桜さくら堂

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風のラヴソング[あの日のラヴソング]越水利江子【児童文学】感想・レビュー

きこえてくるのはラヴソング

さあ 泣かないで

さあ 立ちあがって

耳をすまして

 

いつでも

だれかが くちずさんでいるはず

あなたへの ラヴソング

 

おもいだして

あの日の ラヴソング

ほら

明日のあなたへの ラヴソング

 

風のラヴソングは作者の越水利江子さんが、自身の子供時代をふり返って、

あのころ、読みおわったあと、力になる物語に出会えていたらと・・・

そんな気持ちから、

今もたたかいつづけているひとりぼっちの幼い戦士たちのために書きつづった少女・小夜子の一生を通して描かれるさまざまな「愛」の物語です。

 

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越水利江子・作/中村悦子・絵/講談社・青い鳥文庫

お題「我が家の本棚」

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あの日のラヴソング

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「おい、こいつ、ドロボーやねんぞ。三年のとき、金柑盗りよってん」

 藤井くんが、細長いあごをつきだしていうた。

 

 小夜子は、安田さんが金柑の枝を持ってきて、先生の机の上に飾ったのを見ていて、お父ちゃんが食べさしてくれた金柑を思い出して、つい、1つ、2つちぎっていたのでした。

そのことを藤井くんと松浦くんが、五年生になってもドロボーといっていじめるです。

小夜子はそれも嫌でしたが、「キンカンドロボー」って言われたとき、日下部くんがどう思うかが気になるのでした。

西田先生のクラスでは、テストの成績で席順を決めていました。ついに小夜子が日下部くんの隣の席になったとき、日下部くんが、

きらっと笑って、「やったね!」と言われてから、小夜子は日下部くんが好きになったのでした。

 

 その日下部くんの隣の席に、太陽がいました。

太陽はクラスで一番の不良で、テストをいつも白紙で出す太陽の席は、ずっと前の席のはずなのに、自分の席に座らずに「きょうは、ここに決めた!」とだれかの席を取るのです。

 

小夜子と日下部くんとは仲良くなりましたが、みんなに2人はスケベーな関係やと言われたり、キンカンドロボーのうわさが広まって、気が弱い日下部くんは、小夜子と目が合うと、そっぽを向くようになります。

それで小夜子は、休み時間をうさぎ小屋で過ごすようになりました。

そこへ、太陽がやってきて声をかけるのです。

 

「おまえ、キンカンドロボーしたって、ほんまか?」

 太陽がいうた。

 うちは。だまってた。

 

 太陽は、アア、と、のびをして立ちあがった。

「さあ、ひまやから、教室でも、ひやかしてこおか・・・」

 そういうて行きかけて、また、ふりかえった。

「おまえ、キンカンなんか盗って、どうすんね? あんなもん、ドロボーのうちにはいらへんぞ。あほか」

 

 やがて日下部くんが、北海道の釧路へ引っ越していきました。

それをからかった女の子とケンカになってしまい、竹尾さんが小夜子の頭をたたき、小夜子がたたきかえすと、竹尾さんが泣いてしまいました。

 先生に「どっちが先に手を出したんや?」と聞かれたとき、小夜子は本当のことを言いましたが、西田先生は、

「うそつきは、ドロボーのはじまりや。なんで、ほんまのこといわへんのや!」

と、一方的に決めつけて小夜子を怒り、小夜子の母親にも、

「わがままで、自分が悪くても、人を悪くいう。協調性に欠ける」

と言うのでした。

小夜子は、その時の母親の顔がいつまでも忘れられませんでした。

それからは自分を曲げて、西田先生に気に入られるようにおとなしく、しおらしくするようにしたのです。

そして、ついに西田先生は、小夜子を呼び捨てではなく、篠原さんとやさしく呼ぶようになりますが・・・

 

(とうとう、やった・・・)

 そやのに、心臓だけがみょうに苦しくて、顔が熱うて、なんや、はずかしいのやった。

「篠原さん」いうて呼ばれたのは、うちやない、知らんだれかのような気がして、なんや、せつないのやった。なんや、腹がたつのやった。

(大キライや!)

 うちは、西田先生のかくばった背中にのっているいかずち頭をにらんだ。

 

 太陽は、じろりとうちの顔を見てから、フンと、そっぽをむいた。

「センセイ! トイレに行ってマイリマス!」

 大きな音をたてて、太陽が立ちあがった。西田先生はむっとして、太陽を見た。

「行くんやったら、静かに行け!」

 先生がいうのを、最後まできかずに、太陽は、おもいっきり大きい音をたてて出ていった。

 ろうかで、大声で歌うのがきこえた。

 

キンキンキラキラ ゆうひがしずむゥ

キンキンキラキラ ひがしずむゥ

 

まっかっかっかっ そらのくもォ

キンスケのおかおも まっかっかァ

 

 西田先生が、戸をあけてどなった。

「静かに行かんかっ!」

 ほんのしばらくシンとしたあと、遠くから、もっと大きな声がきこえてきた。

 

まっかっかっかっ そらのくもォ

にしだのおかおも まっかっかァ

 

 みんなはクスクス笑って、下を向いた。

こわい顔をしているのは、西田先生と、うちだけやった。

 

がなりながら遠くなってゆく太陽の声に、うちはなんでか、ついていきたかった。

 

 このお話は、最初からずうーと日下部くんのことが書いてあるんですね。

日下部くんが頭がいいとか、やさしいとか、それから運動場で走り幅飛びのとき日下部くんがこうだったとか、理科室で2人きりでの掃除の時なんかは、

うちの胸はもっとどきどきして、心臓の音が、自分の頭のてっぺんまでドンドン響いた

って書いてあります。

あと小夜子が原因で、日下部くんが藤井くんになぐられたことや、別れのシーンなんかもあって、ちょっと切なくなったりして・・・

それで、これはちょっと見には、日下部くんとのラヴロマンスのように見えるんです。

 

でも本当は、ラストのところで、太陽の方だったんだというのがわかってきます。

太陽は脇役のように描かれていて、じつは、なかなかに魅力的なキャラなんですね。

西田先生が、成績で席順を決めることや、えこひいきするところとか、

太陽は先生にすごーく、反抗していて・・・・そして、小夜子の気持ちも、よく分かっているんです。

それから、いじめっこの松浦くんにも、なにかやったらしいのです。

ちなみに太陽が歌ったキンスケっていうのは、小夜子のことです。

 

太陽という少年はいろいろ問題は抱えているようですが、すごく大きくて温かい少年なんですね。

 

f:id:sakurado:20211203070647p:plainあなたは、どう思いますか?

 

 

※ 風のラヴソングは、どれも短いお話になっていますが、どれも内容が深くて濃い作品なので、ぜひ深く味わっていただきたいので、何回かに分けて感想を書いてみたいと思います。

 

著者紹介:越水利江子さん

 高知県生まれ、京都育ち。

「風のラヴソング」(岩崎書店)で、日本児童文学者協会新人賞、

文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。

「あした、出会った少年」(ポプラ社)で、日本児童文芸家協会賞受賞。

他に「花天新選組君よいつの日か会おう」(大日本図書)、

「竜神七子の冒険」(小峰書店)、「ぼく、イルカのラッキー」「月夜のねこいち」(共に毎日新聞社)、「忍剣花百姫伝」シリーズ、「こまじょちゃん」シリーズ(共にポプラ社)、「霊少女花」シリーズ(岩崎書店)、「百怪寺・夜店」シリーズ(あかね書房)など、ヤングアダルト、エンターティンメント、幼年絵本まで作品多数。

 


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