児童文学・YA・絵本
つきよに ふたり。 セミ ジッジッと ないた。 だいぶつさま わらった。 つきよにふたり/井上洋介 文・絵/小峰書店 まるで子供が描いたようなのびのびとして夢が広がるような絵が、大きな絵本いっぱいに描いてあります。 そして、仲良しのふたりの名前がす…
「ぼく」が、けんかにまけて、運動場にひっくりかえっていたら、みんなが呼びにきた。 ぼくは、おきてやらなかった。 「死んだんじゃない?」ノブコが、いった。 そしたら、先生は、 「じゃ、気がすむまで、そこで死んでなさい。」 そういって、教室へもどっ…
クリーヴランドの貧民街の一角に、空地がありました。 そこはあらゆる廃棄物が捨てられている、いわゆるごみ溜めでした。 ある年の春、ひとりの女の子がここにマメを蒔きます。 空地をきれいにしようとか高邁な気持ちでしたのではありませんでした。 ただ、…
きつねのコンチが仲良しのぶたのトントを待っていると、 知らないくまのおじさんがやってきて、「このあたりに、カシの大木を知らないかね」 と、聞いてきました。 コンチは大木はわかりますが、カシの木がどんな木なのかわかりません。 町はずれの丘の上に…
わたしがしゃべると、たいていの人は戸惑ったような、困ったような、人によっては怒ったような顔になる。 わたしは長いこと、その表情の意味に気付かずにいた。 ハリネズミは月を見上げる/あさのあつこ/新潮社 内気で不器用な佐戸(のちに御蔵になる)鈴美…
人間というもののなかには、光と影というふたつの面がある。 そして、リヤカーを引っ張っていくふたつの車輪のように、 そのふたつがあってはじめて人生というものは成り立っているのかもしれない。 私たちはもういっぺんちゃんと、悲しむこと、人間らしく泣…
さがしものは何ですか? 見つけづらいものですか? もし、あちこちの店をさがしまわっても、どうしても見つからないのなら、 「ねこじゃら商店」へ行ってみてはどうでしょう。 ねこじゃら商店には、ほしいものが何でもそろっています。 店のあるじは、年とっ…
ぞうさん♪ ぞうさん♪ おはながながいのね そうよ かあさんも ながいのよ♪ ぞうの子は、鼻がながいのねと悪口を言われた時に、 しょげたり腹を立てたりする代わりに、 一番好きなかあさんも長いのよ、と誇りを持って答えた。 それは、ぞうがぞうとして生かさ…
運動でも勉強でもぼくよりダメだと思っていた親友の光平が、 ある日を境にして、急に変わってしまった。 水泳ではカナヅチだったのに、50メートルも泳げるようになって、 読書感想文も終わらせていた。しかも、県のコンクールで賞までもらったりして。 ど…
ここではない、どこか遠くへ行きたい。 あなたはそんなふうに思ったことがありませんか? たとえば今の生活に閉塞感があって、こことは違うどこか遠いところへ。 この物語の主人公は、「アニマルズ」という4人の小学6年生のグループです。 どの子もそれぞ…
あなたはゴリラを、どんな動物だと思っているでしょうか? わたしはバナナが大好きで、そして、乱暴でこわい動物だと思っていました。 でも本当は、静かに森で暮らしている家族思いのやさしい動物です。 それどころか、ちょっとした音でも驚いてしまう臆病で…
その こねこの 名前は ラディ きずだらけで やせほそって からだの 毛も ぬけおちています ラディがアニマル・シェルター(動物保護施設)に連れてこられた時、獣医師がつぶやきました。 「ここに 来るのが もうすこし はやかったらなあ・・・」 ねこの看護…
パフィン島があるイギリス南東部の沖合は航海の難所です。 嵐の夜、パフィン島沖でペリカン号が遭難しました。 このとき、灯台守に助けられた人の中に5歳の少年がいました。 いつか島にもどりたい・・・ ずうっと少年は願いつつ、長い歳月が流れていきまし…
不思議な駄菓子屋の『銭天堂』には、魅惑的なお菓子が所狭しと並べられています。 必ず訪れた・・・というよりも辿り着けた人にはふしぎなお菓子があって、 「お客さまのおのぞみにぴったりの、いいお菓子がござんすからねぇ」 と、駄菓子屋のおかみの紅子さ…
あずかりやさんは、ただもう、あずかってと言われたものをあずかり、それがどんなものだろうと、一日百円。奇妙な商売ですね。 最初に期限を決めて前払いしてもらい、期限を過ぎても取りに来なかったら、あずかりものはいただきます。 そして売れるものは売…
