桜さくら堂

いらっしゃいませ! 今日もあなたのために、とっておきのお話をご用意しました。

大切にした人や物からしか、大切にされない……ケアマネのつぶやき

f:id:sakurado:20200623110458p:plainショートステイに6月末から入所されている

ご利用者様のモニタリングに行ってきました。

挨拶をして、まず健康状態について伺おうとしたら、

開口一番、

「従妹に、断絶されちゃったのよ。

もういっさい関わらないって」

と言ってきました。

この方にはお子さんは無く、夫が亡くなってからは一人暮らしをされていて、

キーパーソンは遠方に住んでいるこの従妹だけでした。

従妹さんとは、私は面識がなく、

急にショートステイに入ることになったので、

その経緯をお知らせするために初めてお電話をしました。

私と、このご利用者様とのかかわりも、衝撃的でした。

最初は少し歩くのが大変というだけの要支援2で、

自宅で自立した生活をされていました。

歩行器を使いたいということで、

地域包括から依頼を受けて、一緒に挨拶に行きました。

ところが、その翌日に玄関付近で転ばれて

救急車で病院に運ばれたという連絡がありました。

運良く骨折は無く肩の脱臼だけですみ、

それもうまくはめられたそうです。

自宅に戻った夜に、痛みから夜間せん妄(見えない物や人が見える等)と

便いじり等の症状が見られ、歩行も困難なため、

一人で自宅で生活するのが出来なくなりました。

入院も勧められましたが、本人はどうしても入院したくないということで、

ショートステイを利用することになりました。

私も本人とのかかわりが皆無だったので、従妹さんには

渡された資料を見たり包括の人に聞いたりしながらの状況説明となりました。

経済状態も、よくわかりません。

また、症状としては肩の脱臼だけで、

それも1~2日車椅子を使っただけなのですが、

なぜか歩けなくなってしまったのです。それ以外にも

認知症のような症状もあり、質問にもぼんやりとして

「わからない」をくり返すばかりでした。

トイレも入浴も、全介助の状態がしばらく続きました。

もはや要支援状態ではないので、区分変更申請をして

介護度の見直しを行うことにしました。

認定の調査が無事終わったのですが、

今度は定期的な通院が無いとの事で『医師の意見書』を

書いてもらえず、関係のあった病院に再三再四お願いして

ようやく書いてもらえることになりました。

「やれやれ」

と思っていた矢先の、ご利用者様のこのひと言でした。

ご利用者様は相変わらず車椅子状態なのですが、

8月頃から認知症のような状態も薄れ、

だんだんと会話もはっきりするようになってきました。

「従妹は親が、もう80歳を過ぎてるし、

最近具合が悪くて大変らしいのよ」

と言った後、

「従妹は親の遺産が、1億2千万あって……」

と声をひそめて言うのでした。

それはともかく、意見書が揃えば

そろそろ介護保険の認定もおりるはずです。

今までのショートステイの費用の清算も出来ます。

そこでていねいに、費用の説明をしました。

包括からは、保険が数百万おりたそうなので、

支払いは大丈夫と聞いていました。すると、

「お金は、ない」

と、衝撃のひと言。

「ええっ」

――あーっ、うかつだった。

もっと早く、しっかりと、何らかの方法で

確認しとくんだった!!

……という思いは顔には出さず、

帰ってきたのでした。

ただ、この方、地域の福祉の会長にお金の管理を

任せていると資料に書いてあります。

連絡すると、通帳を一つだけ預かっていて、

「100万くらいはあると思います」

あと自宅にも通帳があるので、

本人に聞いてから見てきますとの返答でした。

「あ~~、良かった。とりあえず今までの支払いは出来そうだ」

そして、この福祉の方と本人と私とで、

今後どうするか、生活の方針を話し合うことになりました。

なにしろ、縁者の従妹は去ってしまいましたから。

それにしても、子供がいないと老後って大変だな

と改めて思いました。

でも、いや、まてよ、

今まで色んなご老人を見てきたけれど、

子供だってなんだか冷たいなーーって思う人もいれば、

従妹さんとかお孫さんでも、すご~~く

おじいさんやおばあさんを大事にしている人もいたなあ。

施設に入居されていたあるおばあさんは、

認知症もあって、

いつも職員を大声で怒鳴り散らしていて、

誰からも良くは思われていなかったのに、

キーパーソンの従妹はすごく親切で良くしていました。

その従妹の方も遠方にお住まいだったと思います。

一度、聞いてみたことがあります。

すると、

「昔、いろいろ面倒を見てもらった」

と。

そうなのか、この人は昔、従妹を大切にしていたんだな。

だから、今、こうやって大切にされているのかも。

 

アメリカの超名門大学 プリンストン大学で

『 物には魂があるのか?』 で、

1979年から 、20年以上実験をしました。

すると、愛情を持って機械に接すると長持ちする

という結果が出たとのことでした。

 

人間ならば、なおさらですよね。

お子さんや縁者の薄い方も、

嘆くことなかれ です。

たとえ血がつながっていなくても、

大切にした人には、いつかきっと大切にされますよ。

この世界は、そういう仕組みみたいですからね。