児童文学・YA・絵本
「え、何をめざすって?」 サジットが聞きかえした。 「自己ベストよ。自己ベスト記録とも言うわね。今日どんなタイムで走ったとしても、明日はそれよりも速く走ろうとがんばることよ。自分のベストをつくすの。ほかのだれのでもない、自分だけのベストをめ…
両親が仕事の関係で1年間ドバイに転勤になったため、ペイジ・ハートはその間イギリスの寄宿学校に入ることになりました。 ペイジは学期の途中で入って友達ができるかという不安と、もとは貴族の邸宅をそのまま学校にしたという由緒あるお屋敷での生活にもわ…
「あのね、演劇人は、くよくよしないものなのよ。 顔をあげて、目を前にむけるの。わたしの好きな言葉はね、”とびらがひとつ閉まるたびに、新しいとびらがひらく”というの。 あなたにとって、そうなると思っているわ、シーラ、心からね」 アップステージ/ダ…
小学1年生のたくまは、小さい時から夢でうなされるほどなすがきらいだ。 給食でなすが出る日には、学校に行きたくなくなる。パパはむりに食べさせようとするし、ママはファイト!なんていう。 夏休みにおじいちゃんの家に行ったら、おじいちゃんは、 「いつ…
ロンドンの町の、高い高い家のてっぺんのへやに、年よりのコクルおばあさんが住んでいました。そのため階段を、84段も登ったり降りたりしなければなりません。 だけど、そのことをつらいとは思っていませんでした。 おばあさんの部屋の窓から、ロンドンの…
台風で大洪水があった翌日、あふれたドブ川のそばのゴミ山で、ぼくは変な生き物を拾った。家に帰って洗ってみたら、そいつはカッパの子どもだった。 「おまえはじっぽだぞ、じっぽ。いいな」 そういったぼくを、カッパはまんまるい目で見あげて、 「くるっ」…
捨て猫がいるらしいという話を聞いたわたし(=作者)は、真夜中に探しにいきましたが、見つかりませんでした。 翌日も暑く、天気予報では最高気温が34度にもなるといっていました。 心配でたまらなくなり、わたしは再び公園に探しに行きました。 草むらは…
黄昏横丁二丁目は、魔法使いたちの住む街だ。 普通の人たちが暮らしている世界と、ほんの少しだけずれた場所にあり、魔法使いたちはそれぞれ自分の魔法を活かしたお店を開いている。 十年屋。作り直し屋。いろどり屋。お天気屋。封印屋。 そして、桜さくら屋…
あと 10人。 わたしは 86さい。 はるさんは かんがえます。 はるさんは この村で いちばんわかい おばあさんです。 はるさんと1000本のさくら/ただのぶこ・作/中央公論社 はるさんの村は山あいにある自然豊かなところです。 かつてはたくさんの人…
床井くんは、六年生のクラスがえで、最初にとなりの席になった男の子だった。 ・・・ 「さんけた?」 「みけたです。三ケ田暦(みけたこよみ」 「みけたか! じゃあミケだなっ」 なにそれ、猫みたい。でも、男の子からニックネームで呼ばれたのははじめてだ…
たとえば『おはよう』が、僕は言えない。 朝、目が覚めて、部屋から出てキッチンにいるお母さんの後ろ姿を見たとき、言うべき朝の挨拶が頭に浮かぶけれど、僕はそれを言えない。 最初の『お』の音が出てこないんだ。無理に言えば「お、お、お、おはよう』と…
撮影での「雨降りのシーン」というのが、今回のプレバトのお題ですね。 「西の魔女が死んだ」にも、秀逸な雨のシーンがあったことを思い出したので、書いてみたいと思います。 特にいいのが、冒頭の雨が降り始めるシーンなんですね。 「魔女が――倒れた。もう…
「わたしはもう学校へは行かない。あそこは私に苦痛を与える場でしかないの」 二年前の五月、まいは小学校を卒業し、中学にはいったばかりだった。始まりはいつもの季節の変わり目の喘息だった。 けれど発作が起きなくなっても、まいは学校へ行けなかった。…
幽霊になったおじいちゃんにいつも悩み事を相談している花は、人を笑わせることが好きな明るく活発な女の子。 大好きな兄が重い病気にかかっていつも胸を痛めている莉子は、かわいくておとなしくてまじめな女の子。 まったく違うタイプの女の子が、ひょんな…
マジミスった。なんだってオレ、こんなとこ選んじゃったんだろっ。 ――エンジェル保育園。 屋根の上にある看板に目をやって、ため息をついた。 天使のにもつ/いとうみく 作/株式会社 童心社 斗羽風汰の中学校では、中学2年になると学校の授業の一環として…
