桜さくら堂

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みずがめ座流星群の夏/児童文学/感想・レビューなど

幽霊になったおじいちゃんにいつも悩み事を相談している花は、人を笑わせることが好きな明るく活発な女の子。

大好きな兄が重い病気にかかっていつも胸を痛めている莉子は、かわいくておとなしくてまじめな女の子。

 

まったく違うタイプの女の子が、ひょんなことから出会い、お互いの想いを語っているうちに、みずがめ座流星群をいっしょに見に行こうと約束します。そのために二人は、夏休みに高原でおこなわれる塾の合宿に参加して、夜中にそこを脱出して・・・

 

 

みずがめ座流星群の夏/杉本りえ 作/ポプラ社

 

〈 おじいちゃん、きこえる? 〉

――おお、花ちゃんか。

〈 なにしてるの? 〉

――なんにも。ただ、ふらふらしてるだけさ。

〈 幽霊らしく 〉

――まあな。気持ちがいいぞ。よっぱらったみたいでな。

 わたしはふふっとわらった。

 

と、こんな話から始まる不思議な話の主人公は、小学6年生の女の子です。

人を笑わせるのが好きでクラスの人気者、一人でバスに乗って塾に行っているというしっかり者のように見えます。

そんな花が、人の笑いをとる心地よさにめざめたのは、おじいちゃんがささいなことでタイミングよく晴れ晴れと笑ってくれたからでした。

また、塾で一生懸命勉強しているのは、将来出世して、離婚をして一人で頑張っている母を幸せにしてあげたいからでした。

それなのに、おじいちゃんは急死してしまい、母は突然「紹介したい人がいるの」といってくるのでした。

 

こんなとき、もしも、すでに亡くなってしまったけど、大好きだった人と話ができたら――花ちゃんはこうでした。

 

たまたま、空にかかった雲のすきまから太陽の光が、地上にスポットライトをあびせるようにおりてきているのを見かけたとき、何気なく心の中で、

〈 おじいちゃん、花だよ。ここにいるよ 〉とつぶやいたら、

――おおい、花ちゃん。

と、おじいちゃんの声が聞こえてきたのです。

 

莉子の兄の圭は白血病で小児病棟に入院しています。両親は兄の世話で大変なため、莉子のことは後回しになってしまうことも多いのですが、莉子は我慢します。それよりも大好きな兄が心配だからでした。たとえば、こんなふうに――。

 

 わたしは、圭の病気のことで泣いたことはいちどもない。泣きそうになることは、何度もあるけど、ぎゅっと歯をくいしばってがまんする。

 わたしは泣くのがこわい。泣くと、ほんとうに泣くような状況になってしまいそうな気がしてしまう。

 

そんな二人が偶然、バスの中で出会います。

花は塾へ行くため、莉子は兄の病院へいくためでした。

空を見上げておじいちゃんと話をしている花に、莉子は星座の話をします。莉子の兄の圭は宇宙が好きなので、莉子も宇宙に興味があったからでした。

やがて二人は、それぞれの理由から「みずがめ座流星群」を観にいく計画を立てるのでした。

 

人と人との出会いは不思議なものです。

何も起こらないこともあれば、不思議な化学変化を起こして、良きにしろ悪きにしろ、人の人生や運命を大きく変えてしまうことがたくさん起こっているのを目にします。

最初の出会いは、両親や家族です。

「親ガチャ」という言葉があります。どんな親の元に生まれたかで、その人の運命の大半は決まってしまうといわれています。

しかし、親ガチャが残念だった人でも、その後の人生ではミラクルが起こった事例をたくさんみかけます。それは、その後の人生で、どんな人に出会ったかによります。

1つは、良き師で、もう1つは、良き友人です。

良き師や良き友人には、もちろん本も入ります。音楽とか、そういうものも。

 

花と莉子は、そういう意味では幸運でした。

二人はお互いに化学変化を起こして、花はおじいちゃんの幽霊から、莉子は自分で自分を縛り付けていたことから離れて、それぞれの壁を乗り越えることができました。

それにしても「みずがめ座流星群」を小6の女の子が2人だけで、夜中に観に行こうとするなんて、なかなかの冒険ですね。

2人が観れたかどうか、そして、

花とおじいちゃんとお母さんと紹介したい人との成り行きや、莉子の兄がどうなったかは、実際に本を読んでみるのをおススメいたします。

花や莉子の少女の瑞々しい気持ちによりそって書いてありますので、そういう細かなところも是非読んでみてほしいところです。

 

 

作家・杉本りえさん

富山県に生まれる。関西学院大学文学部卒業。

「未熟なナルシストたち」で第2回コバルトノベル大賞受賞。「魔法使いのいた場所」「どこにでもある青い空」「時をこえた約束」「となりあわせの奇跡」「明日がはじまる場所」「地球のまん中 わたしの島」「明日は海からやってくる」などがある。

「不愛想なアイドル」で第36回泉鏡花記念金沢市民文学賞受賞。

 

 


【中古】 みずがめ座流星群の夏 ノベルズ・エクスプレス28/杉本りえ(著者),佐竹美保

 

 

 

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