いさなが通う花丸小学校に、新しい保健室の先生がやってきました。
小柄で、若くて、かわいらしいえくぼを持った先生です。
その名は乙千代子。
でも、この通称「おっちょこ先生」には、とても大きな秘密があったのです。
それは……な～～んてもったいつけても、
勘のいい人は本の題名を見れば、すぐに「ハハ～～ン！」と気づくはず。
どうやら作者も編集者も、おっちょこなのかもしれませんね。
廣嶋玲子・作／ひらいたかこ・絵／株式会社KADOKAWA
小学５年生のいさなは元気が良くて暴れまわっているので、よく怪我をするので保健室の常連です。
今日は給食のお味噌汁で、舌を火傷してしまいました。そこで保健室に行ってみたら、おっちょこ先生がいません。その代わりに、小さな金茶色のハムスターがいました。
そのハムスターは、おたおたと頭をかきむしり、人間の声でぴーぴー叫んでいたのです。
「ああ、うそ！ うそでしょ？ こんなはずじゃなかったのに！ なんで、じぶんに魔法がかかっちゃうの？」
というもの。
どうやらおっちょこ先生は魔女で、間違って自分に変身魔法をかけてハムスターになってしまったらしいのです。
しかも、自分にかけた変身魔法は、自分ではとけないのだとか。
ハムスターになってしまったおっちょこ先生は、いさなに魔法を解いてくれるように依頼をします。ところが人間が魔法を解くためには、魔物を捕まえる必要があるのでした。
「魔物を集めるって言っても……だいたい、魔物なんて、そう簡単に見つからないでしょ？」
そう言ういさなに、おっちょこ先生は魔法のメガネを渡して、
「そうでもありませんよ。人間に見えないだけで、けっこう身近にいるものです。手始めに、松谷さん、あなたの魔物を捕まえましょう」
「え？」
「憑いてますよ、魔物」
いさながメガネをかけて見ると、いさなの肩のところに、ぷくっとした奇妙な生き物が乗っかっています。
いさなは友達の千草の家のカフェについた「閑古鳥」という魔物や、小さな子供についた「一匹狼」など、どんどん魔物を捕まえていきます。ところがおっちょこ先生は、いつの間にかハムスター化していって、せっかく魔物を捕まえても、おっちょこ先生はハムスターのように眠ったままです。
これでは、どうやって変身魔法を解けばいいのか……いさなは途方にくれてしまうのでした。
作者は、『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』や『十年屋』『鬼遊び』のシリーズで定評のある不思議系作家です。
この作品には、とにかく色々な魔物が出てきます。それが何となく愛らしくいかにもいそうな感じがするような「猫舌」「閑古鳥」「一匹狼」「野次馬」などの魔物です。
魔法の世界も楽しく、こんなことが出来たらいいなという「身代わりのわら人形」が出来てきたり、『ラッキーアップ・ル』という幸運体質になる木を育てたりと、なにやら面白い魔法が盛たくさんです。魔法使いのおっちょこ先生も、ドジなところが親しみを持てて、本を読む楽しさを味わえる作品になっています。
そんなおっちょこ先生はこの物語の中で、
「……魔女の常識は人間の非常識って、ちょっとおぼえるべきですね」
と言います。
なんだかドキッとしますね。
――もしかして、私の肩にも何か憑いていないかしら。。。
なんて思ったりしませんか。
恐るおそる鏡をのぞいて、何も変なものが映っていないことになぜかほっとしたりして……。
作者・廣嶋玲子さん
作家。『水妖の森』（岩崎書店）で、ジュニア冒険小説大賞受賞。
主な作品に『送り人の娘』『こちら、ハンターカンパニー希少生物問題課！』（すべてKADOKAWA）、「魔女犬ボンボン」シリーズ、『神様ペットX』『世界一周とんでもグルメ』（すべて角川つばさ文庫）、「ふしぎ駄菓子屋銭天堂｝シリーズ（偕成社）、「十年屋」シリーズ（静山社）、「鬼遊び」シリーズ（小峰書店）など多数。
おっちょこ魔女先生 保健室は魔法がいっぱい！ [ 廣嶋 玲子 ]
おっちょこ魔女先生 魔女修業は危険がいっぱい！ [ 廣嶋 玲子 ]
みなさん、こんにちは💛
いつもご訪問をありがとうございます。
いつもクリックありがとうございます💛＾＾
↓ ↓ ↓ 
にほんブログ村
