小学3年生のみずかは、夏休みの宿題の「読書感想文」がどうしても書けません。
本を読んでおもしろかったことを書こうとすると、おもしろかったことが消えてしまうからです。そのことを先生にいうと、えりこ先生は、みずかの胸に耳をあてて、
「だめだ。わかんない」
はあっと首をふりました。
山本悦子作・佐藤真紀子絵/童心社
「自分の思いを言葉にして、人につたえるってとっても大切なことだと思うよ」
と先生にいわれたみずかは、感想文が書けそうな本をさがしますが、どうしても見つかりません。
そこでみずかは友だちのあかねちゃんと一緒に本を書くことにしました。文章はみずかで、絵はあかねちゃん、主人公もあかねちゃんです。そして、自分で書いた本の感想文を書くことにしました。
あかねちゃんが弟のタクちゃんのためにがんばる「あかねおねえちゃん、がんばる!」という話です。タクちゃんはやっと歩けるようになったばかりの子です。
ある日のことです。
タクちゃんは、ひとりでおさんぽにでかけました。
あかねおねえちゃんは、びっくり。
あわててあとをおいかけました。
と、こんな感じでお話が始まります。
タクちゃんはとなりの家のねこのしっぽにかみついたり、よその畑のミニトマトをとったり、いろいろしでかします。とうぜんあかねちゃんが、そのしりぬぐいをします。
つぎに妖怪がでます。大ダコも出てきて、タクちゃんを食べてしまいますが、最後にはあかねちゃんが大ダコをやっつけてタクちゃんを助け出して、メデタシ、メデタシというお話です。
実際には、お話の中の大ダコを書いたのは別のクラスメートだったり、いろいろあるわけですが、みずかはこの自分で書いた物語の感想文を書いてクラスのみんなの前で発表して、みんなに感想文と認めてもらうのでした。
読書感想文、子供のころ私も苦手でした。そんな感想文のことを書いた子供の本を、こうやって感想をかいているのですから不思議な気分です。
今、読書離れが進んでいるという話を聞きます。読書感想文を書くというハードルがあるため、子供が本を読む楽しみを奪っているという側面もあるかもしれません。
そんなにハードルを高くしなくても、本を読んだらアンケートくらいでいいのではないかと思っています。こう、
面白かったか、つまらなかったかを5段階くらいでチェックする項目と、その理由をちょろっと書く小さいスペースくらいで、書くことが無かったらパス。
もっと書きたい人は、下の方の空きスペースに書いてください。とか。
この本では感想文を書くのに手頃な本が見つからなったみずかが、自分でお話を書いてしまうというところが、新しい発想で面白いですね。それを見守る担任のえりこ先生のまなざしも温かに描いていて良かったです。
お話もみずか一人ではなくて友だちのあかねちゃんやタクちゃんを巻き込むことで、一人よがりでない作品になっています。最初は現実的な猫やおじいさんが栽培しているトマトですが、やがてかかしおばけなどの空想の話になっていって広がりも出てきました。
ただひとつ、残念に思ったことは、お話の最後に『印籠』が出てきたことですね。もしくは『桜吹雪』でしょうか。ちなみに印籠というのは水戸黄門で、桜吹雪は遠いの金さんですね。若い人は知っているでしょうか。
つまり作者が出てきて「愛」がどうのこうのと言い出したんですね。それで、ちょっとびっくりしてしまいました。「テレビで言ってた」になっていましたが。
それで急にさめちゃったんですね。子供はさめないんでしょうか。ちょっとわかりませんが、気の毒ですね。( ´∀` )
作者・山本悦子
愛知県生まれ。『神隠しの教室』(童心社)で第55回野間児童文芸賞を受賞。主な作品に『先生しゅくだいわすれました』『二年二組のたからばこ』(共に童心社)『夜間中学へようこそ』(岩崎書店)『今、翼を広げて』(講談社)『神様のパッチワーク』(ポプラ社)『はっぴょう会への道』(PHP研究所)などがある。
先生、感想文、書けません! [ 山本 悦子 ]
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