桜さくら堂

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金のりす/童話・絵本・児童文学/感想・レビュー・あらすじ

金のりすは

ぼくだけの 友だちなんだ。

だれにも 見せることはできない。

なかよしの まきちゃんにだって。

 

金のりす/江崎雪子・作/永田治子・絵/ポプラ社

 

太陽の光が ぜんぶ金になって、こがね山のてっぺんに つもっていくみたいだね。

 

学校帰りにりょうくんとまきちゃんは、つり橋のたもとで、それはそれはきれいな夕焼けを見ました。

その時、りょうくんは つり橋の向こうを金色に光るものがとんでいくのを見て、

「あれは空を飛ぶ金色のりすだ」と思ったのです。

 

雑木林のお父さんと名づけた「魔法使いの木」の前を通り過ぎようとしたら、動物の気配を感じました。

りょうくんは、さっきの金のりすが、ぼくのあとをずっとつけてきたんだと思うのです。

友だちになろうとします。

栗やブナの実を魔法使いの木のところに置いて学校へ行きます。

 

これは、ぼくからの 友だちのしるしだよ。この木の実を食べたら、ぼくと友だちになるって あいずだからね。

 

学校帰りに見ると、きれいにもってあった木の実の山が、ぱらぱらに崩れています。

 

金のりすが 食べたんだ! 金のりすも、ぼくと友だちになりたいんだ!

 

きみは 木の実を食べたあとで、ぼくがお父さんにのせてもらった あの枝から、

金のつばさで 空にとんでいったの? きみも この「魔法使いの木」で あそぶんだね。

ああ、きみのことは だまっていよう。 ぼくだけの友だちにしたいんだ。

 

この日から、りょうくんはいつも「魔法使いの木」で、金のりすと遊ぶようになります。

ある日、学校で一輪車を持っていると自慢した子がいました。すると他の子もつぎつぎに、外国生まれのお人形やヴァイオリンなどを自慢しました。

りょうくんは、「ぼくはつばさがある金のりすがいる」というと、みんなにほら吹きだと言われてしまいます。

 

ただひとり、まきちゃんだけは信じてくれましたが、金のりすを見せてほしいとせがむようになりました。

毎日まいにち、「見せて」と言われて、とうとうりょうくんは、明日、りすを連れていくと約束してしまいます。

それは雪の降り積もる日でした。

 

 金のりすは、魔法使いの木の枝にすわっていました。りょうくんをまっていたように。

「きょうは、あそべないんだよ」

 金のりすは 赤くかがやく目で、 じっと りょうくんを見つめました。りょうくんは、そっと目をふせて、いいました。

「まきちゃんのうちに、ぼくといっしょに いってくれる?」

 金のりすはニ、三度 小首をかしげて、パタパタと つばさをひろげました。気がつくと、りょうくんのゴムガッパの むねのなかに、金のりすがいました。

 

 りょうくんは金のりすを見せるために、まきちゃんの家へ向かいますが・・・・

 

金のりすは、もちろん目には見えないリスです。

いわば象徴のようなものです。

金色に光っていて、キラキラしてとても美しいものです。

それは気がつこうとつくまいと、子供の頃に誰の胸の中にもあって、とても大切なものなのです。

それが何なのか、それは人によって違うかもしれませんが、

谷川俊太郎が『二十億光年の孤独』の中の「かなしみ」という詩で、

 

あの青い空の波の音が聞こえるあたりに

何かとんでもないおとし物を

僕はしてきてしまったらしい

 

・・・というような大人になったら、見えなくなってしまうものでもあるらしいのです。

この『金のりす』でも、りょうくんは大切な金のりすを自分だけのものとしないで、

まきちゃんに見せようとするのです。

まきちゃんはりょうくんにとって、いつもそばにいていっしょに帰る友だちでした。

金のりすを見た夕焼けをいっしょに見たのもまきちゃんだったし、

金のりすを誰もが信じななかったのにまきちゃんだけは信じてくれたのでした。

だから、まきちゃんに、金のりすを見せることにしたのです。

 

そうすることで、りょうくんは一歩、大人への道を歩き出すのでした。

じつは子供のころの宝物を胸に秘めたまま、大人になっている人もわずかながらいるのです。

金のりすはたいへん美しい結末ですが、悲しみを内包しているのがやや寂しいようにも感じました。

永田治子さんの挿し絵が、物語をさらに美しく引き立てていますね。

 

作者・江崎雪子さん

静岡市に生まれる。日本女子大学英文科4年生のときに病に倒れ、闘病生活を続けながら創作に励む。

デビュー作『こねこムーのおくりもの』で日本児童文芸家協会新人賞を受賞。

第2作『えっちゃんとこねこムー』が課題図書となる。

以後、「こねこムー」のシリーズ、『さよならぼくのトラマル』、『12歳、ぼくの夏』、『きっと明日は―雪子、20年の闘病記』(課題図書)、『もうひとつの幸福』、『生命の樹』、絵本『ぼく、いってくるよ!』(以上、ポプラ社)などがある。

一貫して生きることのよろこびを訴えつづけた。

 

 

 

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