どこにでも気軽に歳時記を持って出かけよう
季語に出会おう
・・・というコンセプトで、俳人の石田興子さんが自分自身の経験をもとに、
架空の60代の男性を主人公にして追体験するという「俳風フィクション」仕立てになっています。
今日も俳句日和・歳時記と歩こう/石田興子 著・小林木造 絵/角川学芸出版
この架空の男性は、俳句の初心者を想定しています。
この男性が1月から月ごとに、一人吟行のように町中やさまざまな場所を歳時記をポケットに入れて、季語を探しに行きます。
そこで見つけた季語にまつわる短いエッセイと、名句などをさらっと紹介して、月ごとの締めに、この男性こと石田興子さんの句が一句、という構成になっています。
挿入されている句は、月ごとに10句くらいです。
エッセイの内容は、日常生活のさらっと読めて肩が凝らない話ばかりです。
それぞれの月ごとに、「すずめの俳句ノート」という、俳句のヒントなどがやさしく書いてあります。特に印象に残ったのが、
●桜の木の一年
春になると、日本国中で、待ち望まれるのが桜の開花。開花宣言が出されるや否や、花見の宴がいたるところで見られるようになります。
でも、花が散り尽くしてしまうと桜の木を顧みる人も少なくなります。
ところが、俳句愛好者は別。
花が散った後の蕊(桜蕊)を愛で、葉桜を愛で、マッチ棒のような小さな桜の実を愛で、真っ赤な桜紅葉を愛で、さらにその落葉も愛でます。
冬になれば裸木となった枝の固い冬芽を仰ぎ、やがて花どきが近づくと桜の芽として詠うのです。
季語を通じて一本の木が私たちの心をうるおしてくれます。
著者の石田興子さんは、俳人はと言っていますが、こういう細やかなセンスはもともと日本人のDNAに組み込まれているんじゃないのかな、と思う時があります。
そして、何かをきっかけに眠っているそれが、目覚めるのではないでしょうか。
俳人は、それがたまたま俳句だったりします。
それはともかく、この『今日も俳句日和』は、ちょっと堅苦しく感じる俳句という世界を、ぐっと身近に面白く感じさせてくれました。
ありがとうございました。
著者・石田興子さん
1958年東京都生まれ。「木語」にて山田みづえに師事。第一句集『秋の顔』(ふらんす堂)で第20回俳人協会新人賞受賞。2004年「椋」創刊代表。
句集『木の名前』『石田興子作品集』(共にふらんんす堂)のほか、著書に『名句即訳芭蕉』『名句即訳蕪村』(共にぴあ)、編著に『俳句・季語入門辞典』全五巻(国土社)などがある。俳人協会会員。日本文藝家協会会員。俳号すずめ。
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