植物のいいところはね、光にむかってのびていくところよ
《ホテイアオイの花》メダカ用のホテイアオイが繁殖して、たくさん花をつけた年がありました。透明感があって涼やかな花ですね。
「植物のいいところはね、光にむかってのびていくところよ」
「光?」
「そう、太陽の光。先生の部屋にある木はね、みんな太陽の光がさしてくる方向にむかって、葉っぱをひろげてるの」
「ふうん……」
「科学的に考えれば、あたりまえなんでしょうけど、先生は感動しちゃう。
だってずうっと雨が降っている梅雨のときなんか、太陽の光よりも部屋の蛍光灯のほうがずっと明るいはずなのに、植物たちはごまかされないんだもの」
「頭がいいのかな……。ちがうな、植物たちは考えたりしないもんね」
「そうね、植物は考えたりしない。なにかを感じることはできるかもしれないけど」
「じゃあきっと植物はみんな、太陽のことが好きなのよ。考えなくても、自分の好きなもののことぐらいわかるじゃない」
本気でそう思ったわけじゃないけど、口にだしていうと、そのとおりのような気がした。
植物は太陽が大好きで、その大好きな太陽にむかってスクスクのびていく。
「そうだといいな……」ぼそっとつぶやくと、
「そうだといいわね」
ー『リズム』森絵都 講談社より ー
これは森絵都さんが第31回講談社児童文学新人賞を受賞した作品で、それからちょっとだけ私の『森絵都』ブームが続きます。
この本「リズム」の主題は、主人公のさゆきにドラマーの真ちゃんが、
「さゆき、自分のリズムを大切にしろよ」
と語りかけているところなんですが、こういう植物の何でもないような会話もキラキラっとまぶしい輝きをみせてくれました。
私は時どき、こういう心に残った言葉を拾い集めて、植物か何かの標本のようにノートに書き写します。
こうして読み返してみると、やっぱり今でもキラキラしているんですね。
みなさん、こんにちは💛
いつもご訪問をありがとうございます。
いつもクリックありがとうございます💛^^
↓ ↓ ↓
にほんブログ村