捨て猫がいるらしいという話を聞いたわたし(=作者)は、真夜中に探しにいきましたが、見つかりませんでした。
翌日も暑く、天気予報では最高気温が34度にもなるといっていました。
心配でたまらなくなり、わたしは再び公園に探しに行きました。
草むらは、青あおとしげり、太陽の強い光にてらされています。
見まわすと、木のかげになっているところに、ガリガリにやせた小さなこねこが、ちょこんとすわっていたのです。
「あっ、いた! きっとこの子だ」
わたしは、心の中でさけびました。
名なしのこねこ/とりごえ まり・作/アリス館
こねこは、片目は目やにでふさがり、鼻の穴も鼻水がかたまってふさがって、苦しそうに口で呼吸をしていました。
キャットフードを口に近づけても食べません。つまった鼻で一生懸命においをかごうとするので、ピーピー、フガフガと音がします。
病院に連れていったら、熱が40度以上ありウィルス性の鼻気管炎という病気にかかっていることがわかりました。あのまま放置していたら、ごはんを食べられずに死んでいたということでした。
こねこは入院して、治療を受けることになりました。また、そのほかのネコエイズ、ネコ白血病などの伝染病の検査をしてもらいます。
その結果は、陰性でした。ほっとしますが、わたしの家にはすでに2匹の先住ネコがいるので、相性をみないと飼えるかどうかわからないのでした。
この本は作者がご自身の体験をもとに、こねこに出会ってからの日々をそのまま書いています。死んでしまうかもしれないと思い、飼えるかどうかわからないけれど思わず病院へ連れて行ったこと。
治療のようすや血液検査の結果が出るまでの不安、自宅に連れ帰ってから先住猫との出会いと交流などが、とても丁寧に書いてあります。
これから保護ネコを受け入れようかと思っている人にとても参考になります。
こねこが退院したときの出来事には、読者もきっと作者と同じような気持ちになるのではないでしょうか。
こねこをキャリーバックにうつそうと、しゃがんだときのことです。こねこは、わたしの手からスルリとぬけ、ひざにのってきました。そして、わたしの顔を見上げながら腰をおろすと、そのままゆっくり、まるくなりました。
わたしはびっくりしました。と同時に、愛おしいような、泣きたくなるような感情がこみ上げてきました。
この子は、はじめから外で生まれ育ったのではなく、一度は人間に育てられ、そしてすてられたこねこなのかもしれない……。
こねこを家に連れて行ってからの先住猫とのようすや、その後の運命は、ぜひ本を読んで確かめてほしいところです。
最後のページには、この子の3歳の時の写真が載っていますので、
それも是非どうぞ♡
作者 とりごえまり さん
1965年、石川県金沢市に生まれる。金沢美術工芸大学商業デザイン科卒業。
キャラクターグッズなどのプランナー、デザイナーを経て、現在は絵本の創作、挿絵の仕事を中心に活躍。
NPO法人東京生活動物研究所研究員。
作品に、「しんくんとのんちゃん」シリーズ『かいぶつの落とし物』『空からのてがみ』『雨の日のふたり』『くまさんアイス』(アリス館)、『月のみはりばん』(偕成社)、『とんだとんだ』(すずき出版)、『カえるくんのたからもの』(東京新聞出版キョクなど多数。
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