私はたしかにあの文章を見ました。しかし少しも気になりませんでした。
それは自分のものでないからかもしれませんが、ああいう所へ出るものは好加減な出鱈目に近い事が多いというのが大理由かと思います。
ー 略 ー
私もあなたと同じ性格があるので、こんな事によく気を悩ませたㇼ気を腐らせたりしました。しかしこんな事はいつまで経っても続々出て来て際限がないので、近頃は出来るだけこれらに超越する工夫をしております。
私は随分人から悪口やら誹謗を受けました。しかし私は黙然としていました。『猫』を書いた時多くの人は翻案か、または方々から盗んだものを並べたてたのだと解釈しました。そんな主意を発表したものさえあります。
武者小路さん。気に入らない事、癪に障る事、憤慨すべき事は塵芥の如く沢山あります。それを清める事は人間の力で出来ません。それと戦うよりもそれをゆるす事が人間として立派なものならば、出来るだけそちらの方の修養をお互いにしたいと思いますがどうでしょう。
「漱石書翰集」より。
『ヘタな人生論より夏目漱石』本田有明 著 を読んでいて、なるほどなあと思ったので、書きとってみました。
武者小路実篤氏が30歳、夏目漱石氏が48歳のことで、間違った記事が朝日新聞に出た時のことだろうと言われています。
話は逸れますが、高校生の頃に武者小路実篤氏の作品をずいぶん読み感銘を受けました。あれから長い歳月が経つので、もうすっかり本の中身を忘れてしまっていますが、確かにこの風景が似合うような印象だけが残っています。
しばらく前ですが、知人の女性が、某作家の熱烈な推しをしていました。
出ているものは全部熟読し、出ればすぐ買って読み、どんなにすばらしい作家であるかを懇々と聞かされたものです。
久しぶりに会った時にその作家の話を振ってみると、反応が鈍いのです。どうしたのかと思ったら、顔写真を見てガッカリしたので推しをやめたのだとか。
私も武者小路実篤さんの顔写真を知らずに読んでいて、後から顔写真を見る機会がありました。イメージとはかなり違う印象でしたが、だからといって作品に対する評価は変わらなったですね。「外観に惑わされない」と自分を評価できることが、ちょっぴりうれしかったりして。
だからといって、見た目がどうでも良いというのは寂しいですね。
ある年齢を過ぎると、その人の中身が知らず知らずに表情や雰囲気として外に出てくるように思います。
特に気をつけたいのは、清潔感と明るさでしょうか。
アンケートでは好感の持てる男性も女性も、1位は「清潔感」だそうです。
これは年齢を重ねるにつれて誰でも失いつつあるので、さらに頑張りたいところです。
無理のない年相応の上品な明るさというのがいいですね。
本を読んでいて、懐かしいお名前が出てきましたので、思いつくままに書いてみました。
夏目漱石氏も武者小路実篤氏も、遠い雲の上の人のように思っていましたが、こうして改めて「漱石書翰集」などを読んでみると、私のような普通の人間が持つ悩みを抱えていたんだなぁと思って、親近感がわきました。そして、参考にもなりました。
ありがとうございました。
『ヘタな人生論より夏目漱石/本田有明著』については、内容が濃いので後日改めてご紹介したいと思っています。
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