ロード・ゴートという黒猫が、第2次大戦下のイギリスの町を、飼い主のジェフリーを追って長い長い旅をつづけていきます。 「戦争という暗いトンネル」の中で、何もかもが変わってしまったけれど、 最後にただ1つ変わらなかったものは・・・? イギリスの戦…
やや大きめの絵本のような美しい季語辞典です。 思わず手に取ってページを開くと、これまたハッとするように美しい冬の雪山の写真がありました。そこには・・・ 山眠るまばゆき鳥を放ちては 山田みづえ という句があります。 その隣には、これもまさに降るよ…
俳句は、文学として世界でいちばんみじかい詩です。 しかも日本じゅうの人びとにしたしまれている詩のかたちをもっています。 風景やものやことによせて、感動したこころをあらわします。 海外でもHAIKUとして知られています。 ・・・これは巻頭にある言葉で…
月曜夜九時からのラジオ放送〈レディオワン〉に、こんなお便りが届きました。 「DJジョンさんは、どうしてそんなに、いぬの気もちが、わかるのですか」 はっはっは。 それはかんたん。ぼくがいぬだからです。 レディオワン/斉藤倫 作/飛ぶ教室の本 光村図…
ふらいぱんじいさんは まっくろな おなべの じいさんでした。 たまごを やくのが だいすきで、いつも こどもたちの ために たまごを やいてやりました。 ところが あるひ、おくさんが あたらしい めだまやきなべを かってきました。 かわいそうに ふらいぱん…
「……昔、まだ店もなく、まねき猫さんたちもいなかったころは、あたくしがお菓子をつくり、それを売り歩いていたんでござんすよ」 今回のお話は戦国時代までさかのぼって、 紅子さんが『銭天堂』のお店をかまえるまでのお話になっています。 まっ黒い猫の墨丸…
トムは誰かに飼ってもらいたいと思っていました。 そこで「ぼくはきっと役に立ちますよ」とアピールして、 飼ってくれる人をさがしましたが、なかなか見つかりませんでした。 がっかりしたトムをみて、タクシーの運転手をしているランスさんという人が、 飼…
スウェーデンの、小さい、小さい町の町はずれに、草ぼうぼうの古い庭がありました。 その庭には、一けんの古い家があって、この家に、ピッピ・ナガクツシタという女の子がすんでいました。 この子は年は九つで、たったひとりでくらしていました。 だけど、心…
夜が終わって、朝になる前の一瞬、自然の沈黙がおとずれる……という《あおいじかん》を見るために、カイトとみくが夜明け前の小さな冒険旅行に出かけてゆく。 あおいじかん/長崎夏海・作/小峰書店 カイトの父親は、フィリピンに単身赴任している。 夕ご飯を…
金のりすは ぼくだけの 友だちなんだ。 だれにも 見せることはできない。 なかよしの まきちゃんにだって。 金のりす/江崎雪子・作/永田治子・絵/ポプラ社 太陽の光が ぜんぶ金になって、こがね山のてっぺんに つもっていくみたいだね。 学校帰りにりょう…
そらのてっぺんなんか冷たくて冷たくてまるでカチカチの灼きをかけた鋼です。 そして星がいっぱいです。けれども東の空はもう優しい桔梗の花びらのようにあやしい底光りをはじめました。 宮澤賢治童話大全/講談社/Super文庫 これは「いちょうの実」の冒頭…
それは、こげ茶色のどっしりとしたつくえでした。 まんなかにひとつ、左右に四つずつ引き出しがついていて、すこしはなれたところから見ると、どこかの国のりっぱな門のようにも見えました。 これはおじいちゃんの机です。 賢明なあなたのお察しの通り、この…
ひろゆき(西村博之)さんは、 「本当の本当に大事な文章だけを太字にしている」そうで、 とても親切な本です。 だけど、私が一番印象に残ったのは太字でもなかったし、 さして重要でもないように本の最後のほうにおまけみたいに書いてあった 短いセンテンス…
ペニーさんは老人ですが、毎日、町の工場へ働きにいっていました。 おおぜいの家族がいて養わなければならなかったからです。 リンピーという年とった馬とムール―という牝牛、それからメスの山羊のスプロップ、豚のパグワップ。そして、子羊のミムキン、メン…
この本に出会ったのは、書店ではなく、ましてや図書館でもない。 出先のコンビニでした。 コンビニ・・・❕ まさしく、魔導書らしい出会いでした。 そして、もはやそのコンビニに今後の人生で行くこともないであろう、まさに一期一会のようにして、この本がワ…