桜さくら堂

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まつげの海のひこうせん/絵本・童話・児童文学/感想レビュー・あらすじなど

「ぼく」が、けんかにまけて、運動場にひっくりかえっていたら、みんなが呼びにきた。

 

ぼくは、おきてやらなかった。

「死んだんじゃない?」ノブコが、いった。

そしたら、先生は、

「じゃ、気がすむまで、そこで死んでなさい。」

そういって、教室へもどっていった。

みんなも、先生にくっついて いなくなった。

 

まつげの海のひこうせん/山下明生 作・杉浦範茂 絵/偕成社

 

誰にでもある、子供の日のしょっぱいなみだ。

まわりが静かになって、ツクツクボウシ声が聞こえてきたりします。すると・・

 

死んでいるはずなのに、ぼくの目から、なみだが じわじわ わいてくる。

うっすらと 目をあけると、ぴくぴく ふるえる まつげの むこうに、

秋の空が にじんでいた。

まつげに なみだのまくが かかり、青い空は 海のように見えた。

 

ここからぼくは、空想の世界に入っていきます。

そのまつげの海の中に、虫のような魚があらわれます。

最初は虫のような大きさの魚だったのが、だんだん大きくなって、虹色の大きな魚の飛行船になっていきます。

飛行船に乗ると、重いから心の荷物をおろしてくれと言われます。

 

「心のにもつって?」

「めそめそ心を すてて、たのしいことを かんがえるんだ」

「じゃ、あいつを ぶっとばすことを かんがえようか。」

 

そこで、あいつがギャフンとするような面白いことを色いろ考えます。

すると飛行船はどんどん軽く高くなっていきます。

でも、どれもひきょうなやり方です。

 

そこまで かんがえたら、ぼくはなんだか つまらなくなった。

やっぱり けんかで やりかえしてやらなくちゃ。

 

すると飛行船は――

 

すぐにチヤホヤしたり答えを教えたりしないで、「ぼく」をそのままホッタラカシにして行ってしまう先生もいいですね。

そこでぼくは孤独になって、色いろな感情を味わったり、自分なりに考えたりします。

からんと静かになった運動場に聞こえてくるツクツクボウシの声とか、ほっぺたをつたって耳に入った涙は砂の味がしたとか、かゆくなったとか。

 

子供のころの悔しさや悲しみは、楽しいことや嬉しいことと同じように、キラキラとまぶしいほどの輝きをみせてくれます。

そんな子供の心のひだをファンタジーにして、子供はもちろん大人にも、大切なことを教えてくれています。絵もまた、夢があってすてきです。

 

作・山下明生さん

1937年東京都生まれ。京都大学仏文科卒。海育ちの海好きで『かいぞくオネション』『島ひきおに』『いきんぼの海』など海を舞台にした作品が多い。

「うみのしろうま」(実業之日本社)で、野間児童文芸賞推奨作品賞、「はんぶんちょうだい」(小学館)で、小学館文学賞、「まつげの海のひこうせん」(偕成社)で、絵本日本大賞受賞など。

 

 


まつげの海のひこうせん [ 山下明生 ]

 

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