今週のお題「好きなお店」
コンビニたそがれ堂ですね。
風早の街の駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、
夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニがあります。
レジの向こう側から
長い銀色の髪と金色の光る目をしたイケメンのお兄さんが、
「いらっしゃませ、お客さま。
ここはね、何でも売っている不思議なコンビニなんだよ。え
このコンビニにくる人は、なにか大切な探しものがある人なんだ。
大事なもの探していて、それを心の底からほしいと思っている人だけが、
この、たそがれ堂にたどり着くのさ。
さあ、何をお探しですか?」
と、明るく、優しく、温かく声をかけてくれます。
そのコンビニには、
この世で売っている全ての物が並んでいて、
そうして、この世には売っていないはずのものまでが、
なんでもそろっているというのです。
大事な探し物がある人は、
必ずここで見つけられるというのです。
どうです、行ってみたいと思いませんか?
もしもね、それが現実にあったのならって、
≪ コンビニたそがれ堂 村山早紀著 ≫ ピュアフル文庫
を読んでいると、いつも思いますよ。
作者の村山早紀さんには何度かお会いしたことがありますが、
とてもチャーミングでやさしい感じの方です。
「ちいさいえりちゃん」という作品で、毎日新人賞最優秀賞、
第4回椋鳩十児童文学賞を受賞されて、
≪シェーラ姫の冒険≫シリーズや≪風の丘のルルー≫シリーズ等で
児童文学で活躍されてきた方です。
≪コンビニたそがれ堂≫もシリーズ化されて、たくさん刊行されていますが、
これはポプラ社から刊行された作品に加筆・訂正して文庫化されたものです。
そのうちにコンビニたそがれ堂にも、かわいい猫娘のアルバイトも加わって、
さらに楽しく魅力的になっていきます。
中はどれも短編連作のようになっているので、
どこから読んでもいいので、忙しい人にはうってつけですね。
この本については、
コンビニたそがれ堂
大好きな女の子とすれ違ったまま別れてしまい後悔している猫好きの少年が、ふと現れた不思議なコンビニたそがれ堂に足を踏み入れてみると……。
手をつないで
心の傷を持った母親に、大事な人形を捨てられてしまった女の子が、人形を探して街中をさまよった夜にたどりついたコンビニたそがれ堂にあった人形は、昔、母親が大事にしていた……。
桜の声
ラジオ局でアナウンサーをしている桜子は、空しさを感じ始めていた。春の夕暮れ時にふらふらと歩きだしコンビニたそがれ堂に行きます。それから桜の木のところで不思議な出来事が……。
あんず
病気になって死期が間近になった猫のあんずは、コンビニたそがれ堂で「人間になれるキャンディ」を……。
あるテレビの物語
ある家族が大好きなテレビの話。テレビはその家族の女の子の成長を楽しみに見守ってきたのですが、壊れてしまい……。その古いテレビが大好きな女の子がコンビニたそがれ堂に行くと……。
エンディング~たそがれ堂
そして、また今日も夕暮れどきになると
風早の街の古い大きな商店街のはずれの
赤い鳥居の群れが立ち並ぶあたりには
不思議なコンビニがいつの間にやら開店して
誰かを待っているのです。
本当に大切ななにか
なくしてしまったなにかを探している
そんなお客さんのために……
……
となっています。
どうですか、行ってみたくなりませんか?
どれもハートフルな物語で、
ささやかな魔法で心にささった棘や傷みが和らいだり
癒されるお話になっています。
そうです、そこのあなたのように、私のように、
叶わなかった願いやもう二度と会えない人に伝えそびれた言葉とか、
そういう願いがもし、そこ(コンビニたそがれ堂)で叶うのだとしたら……。
夢物語だとわかっていても、ひょっとしたらと思うのです。
コンビニたそがれ堂を読んでいると、
もしかしたら私もそこへ行けるかもしれない
な~んて思っちゃったりするわけですよ。
あなたもひと時の魔法にかかってみてはいかがでしょうか?
今日も桜さくら堂に訪問してくださいまして、
(*^^*) 本当にありがとうございます。