小学3年生のみずかは、夏休みの宿題の「読書感想文」がどうしても書けません。 本を読んでおもしろかったことを書こうとすると、おもしろかったことが消えてしまうからです。そのことを先生にいうと、えりこ先生は、みずかの胸に耳をあてて、 「だめだ。わ…
小学6年の健太は、節分がきらいだった。なぜなら…… 節分の日、健太の家では豆をまかない。 まくどころか、鬼さんをお迎えする。 健太の家では、先祖代々、節分に鬼様を家にお迎えする「鬼迎え」、 そして、翌日にお送りする「鬼送り」の儀式を行う。 なんで…
真生の学校の卒業生にノーベル賞を取った人がいるという。感動した先生が、 小学5年の真生たちに『将来の夢』という作文の宿題を出しました。 でも、真生にはまだ夢なんかありません。 そんなとき、平三郎さんというおじいさんが、曽祖父の権左右衛門さんが…
月夜の晩に、七人の子供が小さい村から本郷へお祭りを見にゆきました。 その時、文六ちゃんというやせっぽちで色の白い子供が下駄を買いました。 すると腰の曲がったおばあさんが、 「やれやれ、晩げに新しい下駄をおろすと、狐がつくというだに」と言うので…
「―御覧なさい。この手をただ、こうしさえすればいいのです」 ある時雨の降る晩、若い魔術の大家、ミスラ君が魔術を見せてくれました。 ミスラ君は、魔術は誰でも造作なく使える、と言います。 ただ、習得するのには一つ条件があったのでした。 魔術/芥川竜…
1人1台のタブレット時代、 中2の心夏(ここな)は、学校の授業で子育てをすることになった。 生徒2人がペアになり、タブレットの中でAI(人工知能)の子供を育てるのだという。誰とペアになるのか、どの年齢の子を授かるかは、すべてコンピューター任…
冷たい雪で牡丹色になった子狐の手を見て、母狐は毛糸の手袋を買ってやろうと思います。 その夜、母狐は子狐の片手を人間の手にかえ、銅貨をにぎらせ、かならず人間の手のほうをさしだすんだよと、よくよく言いふくめて町へ送り出しました。 手ぶくろを買い…
いさなが通う花丸小学校に、新しい保健室の先生がやってきました。 小柄で、若くて、かわいらしいえくぼを持った先生です。 その名は乙千代子。 でも、この通称「おっちょこ先生」には、とても大きな秘密があったのです。 それは……な~~んてもったいつけて…
ぼくが1年生だったときの冬は とくべつでした。 そのときのことをおもいだすと、 うちの人がみんなニコニコしだすのです。 お母さんなんか、 ぼくのおでこをゆびでピンとはねたりします。 雪のかえりみち/藤原一枝❄作/はたこうしろう❄絵/岩崎書店 朝は少…
おはようございます。 実況はわたし、出席簿三十三番、綿野あみがお送りいたします。 綿野あみは、かつて小学5年のとき女子グループから外されて悩んでいると、 従弟の大学4年の早月ちゃんから、 「実況者になっちゃえばいいんだよ」と言われる。 「クラス…
彩希は、顔も成績も家柄も地味でごく普通の今どきの中学2年生。 それに比べ従弟の美冬はかわいくてスタイルも良く、私立の中学に通っている。 文化祭のクラス劇で、成り行きから主役をやることになった彩希は、演劇の楽しさに目覚めていくのだが、目立つよ…
樹里(ジュリ)の家は祖父が建てた家だったけれど、ガタがきたので両親が改築をした。そのとき、ちょっと贅沢をして、おしゃれで工夫をこらした〈サンルーム〉をこしらえた。 そこでパパは日光浴をしながら寝椅子で好きな本を読み、ママは日光浴しながら、好…
授(さずく)は、勉強も運動も人づきあいもそこそこの平凡な今どきの男子高校生。 あこがれのクラスのマドンナ、サラサラヘアにすらっとした足の弥生(やよい)の後をつけて雑居ビルのエレベーターに乗ると、不思議なクリニックに迷い込んでしまいます。 そ…
巻頭で著者の山本甲士さん曰く、 全くの素人が小説を書こうと思い立ち、プロデビューを果たすまでの物語 とあります。有り難いことに、要約を作者自らがされていましので、ワタクシ手抜きができました。( ´∀` )(笑) そうだ小説を書こう/山本甲士 作/小…
つきよに ふたり。 セミ ジッジッと ないた。 だいぶつさま わらった。 つきよのふたり/井上洋介 文・絵/小峰書店 まるで子供が描いたようなのびのびとして夢が広がるような絵が、大きな絵本いっぱいに描いてあります。 そして、仲良しのふたりの名前がす…