真生の学校の卒業生にノーベル賞を取った人がいるという。感動した先生が、
小学5年の真生たちに『将来の夢』という作文の宿題を出しました。
でも、真生にはまだ夢なんかありません。
そんなとき、平三郎さんというおじいさんが、曽祖父の権左右衛門さんが残したという「夢ノート」をさがしにやってくるのですが……
占い屋敷と消えた夢ノート/西村友里 作/株式会社 金の星社
あなたは子供の頃に、どんな夢を持っていましたか?
真生のまわりの子供は、みんな夢を持っています。友達の桃ちゃんはアイドルを目指して歌とピアノとダンスを習っているし、こうちゃんはバスケットボールの選手、修くんはお医者さんになるために厳しい塾に行っています。
そして、兄弟の颯太はサッカー選手、宙(そら)はピアにストです。 ところが真生は、何もありません。
そんなとき、大発明家だった曽祖父の権左右衛門さんの昔弟子だったというおじいさんが、真央の家に曽祖父が残したという『夢のノート』をさがしにやってきます。
曽祖父の権左右衛門さんは発明家で、真央の家も曽祖父が建てた家で、隠し部屋や地下通路、いきなり飛び出す火の見櫓などの色々な仕掛けがあって、周りの人からは化け物屋敷と言われていた。
そこで真生は平三郎さんのために、夢ノートを探す手伝いを始めます。すると、さらに不思議なからくりの部屋や発明品が出てきます。
また隣の神社が火事になったときには、これも権左右衛門さんが昔作った発明で消化し、周りの人も友達も権左右衛門さんや真生の家を見直してくれるようになります。
曽祖父の権左右衛門さんが残した「夢ノート」には、見つかるのでしょうか?
そして、それにはどんなことが書かれていたのでしょうか。
真生は夢ノートを探して、権左右衛門さんや平三郎さんの思いにふれることによって、自分の夢を見つけていきます。
真生は部屋に入ると、すぐに机に向かった。
原稿用紙を広げ、鉛筆を握る。
『わたしの夢は、』
『それは、だれかを喜ばせることができるような人になることです』
権左右衛門さんみたいに、発明家になることはとてもできない。
でも、だれかのことを考えられるって、すごくすてきなことだと思ったのだ。
『どんな仕事をするかは、まだ決めていません。でも、どんなことをしたら人は喜ぶのか、一つでもたくさん見つけていこうと思っています。そのために……』
今の子供達は、夢を持つだけでなく、夢に向かってスタートを切るのがとても早いように感じます。確かに、人よりも一歩でも、二歩でも先に始めた方が、有利だからでしょう。特にスポーツ選手には、すごく大事なことなのかもしれません。
私のようにぼやぼやしていると、乗り遅れてしまうでしょう。というよりも、私は子供の頃に何の夢も持っていませんでした。なんとなく大人になれないような、そんな予感がしていたからです。
このお話の主人公の真生ちゃんんも、最初は夢を持っていませんでしたが、最終的には、大人のようなすてきな夢を見つけました。
この本には、子供らしい大きな夢に真っすぐに向かっていく子や、家から出たいためにとりあえずサッカー選手を目指したという颯太など、いろいろな夢の形ができます。
その中でも面白いと思ったのが、花屋さんの香織さんの夢です。
最初はピアニストになりたかったのですが、コンクールに出ても、1回も入賞しなかったのです。
そこで、マンガが好きだったのでマンガ家になろうとします。マンガを描いてはいろんな雑誌に投稿したのですが、1回ものらなかったのです。
だから、もっとマンガを読まなくちゃと思っていっぱい読んでいたら、キャビンアテンダントの話に感動して、キャビンアテンダントを目指します。そのために英語を習い始めます。
そうしたら、外国の人とお話ができるようになるのが楽しかったのですが、英語が話せない人とお話ができるといいなと通訳になろうとします。が、試験に全部落ちてしまいます。
そこで本場の英語を学ぼうと、大学を卒業したらお金を貯めてイギリスに行きました。
するとホームスティのお家の庭がステキだったので、ガーデニングやハーブの勉強にハマって、園芸家を目指して日本に帰ってきて花作りをはじめた……という話です。
ピアニスト⇒マンガ家⇒キャビンアテンダント⇒通訳⇒園芸家 というふうに、いきあたりばったりという感じで、夢がどんどん変わってしまっています。でも、これはこれでステキな人生のように思います。
この香織さんは、こんなふうに語っています。
「それに、失敗することもふくめて、夢ってすてきなものなんです。夢を目指してがんばっていたら、それがかなわなくても、何かがちゃんと残るんです」
真生ちゃんは、平三郎さんに「夢ってどうしたら、見つけられるんですか?」
と尋ねます。平三郎さんはにっこり笑って言います。
「夢なんていうものは、探して見つかるもんではないと思いますよ。自然に現れるものです」
そういえば平三郎さんがいうように、私の場合もいつの間にか夢が自然に現れたような感じでした。まるで導かれたように……。そんな夢は、夜道を照らす小さな灯りのようなものですね。もしも夢がなかったら、人生という道がすごく寂しくなってしまいそうです。
作者・西村友里さん
京都出身。京都教育大学卒業。京都市内の小学校に勤める。
「大空」で第13回創作コンクールつばさ賞〈童謡・少年詩部門〉で優秀賞を受賞。『たっくんのあさがお』(PHP研究所)で第25回ひろすけ童話賞を受賞。『オムレツ屋へようこそ!』(国土社)は第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書。
その他の著書に「占い屋敷」シリーズ(金の星社)『すずかけ壮の謎の住人』(朝日学生新聞社)『いちごケーキはピアニッシモ』『オムレツ屋のベビードレス』(国土社)などがある。
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