授(さずく)は、勉強も運動も人づきあいもそこそこの平凡な今どきの男子高校生。
あこがれのクラスのマドンナ、サラサラヘアにすらっとした足の弥生(やよい)の後をつけて雑居ビルのエレベーターに乗ると、不思議なクリニックに迷い込んでしまいます。
そこで突然、自分の前世にトリップして……過去の自分らしき人物になって摩訶不思議な体験をします。
しかも、そこで出会った人が、みんなどこかで出会ったような人ばかり。
あこがれの弥生さんも、母親も、才能にジェラシーを感じているクラスメートの滋雄(しげお)も、実は過去から現代へとつながる絆が・・・
ぼくらの輪廻転生/さとうまきこ 作/角川書店
恋あり、友情あり、夢と希望ありの、時空を超えた青春ファンタジーのど真ん中をいく物語です。
向山授(むこうやまさずく)は学校帰りにクラスメートであこがれの弥生が雑居ビルに入っていくのを見かけます。が、そこはマンガ喫茶と居酒屋と「経堂ハートフルクリニック」という心療内科があるだけのビルです。
不審に思って後をつけていくと、エレベーターはクリニックにピタリと止まっています。それで後をつけてのぞいていると、授も診察をうけることになってしまいます。
医師の問いに授は・・・
「まあ、なんていうか……。学校がつまらなくなって……。まあ、気のあった友達といれば、それなりに……なんですけど。ああ、でも、ただつるんでるだけっつーか。同じ帰宅部のやつらと。だから、本当に友達っていえるのかどうか……」
「えーと……。あと、オレ、何が好きとか得意とか、そういうのがなくて……。もう高2なのに、大学はどうすんのか。いや、そもそも大学にいきたいのかどうかもわかんなくて……。一応、塾には行ってるんだけど。将来、何になりたいかとか、そういうのも全然……」
こんな感じに答えます。
ところが椅子に座っているうちに、いつの間にか授は16世紀のフランスで住む家もなく慈善用の『貧者のスープ』を飲んでいる貧しい子供になっているのでした。
それがあまりにリアルなため、現代に意識がもどってから調べてみると史実に則った出来事であったことがわかります。
そして、そこで出会った母親と現代の母親には、同じような特徴があることがわかります。
その後も、授はクリニックに行く度に違う過去を見せつけられます。
ある時は中世のイタリアで貴族となって決闘までしたり、またある時はナポレオンの側近として軍人となっています。
それらのことは全て後で調べると、授が今まで知らなかった細かなことまで歴史に記載されていることを知るのでした。
そのため自分が経験したことが、本当にあったことだと思い始めます。
そんな中で、クラスメートで音楽の飛び抜けた才能があって女子にも人気がある西村滋雄(にしむらしげお)が、実は過去に何回も出会ったことがある人物であることがわかってきます。あるときは敵として、またあるときは……。そうしてあこがれのマドンナの弥生も同じように……。
この過去にトリップして、過去の自分に会うというのは、実は現実にもそういう診療科での治療として行われていると聞いたことがあります。
たとえば水を異常に怖がっている女性に、催眠をかけてみて子供の時,
さらにま生まれる前で遡っていくと、前世の体験を話し出したというのです。彼女は前世で、海で溺れて死んだということを話し出したのです。調べてみたら、実際に現実でそういう事故があったとわかったそうです。
こういう似たような事例はたくさんあるとのことでした。
そんな話を知っていましたので、私はこのファンタジーにすっと入っていって、楽しむことができました。確証はありませんが、そんなこともあるかもしれないなという程度のものです。
ただ、そうだとしたら、今出会っている人達も、もっともっと大切にしないといけないかなとも思うのです。
仏教では死ぬ間際まで、自分の能力を磨いたり勉強をすることは大切だと説いています。なぜなら、それは来世に必ず役立つからだそうです。
そういう長いスパンで人生を考えてみると、もっとゆったりとした気持ちで生きることができそうな気がしてきます。
こういう話はあまり信じられない人は、それが普通なのだから、それはそれでいいのだと斎藤一人さんが言っていますね。それに私もよく分からないのですから。
でも、そうだったら、いいなぁ~~とは思っています。大切だった人に、あるいはペットに、また来世で出会えるとしたら……。
また、ひと時、こんな悠久のファンタジーで気持ちを遊ばせてみるのも楽しいかもしれませんね。
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