壮快な結末を
用意してあります
白銀の世界を
楽しんでください
東野圭吾
本を開くとまず、東野圭吾氏のこんな折り込みがありました。
そうか、壮大な結末があるのか、
白銀の世界を楽しめるのかぁ、
東野圭吾さんの作品は嫌いじゃない。面白そうだな、読んでみよう。
そして、実際はどうだったかっていうと……
白銀ジャック/東野圭吾・作/実業之日本社
舞台は新月高原ホテルアンドリゾート会社が運営している新月スキー場で、広大なスキー場で多くのコースがある。倉田玲司は索道部マネージャー兼技術管理者で、社長、索道事業本部長に次いで責任があるポストについている。
この冬は積雪もありスキー場も無事問題なく運営され始めたところへ、ゲレンデ主任の辰巳からホームページに不審なメールが届いたという報告があった。
それは新月スキー場のどこかに、雪が降る前にタイマー付きの爆発物を仕掛けたという内容だった。要求額は三千万円という半端な額だった。
筧社長はスキー場の悪評が立つことを恐れ、警察には届けずに取引をすることに決めたのだが、倉田や現場のパトロール隊はスキー客の安全を考え閉鎖しないことに納得がいかない。
受け渡しはスキー場の雪の上で行われる。もちろんこれにはスキーやスノーボードの神的に上手いパトロール隊の根津や藤崎絵留(える)が担当するのだが、惚れ惚れするほどの腕前だ。取り引きは成立しほっとするのだが、犯人はさらに第二、第三の要求をしてくる。
そんな中、スキー事故で家族を失った子供連れが来たり、世界中から有名な選手を招待しての恒例のクロス大会も間近に迫ってきていた。
あまり書くと肝心の面白い所がネタバレになってしまうので、この辺にしておきますが、期待を裏切らない面白さでした。
まず、パトロール隊の根津や絵留のスキーやボードのテクニックが素晴らしく、スノーボードクロスに出場しようとしている瀬利千晶など、登場人物がいちいちカッコ良くキャラが立っていること。
スキー場の運営やスタッフの仕事が、実に細かく描いてあるので面白く知識を得られたこと。
スキーやボードをする感覚がリアリティを感じられて、スキーやスノーボードの追体験ができたこと。
さらに物語全体が上手く構築されていて、特に後半がページをめくるのももどかしくハラハラしながら読むことができました。
最後に、犯人を追いかける緊迫の場面を書いてみたい。是非参考にしたい秀逸な文章なので。
低い姿勢を維持し、下半身だけで斜度変化に対応しながら、瞬時にして方向を切り替えていく。しかも減速要素は殆どない。追跡しつつ、根津は全身から冷や汗が出るのを感じていた。恐怖心に負けて少しでもスピードを緩めれば、忽ち引き離されてしまう。だからといってボードをコントロールできなくなるほど暴走するわけにはいかない。集中力が途切れたら、途端に破綻してしまうだろう。
そして再び森を抜けた。白い斜面が広がっているが、その向こうには空しか見えない。だが黒色ウェアが速度を緩める気配はなかった。むしろ、姿勢を一層低くし、空気抵抗を減らそうとしているように見える。
迷いや躊躇いを全く感じさせないまま、黒色ウェアは空中へ跳び出していった。自身に満ちた飛躍だった。
根津もまた、その軌道上を滑走していた。みるみる崖が近づいてくる。その真下には沢がある。そこへ落ちたら単なる怪我では済まないだろう。
やめるか、どうする? ―千分の何秒か迷い、決断した。ここで跳ばないなら、追いかけてきた意味がない。
全身の神経を研ぎ澄ました。テイクオフのタイミングを計る。これはパフォーマンスのエアじゃない。サバイバルのジャンプだ。
とにもかくにも、
壮快な結末の白銀の世界を楽しめました。
東野圭吾さん、ありがとう♥
著者・東野圭吾さん
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。エンジニアとして勤務しながら、85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。
99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞を受賞。
『宿命』『白夜行』『手紙』『さまよう刃』『流星の絆』『麒麟の翼』『真夏の方程式』『マスカレード・ホテル』など著書多数。
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