船の絵をたくさん描いていました。

12年が経ち、学校を卒業するとぼくは一人でベンジャミン・ポスルスウェイトの灯台へ向かいました。

ところが灯台はすでに必要が無いということで、閉められていました。しかし、ベンジャミン・ポスルスウェイトはまだそこに住んでいました。

 

船着場から石のだんだんをあがって灯台のとびらの前に立つと、深呼吸をひとつしてから、ノックをしました。

 待ちかまえていたように、とびらが開きました。目の前にあらわれたのは、おぼえているより少しふけて、少ししょぼくれた、変わらぬボサボサ頭のベンジャミン・ポスルスウェイトさんでした。

「来るのが見えた。あのときの男の子だな? ペリカン号の。来ると思ってたんだ」

 

それから彼は、最近はお客が全然来ないのに、今日は2人目の客でふしぎなものだと言います。そのもう一人のお客というのは・・・。

 

ぼく、アラン・ウィリアムズは、もう一人のお客さんと灯台でしばらく過ごした後、戦争に召集されて戦地へ向かうことになります。

 

パフィン島の灯台守のことを語っているのは、ぼくです。

ですからぼくが灯台守に会ったのは、5歳の時に助けられた時と、成長してお礼に行って過ごした数か月、そして、戦争が終わってからの日々のことだけです。

手紙には返事が来ませんでした。ただ、新聞にベンジャミン・ポスルスウェイトのことが載っていたのを読んだことがあります。それには、

「英雄の灯台守、メダルを辞退」

とありました。記者の質問に、

 

「言うことはない。やるべきことを、しただけだ。救うべき命があって、命が危険にさらされていた。メダルなど関係ない。ほしい者にくれてやる。さあ帰った帰った、ほっといてくれ。こっちは灯台の仕事がある」

老灯台守は、そう言って立ちさった、と答えたとか。

 

いかにもベンジャミン・ポスルスウェイトが言いそうな誠実で人間味にあふれた言葉です。だからぼくも、幼いなりに心惹かれたのでしょう。むしろ幼いからこそ、純真な心と波長があったのでしょうか。

2人が会えない時間は12年間もありました。その間、手紙を書きましたが、訳があって返事は来ませんでした。

再会しても、すぐに召集令状が来て、長い間再び離れて過ごすことになります。

戦争で捕虜となって鉄条網にとじこめられた日々は、とてつもなく長い時間だったとぼくは語っています。

ぼくは収容所から出られたら、戦争が終わったら、何をしようかと考えて過ごしました。そして、その生き方とは・・・。

何でもない日々のすばらしさと、人や生きものとの絆と、生きるとはつまりどういうことなのかを、一人の灯台守ベンジャミン・ポスルスウェイトの生き方を通して描いていています。

淡々と語る文章が、物語のリアリティを深めています。

 

最後には我々が勝ったと、だれもが言いました。

でも、ぼくにはわかりません。

戦争に勝ち負けなど、あるでしょうか?

 

ぼくはそんな言葉を、読者に問いかけています。

 

 

作者:マイケル・モーパーゴ氏

イギリスを代表する児童文学作家。これまでに130作以上の作品を発表している。

『戦火の馬』(評論社)は舞台になり、スティーブン・スピルバーグ監督により映画化もされた。他の作品に『世界で一番の贈りもの』『兵士ピースフル』『アーニャは、きっと来る』(いずれも評論社)など。

 

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