相変わらず東野圭吾さんのミステリにハマっています。たまたま読み終わったのがこれ、「沈黙のパレード」でした。
「本は勉強のためによく読んでいます、というより面白いから読んでるんです」って、スティーブン・キングが語っていますが、同感です。
「沈黙のパレード」は、娘を殺害されながらも証拠不十分で釈放された男を、商店街でお店をやっている普通の人々が、町のパレードというお祭りを利用して復讐を果たすという話ですね。それに警察やら天才物理学者の湯川やらが絡んで、科学的に謎を解いていきます。
これ、2転3転どころか4転、5転しちゃうんですね。面白いですよ、よく思いつくなあ・・・心理描写も深いしリアリティがあります。やっぱりいろいろと勉強にもなりますねぇ。そういえば・・・
パレードって行列ですねぇ。
これに雨を降らせれば・・・ということで、「雨の行列」で一句です。
「沈黙のパレード」読みぬ夏の雨
「ちんもくのぱれーど」よみぬなつのあめ
夏の雨〖夏の季語・天文〗緑雨
夏に降る雨のことで、明るさを背景に感じさせます。新緑のころに降る雨を緑雨といいます。
ちなみに被害者の妹さんが、夏美ちゃんっていうんです。大学生で被害者の両親のお店を手伝っているいい娘なんですよ。
東野圭吾さんの話は、読後感がいいんですね。こう、絶望の果てに希望が見えるような。
季語の「夏の雨」にもぴったり合っているような気がします。筋とは関係ないので、ちょっとだけラストの部分を書いてみます。
「教授、きっとまた来てくれますよね」
少し考える顔をした後、湯川はいった。
「今度来た時も、最高に美味しい炊き合わせを食べられるようにしておいてくれ」
夏美は大きく頷いた。「約束しますっ」
句は、本の題名の「沈黙のパレード」と季語の「夏の雨」で14文字ですから、あと3文字しか残っていないんですね。
この残り3文字で、これが本の題名であることと、読んだこと、感想みたいなことを表現しないと、普通の人は「沈黙のパレード」って何?って思ってしまいますね。
沈黙っていうのは、加害者が黙秘権を使ったため釈放されたのですが、パレードを使って復讐をした商店街の人も、それを沈黙するんですね。
この本を、ただ「読んだ」にしてはつまらないので、文語体にしてみることにしました。そうしたら、季語の「夏の雨」とつながって、「夏は来ぬ」という歌を思い出しました。こんな歌です。
卯の花の匂う垣根に
時鳥(ほととぎす)早もきなきて
忍音もらす 夏は来ぬ
五月雨のそそぐ山田に
早乙女が裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗ううる 夏は来ぬ
― 作詞 佐佐木信綱/ 作曲 小山作之助 ―
「来(き)ぬ」は「来る」の連用形に完了助動詞の「ぬ」の終止形が加わった形で、現代文に訳すると「夏が来た」になります。
「読みぬ」も同じように、「読む」の連用形に、完了助動詞の「ぬ」の終止形で、現代文にすると、「読んだ」になるでしょうか。
さわやかな初夏の歌ですね。
みなさん、こんにちは💛
いつもご訪問をありがとうございます。
「沈黙のパレード」の感想は、また後日書こうと思います。