俳句初心者に向けて、
夏井いつき先生による正しい俳句の鑑賞についての解説本になります。
生徒役は本書PHP研究所の秘英知(俳号)さんで、対話形式になっています。
秘英知さんがスランプに陥っていると、夏井先生が・・・
夏井いつきの俳句鑑賞の授業/夏井いつき 著/PHP
夏井先生の授業は10時限+αで、秘英知さんとの雑談のような気軽さで講義をされています。では、授業単位ごとに簡単に見ていきましょう。
1時間目 二つの力で俳句は上達する
俳句が上達するには、ただ作っているだけでは不十分です。
名句を読み解いて観賞することも大切です。
俳句を作ることと名句を読み解いていくことは上達のための両輪で、どちらも欠かすことが出来ない大切なことなのです。
2時間目 「解釈」してから「鑑賞」しょう
「俳句を読み解く」ときのポイントは、解釈してから鑑賞するという順番にすると、間違いがありません。解釈というのは、字面通りの意味をそのまま理解することです。
その上で、俳句の構造や季語、切れ字、文法などを一つづつ考え、季語も歳時記できちんと調べます。
その後、自分なりに俳句を色いろと考えて観賞してみましょう。
3時間目 助詞に注目してみよう
「に」「を」「へ」など、助詞がわかると「俳句を読み解く」力がグッと高まります。
米洗う前に蛍の二つ三つ 作者不詳
の句で、助詞「に」「を」「へ」の違いをつかみましょう。
米洗う前に蛍の二つ三つ ⇒ 「に」は、存在している場所を示しています。
米洗う前を蛍の二つ三つ ⇒ 「を」は、動作の行われている方向を示しています。
米洗う前へ蛍の二つ三つ ⇒ 「へ」は、動作の行われる方向を示しています。
4時間目 常に基本を意識しよう
5時間目 対比を見つけよう
万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
※句またがり:意味の切れが、上五から中七の途中にまたがっている句。
万緑の緑と、歯の白、歯ぐきのピンク、万緑の大きさと赤ちゃんの歯の白さなど、一句の中にある色、大きさ、形などの対比を見つけていくと、句を立体的な映像として理解ができるようになります。
6時間目 現代の名句を読み解こう
じゃんけんで負けて蛍に生まれたの 池田澄子
現代の私たちが普段使用している文体、つまり口語だけで作られた句になります。
誰が言ったのかを考えてみると、同じ句なのに「人間と蛍」「蛍と蛙」「蛍と月」「人間の独り言」「亡くなった人と生き残った人」というように無限に世界が広がっていきます。
7時間目 自由律を味わおう
定型にとらわれずに作られた俳句を自由律といいます。
分け入っても分け入っても青い山 種田山頭火
※「無季自由律」の句
季語の「夏の山」を使わなかったのは何故だろう。
季語に縛られたくなかったので季語を使わなかったのではなく、種田山頭火が詠みたかったものがこのリズムで、「夏の山」ではなくて「青い山」だったのではないか。
本人が、「できた!」という満足感が大切です。
8時間目 助動詞に慣れよう
柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
助詞「ば」に、丁寧に注目してみます。
①確定条件 ⇒「~ので」 ⇒「柿を食べるので」
②偶然条件 ⇒「たまたま」 ⇒「柿を食べるとたまたま」
③恒常条件 ⇒「いつも」 ⇒「柿を食べるといつも」
この句は、②の偶然条件がより自然と思われます。
助動詞「なり」に、丁寧に注目してみます。
①伝聞・推定・音の感知 ⇒「鳴るそうだ、~ようだ、~らしい、音がする」
②断定 ⇒「鳴るのだ!」
9時間目 俳人の人生を調べてみよう
俳句をそのまま字面で解釈して鑑賞するのと、俳人のバックグラウンドを深く理解してどんな心情で詠んだのかを理解して鑑賞するのとでは、同じ句でも全く違った印象の句になります。
俳人の人生や時代背景などの周辺事情を調べてみると、句の鑑賞がより深まったものになります。
10時間目 抽象的な俳句に挑戦してみよう
去年今年貫く棒の如きもの 高浜虚子
「去年今年(こぞことし)」という映像を持たない季語から始まって、抽象的な「貫く棒の如きもの」という比喩がつづく「一物仕立て」の句です。
「貫く棒の如きもの」という抽象的な比喩で、一瞬と永遠をあわせ持つ「去年今年」という季語の本質を見事に表現しています。
最後の授業 俳句の両輪を大きくしよう
「俳句を作る」ことと「俳句を読み解く」ことは、俳句の両輪です。
歳時記に載っている例句などたくさんの俳句をていねいに読み解いていくことが、観賞上達の秘訣です。
この本は俳句の初心者に向けて、俳句の基本的な読み解き方のやり方を教えてくれています。有名な句はもとより、一般の人が作った句をていねいに読み解いて鑑賞するのにとても参考になる方法です。
内容もしっかりとかみ砕いて子供でも解るように解説されています。しかも、楽しく読み進められるような工夫もされています。
なんとなくこんな感じかなと思っていた句が、そうだったのか!と、開眼するかもしれませんよ。
流石もと教師ですね。
あなたも是非一読されることをおすすめいたします。
夏井いつき氏
1957年、愛媛県生まれ。8年間の中学校国語教諭経験を経て俳人に転身。
俳句集団「いつき組」組長。創作執筆に加え、句会ライブなど「俳句の種まき」活動を積極的に行う。
全国高等学校俳句選手権大会「俳句甲子園」の創設に関わる。
「プレバト‼」MBS/TBS系をはじめ、テレビ・ラジオ・雑誌・webなど各メディアで活躍。2015年から俳都松山大使を務める。
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