あと 10人。
わたしは 86さい。
はるさんは かんがえます。
はるさんは この村で
いちばんわかい おばあさんです。
はるさんと1000本のさくら/ただのぶこ・作/中央公論社
はるさんの村は山あいにある自然豊かなところです。
かつてはたくさんの人が住んでいて、学校や病院やお店もありましたが、子供たちはみんな都会で働くようになって、今はひとりで小さな畑と果物の木の世話をして暮らしています。
他の村人もみんな同じようで、今は村に住んでいるのはたった10人のおばあさんで、いわゆる限界集落になってしまいました。
おばあさんたちはいつしかはるさんの家に集まって、一緒に暮らすようになりました。
おばあさんたちは、村にもっと人が住むようになるにはどうしたらいいのかを話しました。はじめは愚痴ばかりでしたが、はるさんが、
「それより もっともっと さきのことを かんがえよう」
というので、桜の木を植えることにしました。
はりきって、みんなで育てた苗木は、全部で1000本ありました。そして、村の10人のおばあさんたちは、みんなでせっせと苗木を植えていきました。
100本植えるごとに、1人ずつおばあさんが亡くなっていき、最後にはるさんだけが残りました。そして、はるさんが1000本目の苗木を植え終わったとき、はるさんのいのちも尽きました。
でも、話はここで終わりません。
はるさんは桜の苗木を植えながら、家の壁に大きな夢の地図を描いていました。
はるさんが亡くなってからも、桜は年々大きく育っていき、やがて・・・
限界集落となった里山を、理想の村にしようと奮闘するおばあさんを書いた絵本の
「はるさんと1000本のさくら」は、2023年の書店員が選ぶ絵本新人賞の大賞作品に選ばれています。
作者のただのぶこさんは小学校の教員を退職後、絵本製作に取り組んできて75歳のときに初めて出した絵本です。
「吉野の千本桜を観たことがありますか」というインタビューに、
「山が桜色に染まってすごかった。あれも過去に誰かが植えたから」と応えています。
最近人気のTVで、ポツンと一軒家というのがありますが、あれなんかも山奥に残された一軒家に住んでいる人なんですが、同じようなおじいさんの話がありました。
そのおじいさんはガンで、手術を何回もして、もう余命いくばくもないと医師から宣告されたのだそうです。
だけど自分の山に桜の木を植えようと思い立って、1人で植え始めました。
するとどうでしょう。医師に宣告された余命も過ぎても死ぬどころか、ますます元気になってきたといいます。
番組で取材したときには、自分で歩いて山まで行っていましたが、それは見事な桜の山になっていました。また、桜の木を植えるのを手伝ってくれる人も集まってきて、とても賑やかに楽しそうに暮らしていました。
この絵本もそうですが、自分のためだけでなく、多くの人に喜ばれるような仕事をする人は、幸せな人生を送れるようになっているような気がしますね。
絵もほのぼのとして、眺めているだけで心が広々として、希望が感じられる本です。
はるさんと1000本のさくら (単行本) [ ただのぶこ ]
作者 ただのぶこ さん
1947年大分県生まれ。大阪教育大学卒業後、小学校教諭として勤務。いったん退職したのち、再度小学校臨時講師として勤務。定年退職後、絵本制作に取り組む。
「書店員が選ぶ絵本新人賞2023」にて、「はるさんのユートピア」が大賞を受賞。
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